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日々の生活に疲れた45歳が異世界で若返り、第二の人生をまったり満喫する♪はずっだったが、色々ほっとけない!   作者: 夢叶


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21 私の設定 獣人さんの設定!?


「……本当に知らないのか?」


クロの言葉に私は首をかしげる。今こそ先程考えた完璧設定を披露する時!


私はこほんっと咳払いした。

「えっと……実は、私あんまり前の事覚えてなくて」


クロの耳がぴくりと動く。

ルドもデニッシュを持ったままこちらを見た。


「気付いたらこの森にいて……家族とかも、もう居ないはずなんだけど、記憶が曖昧で……だから自分がどこから来たのかも分からないんだよね」


言いながら、自分でもちょっとしんみりした雰囲気を出してみる。


「だから、その……色々よく分からなくて」


よし!  どうだ!  

完全なる設定。 私記憶喪失!

私は内心どきどきしながら二人の反応を待った。


するとルドが「うわぁ……」みたいな顔をした。

「それ、かなりやばくね?」


よし!  引っかかってる!  一方クロは、じっと私を見つめたままだった。


やめて。 そんな探るみたいな目しないで。


数秒後、クロは小さく息を吐く。


「クロ?」


クロはしばらく黙っていたが、やがてぽつりと呟いた。

「……記憶障害か」


おっ。 なんかそれっぽくまとめてくれた! 私は内心でガッツポーズした。


「た、多分……?」


「自覚ないのかよ」

ルドが少し呆れた顔をする。


いやだって本当に記憶ないわけじゃないし。むしろ知識がありすぎて困ってる。

クロはそんな私をじっと見つめたあと、小さくため息を吐いた。


「……まあ、何な悪い事を企んでいるような感じはしないから」


クロはそれ以上追及せずにいてくれた。

ちびっこのくせに・・・悪さはしません!ちょっぴり嘘を…嘘をついてるだけです。


私はこれ以上突っ込まれる前に、慌てて話題を変えることにした。


「そ、そうだ! 二人のことも聞いていい? 二人は兄弟?何から逃げてたの?魔物?」


その瞬間、二人の空気が少し変わった。ルドとクロはお互い視線を合わせ、何かを確認するみたいに…そして、先に口を開いたのはクロだった。


「……ルドとは幼馴染だよ」

静かな声だった。ルドは隣で小さく頷いている。


「小さい頃からずっと一緒だった」

クロはそう言ってから、少しだけ目を伏せた。


「逃げてたのは……敵……仲間だと思ってたヤツに嵌められたんだ……」


部屋の空気が、ぴたりと止まる。


私は思わず言葉を失った。 襲ったのは魔物じゃない。人間。いや違った獣人!

こんな小さな子達に、一体何があったんだろう…。

クロは静かな顔をしているけれど、どこか諦めたみたいに冷えた目をしている。

ルドもさっきまでの様子が嘘みたいに暗い表情で黙っている。


……だめだ。


これ以上踏み込むのはやめよう。余り踏み込んで聞くのは止めよう。

絶対重いやつだ。トラブル回避!これ大事!


「そ、そっか! でも今は安全だから! とりあえずご飯食べよう、ご飯!まだあるから!」


話題転換!!


するとルドの耳がぴこんっと立つ。

「……もっと食っていいのか?」


「もちろん!」

その瞬間、ルドの尻尾がぱたぱた揺れた。

分かりやすすぎる。

急いでポケットから新たにみかんとロールパンをいくつか取り出して渡す。


・・・ルドの目がきらっと輝く。

「まだ出てくるのか……」


思わず漏れた呟きに、私はぴたりと動きを止めた。


しまった!クロもじっと私のポケットを見ている。やばい。また怪しまれる流れでは?

私は慌てて笑顔を作った。


「べ、便利なんだよ! このポケット!」


「……便利ってレベルじゃないだろ」

ルドは真顔だった。


その隣で、クロが小さくため息を吐く。

「……空間魔法か」


おお。 またいい感じに解釈してくれた! 

私は内心で全力拍手した。

ちびっこなのに頭良すぎじゃねぇ!?


私は内心ほっとしながら、2人に食べるよう促した。



因みに、みかんはミーカンではなく普通にみかんでした。




――ゴロゴロ……。



遠くで低い雷の音が響いた。 「……雨?」と思ったその直後。


ザァァァァァァッ!!

バケツをひっくり返したみたいな大雨が一気に降り始めた。「うわっ!?」突然の豪雨に私はびくっと肩を跳ねさせる。というか、これ絶対ただの雨じゃない。台風レベルでは?

ルドも驚いた様子で「すげぇ……」と外を眺める。

クロは少し眉を顰めて…

「この森でこの雨はまずいな……」


「えっ」 まずいの?   ぴちゃん。頭の上に冷たい水滴が落ちた。

私はゆっくり天井を見上げる。……あっ。ぽた。ぽたぽた。 岩肌から水滴が・・・


やばい! 


そう思った次の瞬間。 ゴォォォッ!!突風と一緒に豪雨が吹き込み、入口から一気に水が流れ込んできた。


「ちょっ、待って待って!? え、そんな一気に!?」


私は慌てて立ち上がる。


ルドも「うわっ!?」と声を上げ、クロは素早く周囲を確認する「奥へ!」クロの声に、私たちは急いで窪みの奥へ移動する。


だが雨風はどんどん強くなっていく。冷たい風がびゅうびゅう吹き込み、床もじわじわ濡れてきていた。


どうする。  どうする私。このままじゃ普通に風邪引く!私は焦りながら必死に頭を回転させる。マイハウスはチート過ぎて出せないし…


……あ。あるじゃん!インベントリに冒険者セットで確かテントがあったはず!

ちゃんと確認はしていないが子供も小さいし3人くらいなら入れるはず!

頭の中でインベントリを確認する――― 

<テント>(拡張機能搭載)  ……ん?  拡張機能?

ちょっと気になったけど、今はそれどころじゃない。


私は急いでポケットへ手を突っ込み、そこから取り出すようにしてインベントリからテントを出した。


ぽんっ、と急に現れた一人用三角テントに、ルドが目を丸くする。


「テント…出てきた……」


クロも目を真ん丸にして驚いた顔をしていた。

私はそんな視線を気にしてる余裕もなく、慌てて入口を開いて…


「2人とも急いでテントに入って!」


外はもう暴風雨だ。冷たい風と雨が容赦なく吹き込んできている。

ルドは「お、おう!」と返事をして、先にテントへ飛び込んだ。

クロも少し警戒した様子を見せたが、すぐに続く。


私も急いで中へ滑り込んだ瞬間―― 

どんっ!「「わっ!?」」目の前の2人の背中に勢いよくぶつかり、そのまま尻もちをついた。

どうやらルドとクロは、テントへ入った瞬間その場で固まっていたらしい。


私は痛むお尻を押さえながら顔を上げる。


「いったぁ……。2人とも大丈夫?……」


だが二人はそれどころではないようだった。


「……ぅえ?」

思わず間抜けな声が漏れる。


中は――広かった。 いや、広いどころじゃない。

ぽっかーん――とした顔でテントの中を見て固まっているルドとクロ。


 無理もない…外から見たらどう見ても一人用の小さな三角テントだったのに……

そこに広がっていたのは・・・もはや“テント”ではなかった。


入り口は普通に玄関。靴脱ぎ場もあって…奥にはカウンターキッチンに落ち着いた色合いのダイニングテーブルと椅子。

リビングにはフカフカのラグ付き!大き目のソファーにカラフルクッションが並び……更には人をダメにするク○シ○ンまである・・・


「はぁぁぁぁぁぁーーー!!!」

思わず叫んだ。完全に家である。



ルドとクロは呆然と立ち尽くし、言葉を失っていた。私は奇声を上げた。


外では嵐みたいな豪雨が続いているのに、中は暖かくて静かだった。(私以外……)





テントも非常識なチートでした!






神様ありがとよ!!






非常識な能力隠すんじゃなかったのか私!!


これからどうするのよーーーーーーー!








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