0042 海の怪物
唐突に鳴り響いたサイレン。
なんだなんだと全員一緒に廊下へ飛び出し────窓の外に意識が向いた瞬間、言葉を失った。
水平線の向こうから山のような巨体が近づいてくる。
それもただの山じゃない。富士山とか、それくらいの規模だ。
水を操る能力のおかげか、あれだけの巨体が動いているのに波一つ立っていないのがかえって不気味だった。
「クソッ! あの野郎、今まで沖の方をグルグル泳ぎ回ってるだけだったくせに、なんで急に!? それにデカいとは聞いてたが、あそこまでとは聞いてねぇぞ!」
クラーケンの大きさに圧倒されたビリーさんが絶望顔で拳を握りしめる。
すると何か気になることでもあるのか、アリアがふと顎に手を触れて考え込み始めた。
「……確かに、どうしてあのクラーケンはわざわざ陸の方へ近づいてきますの? 水深が浅くなればその分、身体への負担も大きくなるはずですのに」
「何か目的があるっていうのかい?」
「淫魔の力は先程の一戦で弱体化して、魅了はすでに解けているはず。それなのにわざわざ危険な浅瀬の方へ向かってくるということは…………」
マリーさんの問いに曖昧に頷きつつ、アリアはうろうろと廊下を歩き回りながら考えをまとめていく。
しばらくして、「ピコン!」と頭の上に電球を灯したアリアが突然ハッと顔を上げた。
なんか漫画みたいなエフェクト出たけど、どうやったんだ、今の。
「まさかあの子、産卵しようとしている……?」
「さ、産卵だって!? アイツ、メスなのかい!?」
「これは別種のイカの生態ですけど、あるイカは浅瀬の藻場を産卵場所に選ぶそうですわ。クラーケンもイカの魔物ですし、卵を産むのにここの湾が丁度いいと思ったのかも。現にほら、湾を荒らさないよう波を立てずそーっと近づいていますわ」
「冗談じゃない! こんなところで産卵なんかされたら町はぺしゃんこだよ!?」
「ふざけんな! あんなイカ野郎にオーランを潰されてたまるかよッ!」
マリーさんが顔を青くすると、アーシュラさんが窓の外を睨んで尻尾の毛を逆立たせる。
とはいえあのデカさだ。普通に攻撃したってビクともしないだろう。
誰もが何もできない無力な自分への苛立ちを噛みしめて立ち尽くす中、まるで弾かれるようにしてアーシュラさんが駆け出していく。
「姉さん!? どこさ行くつもりだ!?」
「決まってんだろ! あのイカ野郎をブッ倒しに行くんだッ!」
「無茶だべ! そんな身体で!」
が、すぐさまザックさんにひょいと襟首を掴まれ、そのまま持ち上げられて止められてしまう。
「何しやがるザック! 放せ! 放せよ!」
「普段の姉さんなら、オラなんか片手でぶん投げてすっ飛んで行くべ!? アンタは今弱ってるだ! それは自分が一番よく分かってるはずだべ!?」
ザックさんの腕の中でアーシュラさんが暴れ回るが、銀等級冒険者のステータスと子供のそれでは話にもならなかった。
やがて体力の尽きた子狼は、悔しげに奥歯を噛みしめ項垂れてしまう。
「……なんでだよ。お父さんとお母さんの、みんなの仇がすぐそこにいるのに……ッ」
「姉さん……」
「なのに、なんで……ッ。また見てるだけか!? またオレだけ逃げ出せって言うのかよ! それならオレはなんのためにここまで……ッ」
かつてこの町を救った英雄は最早見る影も無く、今のアーシュラさんは見た目通りの無力な少女でしかなかった。
確か、マーサさんの話だと、アーシュラさんは海の事故で両親を亡くしたって……。
────まさか、あのクラーケンが?
あのクラーケンと彼女の間に何があったのか、俺は知らない。
そしてそれは銀等級の先輩たちも同じだったのだろう。
誰もがアーシュラ・ベオウルフという英雄が初めて見せた弱さに戸惑い、泣きじゃくる少女の身を案じているようだった。
なんとかしてあげたいとは思う。
だけどあんな化物、俺たちにはどうすることも……。
「────そうよ。まだ手はあるわ!」
誰もが諦めかけたそのとき、リゼラが唐突に声を上げた。
「倒すのは無理でも、追い返すだけならなんとかなるかもしれない!」
「本当!? でもどうやって!?」
俺が聞くと、リゼラは何やら確信がある様子で頷き、さらに続けた。
「海竜をぶつけるのよ! 海竜はクラーケンの天敵。産卵場所に天敵がいたらクラーケンだって嫌に決まってるわ!」
「確かに、海竜は遥か水平線の先に垂らされた血の一滴さえ嗅ぎ分けるほど嗅覚に優れていると聞きますし、どうにかクラーケンに傷を負わせることさえできればニオイに気付いてねぐらから出てきてくれるかもしれませんわね!」
「けどあの巨体だよ? リゼラの砲撃だって効くかどうか……」
「それならば私に考えがある」
と、俺たちの会話に割り込んできたのは、筋肉ムキムキのハンサムなお兄さんだった。
えっ、誰!? なんでパンツ一枚だけなのこの人!? 怖い!
「こ、こりゃラルフ殿下でねぇか!?」
ザックさんが目を丸くして、冒険者たちが慌ててその場に片膝を突き、ムキムキお兄さんに頭を下げた。
殿下ってことは、この人がこの国の王子様!?
……なんでよりにもよってブーメランパンツなんだ。
「テメェ! 淫魔の足置きに成り下がったクソ野郎がどの面下げて出てきやがった!」
「アァッ! 痛ぁい! 小さくなってもいい蹴りだ! ありがとうございますワンッ!」
アーシュラさんがラルフ王子のスネに鋭いローキックをお見舞いすると、王子は蹴られたスネを抱えて床をゴロゴロ転げまわり、犬みたく鳴いた。
「何が“ワン”だ! 子どもたちが誘拐されたってのに衛兵どもは取り合ってくれなかったって聞いたぞ!」
「あっ! あぁ! そんなアバラを執拗にっ! イ゛ヒィッ!? その件に関しては言い訳のしようもない! だが奴の目を欺くためには下手に動くわけにはいかなかったのだ! すまない許してくれ!」
「どういうことだ」
「淫魔王はあの嵐の直後から王宮に忍び込み、少しずつこの国の貴族たちや聖神教の関係者を魅了して手駒を増やしていった。このままでは奴を追い出した時に国家として立ち行かなくなると考えた私は、あえて魅了されたフリをして道化を演じ、この十年、水面下で密かに仲間を募り反撃の機会を伺っていたのだ」
「ちょっと待ってくださいまし。殿下は淫魔の魅了を耐えましたの!?」
「無論だ。淫魔の魅了は心より愛する者がいれば効かぬ」
さも当然のように言い切ったラルフ王子は、アーシュラさんに熱い視線を向ける。
王子の言葉に冒険者たちはみんなどこか納得したような顔をした。
え、まさか王子ってアーシュラさんのこと好きなの!?
「十五年前、オーラン近海に流れ着いた姉さんを助けたのが殿下なんだ。一目惚れだったって、もっぱらの噂だぜ」
「じゃあ二人はその時からの……?」
「ああ、いわゆる幼馴染ってやつだな」
ビリーさんが町の外から来た俺たちに、二人についてこっそり教えてくれた。
幼馴染、か。美乃梨、元気にしてるかな……。
「私の力が足りなかったばかりに、お前や孤児院の子どもたちには苦労をかけてしまった。すまなかった」
小さくなってしまったアーシュラさんの前に膝をつき目線の高さを合わせた王子は、深く頭を下げ謝罪の言葉を口にする。
「……だがお前は私の期待以上の働きをして、私の手の届かぬところにいる民を守ってくれた。十五年前、海でお前を拾ったときから、あるいはこうなる運命だったのやも知れぬ」
まさかそんなふうに言われるとは思っていなかったのか、アーシュラさんはどこか照れくさそうに、ぶすっと唇を尖らせ何も言わず黙っている。
そんな彼女の手を取り、王子は熱に浮かされたような瞳を向け、さらに続けた。
「今一度、私の想いを伝えよう。────好きだ。そなたを心より愛している。結婚してくれ」
えー!? 今!? 今言っちゃう!?
パンイチだよ!? いくらイケメンマッチョでも無理があるでしょ!?
しかも相手はレベルドレインでかなり幼くなってるし。実年齢はともかく、絵面的にはどこからどう見ても犯罪だ。
王子から求婚されたアーシュラさんは、ポカンと口を開き固まっている。
誰もが固唾を飲んで見守る中、しばらくしてぶるりと身を震わせた彼女は、王子の手を振り払い……。
「…………いやいやいや無理無理無理! 気持ち悪っ!? 珍しく真面目っぽい雰囲気だから黙って聞いてりゃ結局これかよ! つーか生理的に無理って前にも言ったよな!? いい加減諦めろよ!」
めちゃくちゃ嫌そうな顔と尻尾だった。
誰がどう見ても本心で、脈はまったくなさそうだ。
つ、つらすぎる……。他人事なのになんで俺までダメージ受けてるんだ。
「ん゛っ゛っ゛っ゛!!!! ハァ……ッ、ハァ……ッ! い、今のは効いたぁ……ンっ。やはりお前こそ私の運命の人! 結婚してくれ!」
「今断ったよな!? 昔っからネチョネチョ付きまといやがって! 鬱陶しいから離れろ! つーか服を着ろ服を!」
「ああああっ! ありがとうございますワンワン!」
えぇぇぇ……。
流石に王族相手に不敬なのではと思い周囲を見渡せば、冒険者たちはみんな「懲りないなぁ」と呆れていた。
なるほど、普段からあんな感じなんですね。大丈夫かこの国。
「これはあくまで噂なんだがな? 初対面のときに姉さんから頭突き喰らって以来、ずっとああらしいぜ」
二人の事情を知らない俺たちにビリーさんがこっそり教えてくれた。
そういう恋の始まり方もあるんだなぁ(遠い目)。
「……ふぅ。ごほんっ! じゃれ合いはこのくらいにして、全員私の話を聞いてくれ」
ひとしきり悶えたあと、王子は何事もなかったかのようにスッと立ち上がり、真面目くさった顔で話を戻した。
無敵か? この人。
「クラーケンにダメージを与えられる武器なら────あるッ!」
「お前ら耳貸すなよ。変態の戯言だ」
「ホントだもん! ポケットマネーで極秘に作らせた巨大戦艦あるもん! 見たらビックリするぞ! ていうか見て! 自慢させて! 絶対すごいから!」
「そのナリで“もん”って言うな! ええいクネクネするな気色悪い! 本当に役に立つんだろうな!? ガラクタだったら承知しねぇぞ!」
「我が国の一年分の国家予算に相当する額を投じてきたのだから役に立って貰わねば困る! 案内するからついてこい!」
そんなこんなで変態マゾ王子の後についていくと、やってきたのは王子の自室だった。
よかった、普通の部屋で。
拷問器具とか置いてあったらどうしようかと。
王子はすたすたと文机の前まで行くと、引き出しを開けて机の裏側を手で探る。すると『カチッ』と音がして、窓の景色が上方向へズレていく。
この浮遊感、まさか部屋全体がエレベーターになってるのか?
やがて部屋が僅かに揺れ、王子に続いて部屋を出ると、そこはキャットウォークの上だった。
「こ、これって……!」
「見よっ! これこそ我が国の最新鋭超大型戦艦オーランだ!」
見下ろした先にあった異形の船に俺は息を呑んだ。
デカい! いつか見たタンカー船より大きいかもしれない。
前部甲板に四基八門の主砲を備えた総金属製の船は、第二次大戦頃の戦艦を彷彿とさせる。
今まで見てきたこの世界の船は全部帆船だった。
それらと比較するとこの船は相当異質で、なんというか異物感が凄まじい。
「これこそ我が国の近海に流れ着いた鉄の船を解析し作らせた最終兵器。全長五〇〇メートル。前部甲板には山すら砕く四基八門の主砲、衝角には海竜の角から作らせたドリルを擁し、船体横には左右に八機ずつ超大型の魔法照準器を搭載している」
王子の指差す先を順に見ていくと、機銃の代わりに船体横から巨大な魔法の杖が突き出ていた。
あそこに魔法使いを立たせて強力な魔法を撃たせるのか。
というかこの世界の長さの単位もメートルなんだな。もしかして劔が広めたのか?
「アダマンチウム合金製の船体は並の攻撃では傷一つつかんぞ。隠し玉の秘密兵器もあるし、間違いなく世界最強の船だと自信をもって言える!」
「か、カッコいい!!!!」
「そうだろうそうだろう! どうやら君はロマンの分かる男のようだ」
満足げな表情の王子とガッチリ握手を交わす。
どこかの異世界から流れ着いた戦艦を解析して、この国の技術で一から作り上げたのか。
こんなバカみたいにデカい戦艦、地球にだって無い。
てっきりただの変態かと思ってたけど、評価を改める必要がありそうだ。
「お前、こんなモノいつの間に……!」
超戦艦の大きさに圧倒されつつ、アーシュラさんの尻尾が興奮気味にブンブン揺れる。
カッコいいよね! 巨大戦艦!!!!
「もともと計画自体は二十年以上前からあったのだがな。十年前の嵐で一度凍結され、私が秘密裏に復活させたのだ。予算繰りには苦労させられたがな」
そう語る王子の横顔は、誇らしげながらも当時の苦労が滲み出ているようであった。
イケメンでマッチョで高身長で仕事もできてロマンも分かる王子様なのに、変態という一点がすべてを台無しにしてるんだよな、この人。
「処女航海は?」
「まだだ。このオーランの武装ならあるいはクラーケンに傷を負わせることも可能だろうが、なにせ新技術の塊だ。どんな不具合が起きるとも分からん」
「進水まで時間稼ぎしろと?」
「すでに海軍の船は出港させているが、それもいつまで持つか……。ギルドにクエストを出すにしても、冒険者たちを指揮する旗頭が必要だ」
「……全員生きては帰れねぇぞ」
「分かっている」
「────ッ!! テメェ! 自分が何を言ってるのか分かってんのか!?」
「……すまない。だが、現実的にクラーケンに手傷を負わせられる可能性があるとするなら、やはりこれしか方法は無い」
冷徹な物言いにアーシュラさんが食って掛かると、王子は感情を押し殺すように僅かに目を伏せ、それでもなお淡々と結論を口にした。
あの山より大きなクラーケンに立ち向かえば、どんなに力を尽くしても、どうしたって犠牲は出てしまう。
それでも、彼はこの国の王子だ。
国を守るためなら、非情と分かりつつも決断を下さなければならない時がある。
そのことはアーシュラさんも頭では理解しているのか、彼女はそれ以上何も言い返さず、悔しげに歯を食いしばり黙り込んでしまう。
できることなら、誰一人死なせたくない。
だが、今の自分に守り切れるのか。むしろ足手まといになるのでは。
震える背中から、そんな自問自答が聞こえてくるようで、見ていられなかった。
「まったく、あれだけ言ってもまーだ分かんねぇだか、この人は」
そんな彼女にやれやれと苦笑しつつ、ザックさんがアーシュラさんの頭をぐりぐり撫でる。
すると他の冒険者たちもそれに便乗して次々と手を伸ばし、彼女の頭や耳をもふもふ撫で回した。
「んなっ!? こらザックテメェ! わふ……。や、やめろぉ! 撫でるなーっ!」
「あははっ! わふ、だってさ。姉さんかーわいい。ほーれよーしよしよし!」
「マリー! ……くぅんっ。お前、後で憶えてろよ!」
「おお怖い。アタイら何度も言ったはずなんだけどね。姉さんの役に立ちたいって。そのために必死こいて強くなったのに、いつまでもガキ扱いされてちゃあ、ねぇ?」
マリーさんが同意を求めるように視線を巡らせれば、冒険者たちが口々に「そうだそうだ」と便乗する。
「マリーの言う通りですぜ。俺ら、もう守られてばっかのガキじゃねぇ。俺らは俺らの意思で町を護るんだ。たとえ姉さんだろうと止められる筋合いはねぇっすよ」
「ビリー、お前……」
「姉さんがどう思ってるかは知りませんけどね。ギルドは俺たちをもう一端のプロと認めてるんです。信用してくださいよ」
「ダイン……」
「俺らもうとっくに成人してんだぜ?」
「いつまでもガキ扱いは困るぜ」
「アタシら、もうあの頃の泣き虫じゃないッスよ」
「俺は泣いてねぇけどな」
「嘘つけ! お前が一番ピーピー泣いて姉さんにべったりだったじゃねぇか!」
「テメッ!? それは言いっこ無しだろ!」
リーダーたちの言葉に頷き、冒険者たちもそれぞれの思いを口にして、目前に迫る困難を笑い飛ばす。
彼らがアーシュラさんへ向ける眼差しはどれも力強く、やってやろうという意思の光に満ち満ちていた。
十年前の嵐がどの程度のもので、彼らがこの十年をどう生きてきたか、俺には聞いた話を繋げ合わせて頭の中で想像することしかできない。
だけど今この場を包んでいる温かな空気を生み出したのが、当時俺と同い年だった少女の懸命な救助活動の結果であることは、誰が見ても疑いようのない事実だった。
「……バカ野郎どもが」
ぽつりと、少女の口から小さな悪態が零れる。
くしゃくしゃに頭を撫で回されたせいで顔の半分以上が髪で隠れてしまっていたが、それでも口の端は確かに笑っているように見えた。
そのままブルブルッと頭を振ったアーシュラさんは、後輩たちを押しのけるように勢いよく立ち上がると、こちらに背中を向けたまま口を開いた。
「勝手にしろ! ただし死んだらオレがぶっ殺す! いいな!?」
言い方は乱暴でも、その裏に大きな愛が隠れていることを、この場に集まった全員が知っていた。
するとそこへ、まるでタイミングを計ったみたく誰かの靴音が響く。
やってきたのは陸軍の制服を着た若い将校だった。
用意のいいことに、その手には折り畳まれた王子の着替えもある。
「王宮の占拠、完了いたしました! 国王及び大臣、リストにあった不正貴族、聖神教の聖職者は全員逮捕拘束済み。聖神騎士団との戦闘で負傷者が数名出たものの、双方ともに死者はゼロであります!」
「ありがとう。よくやってくれた」
将校さんから受け取った軍服に袖を通すと、王子の雰囲気がぐっと引き締まり一気にそれっぽくなった。
ひょっとして、今まで俺たちが萎縮しないようにワザとふざけていたのかな。
「聖職者たちの逮捕と併せて大聖堂内を調査しましたところ、地下から横領の証拠と共に大量の財宝と現金が発見されました。現金だけでも三〇〇〇億ディアはあるものと思われます」
「そんなにか。随分と溜め込んだものだな」
「それと、やはり聖神騎士団の中に数体アンデッドが紛れ込んでいたようです。逮捕時に戦闘となり、マイト騎士長がエルダースケルトンに変貌する様子を従者の準騎士と数名の聖兵が目撃しております」
「……やはりか。報告ありがとう。マイクの準備はできているな?」
「はっ! こちらに」
王子が手を差し出すと、その手にマイクが渡される。
いったい何が始まるんだ?




