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日々の生活に疲れた45歳が異世界で若返り、第二の人生をまったり満喫する♪はずっだったが、色々ほっとけない!   作者: 夢叶


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18 警戒心を解いてもらおう!


石ころだらけの川岸を、足取り軽く進んでいく子供を背負った子供。

その後ろでもたもたとつまずきそうになりながらついていく私。私が大人でお姉さんなのに……

しかも前を歩く子供が、時折ちらちらとこちらを振り返ってくる。

「……こいつ、本当に大丈夫か?」そんな心の声が聞こえてきそうな目だ。

いや分かる。今、わたし転ぶ寸前だったし…見られてちょっと恥ずかしい。


ただでさえ森で迷子になって精神的に削られているというのに、そこへ追撃のように突き刺さる子供の不審そうな視線。不審?不憫にみられているような…


地味に心にくる。

というか、めちゃくちゃくる。



……泣いてない。まだ泣いてないから。



どうにか辿り着いた岩壁の窪みは、外から見たよりずっと広かった。

洞窟というほど奥行きはないものの、大人が数人入っても余裕がありそうで、雨風をしのぐには十分だ。

天井代わりになっている岩がせり出しているおかげで、中の地面も比較的乾いている。


「おお……ちゃんと野営ポイントっぽい……」

思わず感心した声が漏れる。まともに休めそうな場所を見つけたので少し安心できた。



その間にも、子供は慣れた様子で背負っていた子を壁際へそっと下ろす。


……なんかもう、私より頼りがいがあるんじゃない?

落ち込みそうになる気持ちをどうにか押し隠しながら、私は子供たちの方へ近付いた。


「……早く目を覚ますといいね」


そう声を掛けつつ、横になっている子の顔をそっと覗き込む。


近くで見ても、顔色はそこまで悪くない。呼吸もちゃんとしているし、苦しそうな様子もない。

ただぐっすり眠っているだけ――そんなふうにも見えた。

私が様子を窺っていると、隣の子供は倒れている子を庇うようにさりげなく身体を寄せた。


……うん、警戒継続中ですね。


ちょっと悲しい。

いや、知らない大人なんだから当然なんだけど。なんだか頼りなさそうに感じている?

私はそれ以上不用意に近付かないよう、少し距離を取って腰を下ろした。

すると子供はちらりとこちらを見た後、ようやく少しだけ肩の力を抜く。


……いや本当に、警戒心が野生動物なんだよなぁ。獣人さんだけに!

下手に動くと逃げられそうな空気すらある。森を脱出するためにも仲良くなりたい。


「えっと……飲み物とか、いる?」

子供は少し迷ってから小さく頷いた。

私はポケットへ手を突っ込み、中からデトックスウォーターの入ったボトルとコップを取り出した。

ちなみにコップは一つしかない。そこはまあ、うん。しょうがないよね?


コップに注いで子供へ差し出す。驚いたようで子供は、私の手元とポケットを何度も見比べた後――目をまん丸にする。


「…………」


「…………」


ふふん。……どうだ。

さっきまで「こいつ大丈夫か?」みたいな目で見られていた私だが、今の私は違う。

完全にドヤ顔だった。多分いま私、めちゃくちゃ得意げな顔してる。

子供はまだ警戒半分といった様子だったが、それでも恐る恐るコップを受け取る。


……よし。

ほんの少しだけ、「頼れるお姉さん」の地位を取り戻した気がする。


受け取ってはくれたものの、子供はすぐには飲まなかった。

恐る恐るコップへ顔を近付け、くんくんと匂いを嗅ぐ。けれど次の瞬間には、じとっとした警戒の目がこちらへ向けられた。


透明だから水と思ったのかな?「変なもの入ってないからね!?」慌ててそう言うと、子供の視線がさらに鋭くなる。


あ、駄目だ。

こういう時に必死に否定すると余計怪しくなるやつだ。デトックスウォーターって言っても分からないだろうから…「えっと……ハーブとか果物を入れた水だよ。身体にいいから飲んでみて」

「……ハーブ?」子供が怪訝そうに眉を寄せる。

あ、そっか。ここ異世界だった。私は慌てて言い直す。「や、薬草! 薬草と果物のエキスが入ってる感じ!」言った瞬間、子供の表情がさらに警戒色を増した。


……あれ?


なんか今、すごく怪しい説明にならなかった?

“突然現れた迷子の女”が、“ポケットから出した謎の液体を“薬草のエキス入り”とか言い出してるんだけど。字面だけ見ると完全にアウトでは?

案の定、子供はコップを持ったまま固まっている。



“森で遭遇した自称迷子の女”

“ポケットから突然ボトルを取り出す”

“薬草エキス入りの液体を勧めてくる”


……うん、怪しい。私だったら逃げる。


やばい。

せっかく少し取り戻した「頼れるお姉さん」が、一瞬で「怪しい物を飲ませようとするお姉さん」に変わった気がする。


どうする私!焦った私はとりあえずボトルを掴む。ごくごくごく勢いよく飲んで見せた。

「ほら! 普通に飲めるから!」うん、美味しい。普通に美味しい。


……じゃなくて。


私は「どうだ!」と言わんばかりに子供へ向き直った。すると子供は、ぽかんとした顔でこちらを見ていた。なんだろう。

こう……。「何やってるんだこいつ」みたいな。

やめて。

その目やめて。

私だって必死なんだよ。どうにか怪しまれないよう頑張った結果なんだよ。



でも、私が実際に飲んだことで少しは安心したのか、子供は再びコップへ視線を落とした。

そして恐る恐る口を付け一口。ぴたり、と動きが止まった。


「……?」


不思議そうにコップの中を見つめ、もう一口飲む。どうやら気に入ったらしい。

私は内心でそっとガッツポーズをした。



勝った。

何に勝ったのかは分からないけど、たぶん勝った。






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この主人公、うっかりさんなのは分かるけど何故そんなに下手に出るの? グッズや住環境が充実しているなら、相応の下準備も頑張って!って思いつつ拝読しています。
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