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追放された宮廷庭師の弟子  作者: ゆりたこっぺ


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追放された宮廷庭師の弟子

「カイン!今すぐ来てくれ!うちの領地の魔植物を、誰かが引っこ抜いた!


魔人がすぐそこまで来ている!」


ある日のこと。

隣の領主の使いが、大慌てでやってきた。


「わかりました。領主様、行ってまいります」


「ああ。頼むカイン!」


カインは領主の許可を貰い、隣の領地へと急いだ。


「なぁ、魔人さんよ。

アンタが言う通り、魔植物を抜いてきたぜ。

だから、金をよ」


複数人の魔人相手に、隣の領民は言う。


「ああわかってる。まずは前菜と行こう」


「えっ」


魔人はそのまま食おうとした。


だが、それは飛んできた雑草の葉で阻まれる。


「……」


「危なかったですね。

怪我はないですか」


ガタガタ震える領民の近くに立ったカインは、魔人と対面する。


「人間。先ほどのはただの雑草ではないな。


何者だ」


「そ、その褐色の瞳」


「?」


魔人のうちの1人が悲鳴を上げる。


「魔植物の前では戦うなって言うだろ?!


それは、褐色の瞳のフローラが、魔植物を使って全滅間際まで追い込んだからだ!


だから抜かせたってーのに!」


「ふむ。つまりはこいつは、脅威というわけか」


「お、俺は逃げるぜ!戦うなんてゴメンだ!」


魔人は何人か逃げ出すが、カインは魔植物へと植物魔法をかける。


「サラセニアフラバ、ダーリングトニア、頼む」


先ほど領民が抜いた、


トランペットのような形をした黄色の植物が、カインの魔法に応じてウネウネと動きたじた。


抜かれた根はすぐに土へと根をはり、しおれていた身は大きく育っていく。


瞬間、甘い蜜の香りが魔人達を捕らえた。


「息を止めろ!」


仲間の声も聞かず、フラフラと、サラセニアフラバの中へ数人の魔人たちが入っていく。


正気に戻り、来た道を戻ろうとするが、足を滑らせ、中へ落ちていく。


「ぎゃああああ」


這い上がれなくなった魔人達は、サラセニアフラバの中で分解される。


他の魔人達もすぐに逃げようとするが、今歩いている道に頭をぶつける。


「??!違う、道じゃない……魔植物の中だっ」


気づいた頃には、緑の蛇のような魔植物、ダーリングトニア の中。


頭をぶつけ目を回した魔人は、そのまま中で捕食された。


「あぎゃああああああ」


カインの植物魔法は、おのおのの植物にとっていい環境を、調整できるものである。


そのため、生態系を壊さない範囲で魔植物を育てることを可能にしている。


「魔植物の食中植物はすごいな……」


「魔植物は人間を襲わないので安全ですよ」


「いや、そういうことじゃなくて」


領民達は感心した。

その姿を、1匹のハエが見ている。


「あの宮廷庭師の孫が、そうか。」


眷属を通して見た光景を、とある魔人が見ていた。


「ベルゼブブ様。あの人間はそんなに脅威なのですが」


「フローラほどではないがな。


だからフローラは、人間を抱きこんで、王宮から追放させた。


王宮内の研究を阻止するために」


「ではあの孫はやはり脅威ではないのでは?」


「はは、あの孫は……いや、弟子は、


魔植物を庶民でも育てられるよう、普及させたんだ。


我々魔人が昔よりも表に出れなくなった理由の1つだ」


「そうなのですね……」


「そう落ちこむな。

まだフローラの息子が作った、魔人殺しの薬を孫は完成させていないし、できない」


「ということは……」


「ああ。我々はまだ手が残っている」


クスクスと、2人の魔人は笑った。




参考文献にしている図鑑に「食中植物へ実際に虫を入れてみよう!」と書いてあり、血も涙もないと思いました。

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