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偽者

小形は駅からタクシーにのり、建山工場へと向かった。


「お疲れ様です」


「お疲れ」


小形は黄色のテープを跨ぎ、工場の中に入っていく。その足のまま、事務所へと向かった。


「おう、小形。お前も大変だな」


「渡邉。同情か?」


「いや、部下が死んだ友人を慰めようと思って」


「馬鹿言え、この職場に居たら覚悟している」


事務所は鑑識がすでに調査に移っており、多くの警官が出入りしていた。


入ってきた一人の警官に小形は質問する。


「なぁ、なんで高山はここに来たんだ?」


「この投稿を見たそうです」


それは掲示板の情報。犯行予告と共に、場所がしっかりと明記されていた。


「工場長は無事なのか?」


「はい。現在警察署で保護しています」


「そうか、、」


今まで見た他の現場と違い血みどろの戦いがあった訳では無さそうであった。机は幾分か荒れてはいるものの、飛び散った血痕がないからである。


「それと、高山さんの上にこんな紙が」


その紙には正義執行!と書かれていた。小形は成程と相槌を打ち、その場を後にした。


「小形早かったな」


「一つ、いや二つ分かったことがある」


「何が分かった?」


「一つ、これはそもそも工場長を狙った事件ではないこと。これは警官を狙った犯行だ」


「それはなぜだ」


「奴らは正義を騙っている。警察が正義だと考えられていることに嫌気が刺したんだ。だからあんな紙を置いた」


「そうか。つまりこれは警察に対する挑戦状ということか」


「それと二つ目。これは同一人物でない可能性が高い」


「もう一人犯人がいると?」


「模倣犯かそれとも協力犯かはわからないが、とにかく、あいつではないことは確かだ。あまりにも手口が巧妙すぎる」


「厄介だな。このままじゃ面倒なことになる。どうだ?小形。捜査二課に来ないか?お前の腕なら役に立つんだが」


「悪いが、俺には敵討ちをする必要があってね」


「まぁ、お前を引き抜けないのはいつものことだがな」


この事件は、大々的に報道され、未曾有のテロが起きる可能性があるとも報道された。SNSでは感嘆と驚きの声が飛び交う。賛成派と反対派で日夜意見が飛び交うことになった。


だがこの事件を知って、一番驚いたのは竹田であった。この男には見覚えがないのである。


「俺じゃない。誰なんだこれは、、」


「タケッチ。これは良くないプワ!獲物が取られるプワ」


「違うそうじゃなくて、こんなこと俺はする訳ないのに」


竹田は急いで携帯を取り出し、前下に電話をかけた。


「君がやったのか?俺はやってないぞ」


「僕も違います。中学生の僕が銃を用意できる訳ないでしょ」


「なら、この事件は誰が?」


「模倣犯。としか言いようがないですね今は」


「それじゃ困る」


「そう言えば、竹田さんはそのプワコとやらに力を貰ったんですよね」


「そうだけど」


「もしかしたら竹田さんと同じように力を貰った人が居るんじゃないですか?」


竹田は電話を切り、プワコに問いかける。


「タケッチ。それはあり得ないと思うプワ」


「どうして?」


「数多の星がある中から、この地球を選ぶ個体がいるとは思えないプワ」


「そう言えば、プワプワ星からどうやってきたんだ?」


「宇宙船プワ」


「けどあの近くに宇宙船なんてなかったけど」


「本来プワプワ星いるときはもっと小さいプワ」


「なら地球に来たから大きくなったってこと?」


「違うプワ。着陸したときに近くにいたこの犬を使ってるプワ」


「えっと、、つまり寄生してるってこと?」


「寄生、、とは少し違うプワ。魂を借りているプワ」


それは寄生なのでは?と思う竹田であったものの、自分と同じ能力を持った人が居ることを考えると、それもまた警戒しなければいけなかった。


この騒動は大きな波紋を呼んだ。市長の暗殺、警察の襲撃。吉俣市だけでなく社会の不安は積もっていた。かつてヨーロッパの火薬庫と呼ばれたバルカン半島のように、この不満もまた爆発寸前であったのである。

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