閑話 クロとルドの重大秘密
一番最後にクロとルドの超重大な秘密が明かされます!
楽しんで頂けたら嬉しいです。
俺たち二人は、追手から逃げるように必死で走り続けていた。
誰が裏切った――?
誰が俺を嵌めた――?
誰が……ッ!!
突然すぎた。
あまりにも急な出来事に、頭が現実を上手く理解できない。
それでも立ち止まる訳にはいかなかった。
ルドと共に街へ紛れ込み、数日間どうにか潜伏を続けた。
だが敵は異様なほど執拗だった。
潜伏先を変えても、時間を置いても、必ず嗅ぎつけてくる。
まるでこちらの動きを知っているかのように。
本来なら家族へ連絡を取れればどうにかなったはずだ。
俺の家族はきっと大丈夫だ。ルドの家族も、そう簡単に潰されるような家柄じゃない。
だが――近くに敵が潜んでいると思うと迂闊に動けなかった。
連絡を入れた瞬間、その先まで辿られるかもしれない。
ルドの家族まで巻き込む可能性が脳裏をよぎり、結局何も出来ないまま時間だけが過ぎていく。
その間にも追手は幾度となく襲ってきた。 路地裏。 宿。人気の少ない橋の下。
休める場所などどこにもない。
だが、一番厄介なのはそこじゃなかった。
――主犯が分からない。
誰がこの状況を作ったのか。
俺を排除する為にここまでするのか。
それすら見えないまま、ただ追い詰められていく。
だからこそ不気味だった。 敵の姿が見えない。
いや――
見えているのに、“本当の敵”だけが見えないのだ。
俺たちは最後の手段として、魔獣の森へ逃げ込むことにした。
危険な場所だ。
最奥まで踏み込めば上級魔獣の縄張り――生半可な実力では生きて帰れない。
だが逆に言えば、深部へ行かなければある程度の魔物は俺たちでも対処できるはずだ。
能力が封じられていても…
街中で追手に囲まれるより、まだ生存率は高いと判断した。
食料も森で調達できるし、何より、人目がない。
俺たちは森の奥で身を潜めるように暮らし始めた。
このままやり過ごせるかもしれない。
そう思い始めた頃だった。
――見つかった。
夜。 不自然な静けさに気づいた瞬間、殺気が森を裂いた。
感覚器官がマヒしているかのように危険察知ができない。
かなり接近してからではないと気付けなかった。
「ルド!! 逃げるぞ!!」
叫ぶより先に刃が飛んできた。
木々の陰から現れた黒装束。
一人じゃない。 複数。 暗殺者だ。
本来なら敵じゃない。 あの程度、正面から叩き潰せる。
俺なら――いや、“いつもの俺”なら簡単に。 だが今は違った。身体機能が低下してる…
魔力もうまく巡らない。力を引き出そうとする度、体の奥を何かに掴まれるような感覚が走る。
「くそ……っ!」
だから逃げるしかない。 息を切らしながら、俺はルドの腕を掴んだ。ルドと必死でにげた。
本来なら暗殺者なんて俺達の敵ではないのだが変な魔法?これは呪いか?
そのせいで本来の力が発揮されない。獣人特有の危険察知能力も薄れている。
背後では、暗殺者たちの気配が執拗に追ってくる。まるで獲物を嬲るように。
俺たちは森の中を無我夢中で駆け続けた。
「っ……このままじゃ……!」
逃げ切れない。
息を切らしながら周囲を見回した瞬間、木々の切れ間の先に崖が見えた。
その下には激しく流れる川。
普通なら飛び込むような高さじゃない。
下手をすれば即死だ。
だが――
「ルド!!」
俺は振り返り、叫ぶ。
ルドもすぐに察したらしい。
一瞬だけ目を見開き――そして覚悟を決めたように頷いた。
後ろでは暗殺者たちが迫ってくる。
もう選んでいる時間はなかった。
「行くぞ!!」
俺たちはそのまま崖へ向かって全力で走った。
風を切る音。
背後から放たれる殺気。
地面を蹴る足音。
そして次の瞬間――
視界が宙へ放り出される。
身体が浮いた。
崖下の濁流が凄まじい音を立てている。
「っ!!」
落下の感覚に胃が浮く。
だが俺たちは離れなかった。
振りほどかれないよう、流されないよう、互いの腕を必死に掴む。
「離すな!!」
叫んだ瞬間、俺たちは激流へ叩きつけられた。
凄まじい衝撃。
肺の空気が一気に押し出され、冷たい水が全身を包み込む。
流れが強すぎる。
それでも俺は、必死にルドの腕だけは掴み続けた。
離したら終わる。
この濁流の中では、二度と見つけられない気がした。
―――
…………ルドの声がする…………誰かいるのか?…………
途切れかける意識の中、遠くから誰かの声が聞こえていた。
頭がぼんやりする。
身体も重い。
冷たい水の感覚だけが妙に残っていた。
もうろうとする思考を必死でつなぎ止め重たい瞼を開ける。
沈みそうになる意識を必死に繋ぎ止めながら、俺は重たい瞼をゆっくりと開ける。
「……ん…………」 視界が滲む………… ぼやけた輪郭。…………
して、こちらを覗き込む人影――
「――― ――― …………おい…………しっかりしろ…………」
聞き慣れた声。
掠れる視界の中で、その顔を見ようと焦点を合わせる。
「…………ルド…?」
「うーん……ルド? 一体、なにが……」
――ルドが勢いよく身を乗り出してきて…
「おい、クロ!しっかりしろ! 俺たちは逃げてる途中で川に落ちて、そのまま流されたんだ! 思い出したか?」
「か、川……?」
あぁ川に飛び込んで助かったんだな。
ルドはさらに焦ったらしく、ぺちぺちと頬を軽く叩き始めた。
「寝るな! 起きろ! 戻ってこい!」
「んぅ……」
結構痛いんだが…………頭がぼんやりする…………戻ってこいって何んだ?
……生きてる。
そう理解した瞬間、張り詰めていたものが少しだけ緩む。
ぼんやりした意識がはっきりしてきたのか、ゆっくり瞬きを繰り返した。
だが次の瞬間。
ルド以外の気配に気づき、辺りを見回すと…
そこにいたのは、知らない女の顔だった。
黒髪に黒い瞳。さらりとした肩まである黒髪が風に揺れていて――
不安そうな表情でこちらを見ている。整った顔立ちをしていている――可愛いと思った・・・
なんだそれ。まだ頭がボーっとしてる… ぱっと見は大人しそうな印象だ。
だが――「……誰だ。」
神経を研ぎ澄ませる。気を抜くな。この女は何者か?主犯の手先か?色んな憶測が飛び交う
ルドが「あっ」みたいな顔をする。
「誰だ。 ここは何処だ。」
隣にいたルドが「……クロ」と小さく呟き、困惑した表情をするが…………
眉を顰めたまま俺はじっと女を見つめ警戒する。
「だ、大丈夫! 怪しい者じゃないよ!?」
コイツ何が大丈夫なんだ?状況からみて怪しすぎる。一体何の目的があるんだ。
俺は鋭い目線を投げて、この女をさらに警戒した。
すると何故だか女は肩を落として落ち込んだ。何なんだコイツ…
ルドが、はぁ……と深いため息を吐いた。
「……こいつが助けてくれた ……こいつ、変だけど悪いやつじゃない」
「「え?」」
「傷だらけの俺たちを魔法で治してくれた……」
……変てなんだ?
この女が助けてくれた?
頭がぼんやりとして状況が把握できない。
俺は瞬きを繰り返したあと女とルドを交互に見た。
警戒するが…
女は小さく笑みを浮かべた。
…結構可愛のでは?…?
なんで? 思考が混乱してるみたいだ…
けれど次の瞬間。
ぐぅぅぅぅ……。
勢いよく音が響いた。
おれは硬直した。
ルドの視線をかんじるがそれどころではない。
……知らない女の前で…恥ずかしい!
俺はは平静を装っているけれど、顔はきっと真っ赤だし、膨らんだ尻尾はぶわぶわしている。
感情が羞恥で抑えきれない……
数秒の沈黙。
「……クロ」ルドがぽつりと名前を呼ぶ。
「言うな!」「言うなルド!」
「いや、だって……」
「ルド!」
恥ずかしさのあまりるどに圧を掛けてしまった。
……だめだ。 恥ずかしすぎる!
俺…………今は魔法?呪いで?で小さくなっているが本当は23歳なんだよ!!
恥ずかしいに決まってるだろ!!子供じゃあるまいし!
・・・今は子供になってた…………5歳ぐらいだな。
ルドだって本当は25歳のくせに!!
どうやったら戻れるのかなぁー
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