17 獣人さん・・・これからどうする?
2人の傷は治ったのだが、倒れている小さい子供の意識はまだ戻らないみたいだ。
これからどうするか考えていると、呆然と立ち尽くしていた子がふと我に返り焦りだした
「怪我が治った!―― おい、しっかりしろ! 起きろよ……!」
倒れている子に近か寄って必死に揺さぶり起こそうとしているが、意識を失ったまま、ぐったりとしている。
――どうする……。
鑑定で確認しても良いのだろうか?
そう考えた瞬間――目の前に透明なボードが現れた。
<鑑定>
強固な隠匿魔法を掛けてますが解除して再鑑定しますか?
――隠匿!?
何やら訳ありなのだろうか?
勝手に覗き見るようで気が引ける。事情も分からないまま踏み込むべきではないだろう。再鑑定するのは辞めておこう。今は…まだ。
必死で揺さぶり起そうとしている子供を見ながら、どうしたものかと考える。
この子達がどんな子か分からないし……私の事を不審者に認定されたくないし……
それに私迷子だし――きっとこの子達も森を出るはずだから、それまでは一緒に行動した方がお互いに良いのでは?
マイハウスを出してしまえば、ひとまず生活するには困らない。
けれど、あれはどう考えても規格外――いわゆるチートスキルだ。今の段階で人前に晒すのは、さすがに危険な気がした。
この世界の常識では身分差や貧富の格差が色濃く存在していて、差別や奴隷制度もあるから……いいように利用されたくないし……
ましてや魔法ありの世界だから――最悪、魔法か何かで無理やり従わせられる可能性だってある。
奴隷になりたくない!!常識外れの能力を使う時は十分に気を付けた方がいいだろう。
とりあえず、場所を少し移した方がよさそうだ。
ここは川原だし、石の上に寝かされたままではさすがに痛々しい。濡れた服だって、このままでは体を冷やしてしまうだろう。せめて風をしのげる場所くらいは探してやりたい。
そう思いながら、私は周囲へ視線を巡らせた。
少し離れた場所に、大きな岩壁の窪みのような場所を見つける。
洞窟というほど深くはないが、雨風を避ける程度には使えそうだ。
「……あそこなら、まだマシかな」
誰に言うでもなく呟いて、私は子供達へ視線を戻した。
必死にもう一人を揺さぶっていた子は、こちらの言葉が聞こえたのか、びくりと肩を震わせる。再び警戒しつつも私を見上げてきた。
まあ、当然か。
見知らぬ大人が突然現れて迷子です!って言った後に変な魔法で回復させられたののだから、無理だろう。
「怪しい者じゃない――って言っても、説得力ないよね……」
苦笑しながら両手を軽く上げ、敵意がないことを示す。
すると子供は少しだけ表情を緩めたものの、倒れている子を庇うように前へ出た。
……小さい子を守ろうとしてるんだな。
「治してくれたことには感謝する。お金は後できちんと払う」
私はその言葉に目を細めながら
「お金は要らないよ。とりあえず、場所を移そう? ここじゃ体が冷えちゃうし……」
少し離れた場所にの大きな岩壁の窪みのような場所を指さし、できるだけ穏やかな声でそう告げると、子供はしばらく難しい顔で考え込んだ後、「このまま川原にいてもどうしようもない」と判断したのか、こくりと小さく頷いた。
その表情にはまだ警戒が残っていたが、少なくとも「即・不審者認定」は回避できたらしい。
「私が運ぶよ」
そう声を掛けた瞬間、子供ははっとしたように倒れている子を抱え込み、「俺が運ぶ!」と言ってこちらを睨んできた。
……うん、すごい警戒されてる。
というか、絶対この子に触らせたくないって顔してる。
けれど、小さい子供が気絶した子を抱えて歩くのは、かなり大変そうなのだが……
……責任感が強い子なんだろうな。
「分かった分かった。無理に取り上げたりしないから」
私は苦笑しながら両手を上げた。「でも、きつくなったら交代するから教えてね」
そう伝えると、子供はふいっと視線を逸らし――次の瞬間。
倒れていた子を、ひょいっと軽々背負い上げた。
……いや、待って。
軽っ! じゃなくて、お前が軽々持てるの!?
非力そうな子供なのに!?
倒れてる子も小さいけども!?
私、完全に「無理しなくていいよ~」みたいな空気出してたんだけど!?
思わず目を丸くしていると、子供はそんな私の反応を見て少しだけ得意げに鼻を鳴らした。
くっ……なんか恥ずかしい。
完全に要らぬお節介だった。私の親切、大きな恥!
異世界だからか、この子が特別なのかは分からないけど、どうやら私が思っているよりずっと力が強いらしい。
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