六対の悪魔
大変お待たせしました。ゆとりが出来ましたので更新させて頂きます。前回投稿から約四ヶ月空いてしまいましたのでリハビリがてらになっていますので少し少なめです。続きも近い内書きますのでお楽しみに!!!
『ククク、あぁ……実によく馴染みます。溢れ出すこの力は、―――まさに神の力です。クククッようやく手に入れました!』
バキボキと骨が砕ける音を立てて悪魔ラプラスの姿形が変化する。二対だったコウモリの羽が六対の翼へ変化する。
悪魔の強さは翼の数とよく知られている。翼が四対となると、それは最も神に近しいとされる。
『さぁ、私の眷属たちあの邪魔な結界を破り、今度こそ破滅へと導いてさしあげなさい。』
パチンと指を鳴らすと、動物の骨から生まれたような二足歩行の眷属たちにも変化が現れる。肉筋ができ、内蔵が生まれ生物らしさが出来上がる。
だが、その姿はそこで止まり、まるでゾンビのような骨が剥き出した状態で成長は止まった。
サルのような姿のゾンビが一気に飛び出した。飛び上がる際に地面に打ち付けた腕は粉々に千切れ飛んだが、その威力は弾丸が飛ぶように素早く、覆っていた結界に振動を起こし揺さぶった。ぶつかった衝撃で粉々になってしまったが、その威力は雑魚と呼ぶには余りある力を持つ。
次々に結界へぶつかっては弾け飛ぶ。眷属の捨て身攻撃で徐々に結界は軋み悲鳴を上げる。
『さあ、これで仕上げです。クククッ』
無数の眷属が折り重なり一つの存在へと変わって行く。
30mを優に超える巨大な肉塊が口を開いた。一瞬、ピカッと光った後、全てが天宙ひっくり返った。
地面は抉れ、土砂が盛り上がりクレーターを作る。一直線に残した傷跡はその威力を物語っている。
音を立てて結界が崩壊した。
『クククッ。アナタも惨めですね。守ろうとした物は奪われ、作り上げた物はこのように簡単に崩れ落ちるとは、ああ実に良いです。その絶望に満ちた顔!
私はその顔を見る度に心が踊る!
実に唆られるアナタのその魂に!
ですが、………まだです。食べるにはまだ早いです。アナタはデザート。クククッ。
上の者共を食べたあとにしましょう。』
翼をバサバサッと羽ばたかせラプラスが宙へ舞い上がった。そのまま地上を目指す。
* * * * * * * * * * * * *
あぁ……悪魔が離れて………いく
一斉に飛び立って行く悪魔たちの後ろ姿を見送りながら俺はただ立ち尽くしていた。
「く、そっ くそっくそ!!!」
吐いたどうしようもない言葉でまた自己嫌悪に浸った。
このままでは悪魔たちに地上の人達が蹂躙されてしまうが、虚無感で胸が張り裂けそうだ。
「あと………少し、だったのに……!!」
―――― ソフィアを助けられなかった。
ぐるぐると無力感が回る。
『いつまでそうやって自分に浸っている』
幻聴か―――どこからか声が聞こえた。
右頬に痛みがあった後、自然と下にあった視線が上へと向いた。
そこには前に夢であった黒髪に制服姿の自分自身がいた。
どうもショックで頭がおかしくなったようだ。
『まだ寝ぼけてんのか。さっさとあれを追いかけろ。腰抜けが』
「………うるさい。お前にだけは言われたくない。」
睥睨して見下ろす自分に思わず言い返した。
『はっ。まだ言い返すだけの元気はあったか。ならさっさと切り替えろ。まだ終わっていねぇ。』
上を見上げる自分の視線の先には遠のいて行くラプラスの姿が見える。
強い力でもう一人の自分がグイッ海を近付けた。
『いいか。一度しか言わない。その小っぽけな脳みそでちゃんと理解しろ』
* * * * * * * * * * * * *
「ククク、これでやっと私を否定した天界のあいつらを見返すことが出来ます!!」
溢れ出るその"情報"はこの先の未来その物であるかのように脳内に焼き込まれて行く。
既に神の領域に足を踏み入れつつあるラプラスはかつて、地の底へ落とした者達への復讐心で心を踊らせる。
「こうクイッとして、ポイっです。」
地上の人々を弄ぶ姿を思い浮かべ、笑みを浮かべていた。
悪魔は気付かなかった。
この世界に於いて、『守護者』の称号を引き継いだ者。その真価を―――。




