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ストーカー三昧・浪曲、小話、落語  作者: 多谷昇太
講談(2)ラメチャンタラギッチョンチョンデ
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聖体拝受

 えー、で、そのエピソードというのは彼の終焉の地となったマルセイユで…えー、実は彼はアフリカにおける隊商を率いての商取引を続ける間に悪性の腫瘍を患い、這う這うの体でマルセイユまで辿り着き、その地で右脚切断の手術を受けたのですが、既にガンは全身に転移していて結局彼はそこで没したのです。えー、で、その間ずっと彼の妹であるイザベル・ランボーがわざわざシャルルヴィル・メルヴィルから訪ねて来て、彼に付き添っていたのですが、いよいよの時、彼女イザベルは生涯彼女や母親に迷惑を掛け通しだった放蕩者の兄に「お願いだから聖体拝受を受けて!」と泣きながら懇願したのだそうです。かつての詩作で「おお、キリストよ。貧しく哀れな女たちの額を、汝の前で床に釘付けにさせた、汝、陰険なる神よ。エネルギーの大泥棒よ」とまで云って、悪魔派の詩人の面目躍如を果たした彼でしたが、ついに妹の懇願を受け入れて今際に聖体拝受を受けたのでした。母親のヴィタリー・ランボーともども敬虔なクリスチャンだったイザベルは、聖体拝受を受けなければ天国での復活はないと固く信じていたので斯くも強く懇願したのでした。そのような妹の指向を重々知りつつも結局は彼女の熱意に打たれたのでしょうが、しかしそれでもまだ彼は内心では業腹だったことでしょう。『なんとお前は敬虔一途な女であることか。お前は俺が神や人間についてどれほど思索したか、俺が持つ感性のありったけを使って迫ろうとしたのか、それを全然わかっていない。しかし…今はもう…いいよ。わかったよ。可愛い妹よ、俺は…』とばかりに洗礼を受けたのではないでしょうか。

 えー、それで実際のところ(なんと僅か)19才時までに彼が為した詩作(及び思索)活動だったのですが、そこには過去に類を見ないような実に斬新で鋭い、〝詩人たるものへの指摘〟が見て取れます。

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