グリモアと条件
長らくおまたせしました。更新させていただきます。
結界は正常に作動している。
再びミレドが目を閉じたのを確認した後、グリモアに視線を向けた。
成り行きを見ていたグリモアがにっこりと微笑んでいる。
『話があるグリモア』
「何でございましょうネスク様」
『ミレドを開放しろ。お前なら可能だろ?』
グリモアがミレドにあの黒い鍵をつけたのなら、それを取り除く事も可能な筈。
「………そうですか。やはり貴方様はその選択を掲示なさるのですね。ええ分かっていました。可能か、不可能かでいえば可能です主様。」
『なら、』
「ですが、タダで。とは参りません。私にも『ある』条件をさせていただきます。」
『条件?』
「ええ、条件です。」
にっこりと微笑むグリモアの瞳からは何も分からない。彼女の考えている事は何も表情から読み取れない。
グリモアが片手に持った黒い本をぱたんと閉じた。
「『ソフィア』を忘れ、私を側に置く。――――それが私がミレドを助ける条件です。」
『なっ?!』
「条件としては、悪魔の契約より格安な物以下がなさいますか?主様」
紫色の目が怪しく光揺らめく。
その条件はつまり、ミレドを選ぶか、ソフィアを選ぶかということだ。……いや、それよりもっと選択の幅は狭い。
選ぶか、選ばないかの前にソフィアという存在は既にグリモアの手中にある。
――――― 選択肢は無く、一択だ。
けど、その条件を呑むわけにいかない。
『ならば、交渉は決裂だ。力付くでお前を従わせる。』
「私として不本意ですが、力付くというのであれば、私も引くわけにはまいりません。お相手させていただきます」
グリモアが指パッチンで指を鳴らした。すると控えていたエクス・マキナが動き出した。備え付けられた砲口をネスクに定めて魔力の弾丸の雨を発射した。
身に纏った雷がネスクの体にスピードを与える。これなら――――、
『遅いっ!』
雷で体中の体毛が針のよう逆立つ。弾丸と弾丸の間を縫うようにエクス・マキナに近づいて行く。
届く飛距離まで近付くと鉤爪を振るった。魔力の刃が爪を型どったようにまとう。まるでミレドが使う【鋭爪】のようだ。
両手の大きな砲口がネスクに向けて狙い定め、キーンという甲高い音が鳴る。
大きいのが来る。だがその前に!
『【斬】!!!!』
爪に付与された雷に、更に斬撃を付与した爪を一閃。エクス・マキナの両手がスパッと真っ二つに切れると溜まっていた魔力が暴発してエクス・マキナが吹き飛んだ。
破片が飛び散り、ヒト型の機械は無惨なスクラップへと変わった。
ぱち ぱち ぱちっ。
グリモアが木の上に腰掛け拍手をする。
「さすがは、主様。行き過ぎた叡智の果てに人間を滅亡へと導いた機械をこうも簡単に撃破されるとは。エクス・マキナも、こえなってしまえば、自動修復は発動出来ません。」
『……まだ、条件を変えるつもりはないのか?』
「ええ、私にも譲れない条件ですので。
せっかくこうして、表に出られたのですから。貴方様に仕えたいという私の気持ちは貴方様にも変えることは出来ません。」
再び、黒い本『グリモワール』を開いた。一瞬見せた仄暗いグリモアの表情が何だったのか………。
「さあ、目覚めなさい!マッド・サイクロプス!!」
膨大な魔力が吹き荒れ集結していく。
地面が揺れ、盛り上がってヒト型の魔物に変わっていく。
大きな一つ目がギョロリとネスクへと注がれる。
マッド・サイクロプス――――ヒト型の大きな一つ目巨人で土から生み出された魔物。あっちの世界でいう泥田坊とダイダラボッチを足したような魔物だ。
『はっ!』
雷の魔力弾をマッド・サイクロプスへと飛ばした。当たった箇所は穴を開けて吹き飛ぶも、すぐに塞がり元通りになる。
雷と相性が悪い上に、エクス・マキナ同様再生能力がある。骨が折れそうだ。
『なら、ここは一旦。解除』
雷狼を解除する。そこを狙ってマッド・サイクロプスが手を大きく振り上げた。
振り下ろす手を避けて魔力を練る。
魔力を爪に集め、爪から魔法を発動!
「【激流刃】!!」
鋭い水の刃がマッド・サイクロプスを袈裟斬りに貫いた。土で出来た身体がズレ、崩れ落ちた。
「すごいすごい!こっちでは危険度Sに分類されるマッド・サイクロプスをまたもや一瞬とは。ふふふ、私。楽しくなって来ましたネスク様。」
『お前、一体何がしたいんだ。』
さっき自分は戦わず、召喚した物で戦うばかり。
「私は貴方様に理解して、諦めて頂きたいだけです。『ソフィア』という存在は既に私という存在に塗り替えられ存在しない、という事を。さあ、今度はドラゴンパーティー!!!
存分にご堪能下さい!ネスク様
!!」
上空に次々と光る魔法陣の中から彩りどりの竜が現れる。
知っているだけでも、ファイアードラゴン、アクアドラゴン、ウィンドドラゴン、フォトンドラゴン、ファントムドラゴン
………他etc。
地上の国の者達がこの場にいれば、世界の終わりと思う状況だ。
だが、ネスクにはこのくらいの脅しは通じない。
『俺は必ず、ソフィ、ミレド二人を取り戻す!お前がどうしようと俺の意志は変わらない!!』
再び雷狼を発動させてネスクは
竜が四方多量に待ち構える中へと飛び込んだ 。
その様子をグリモアはギュッと拳を握り締め、見ていた。
「どうして、貴方様は私を………」
ちょ〜っとフライングになりますが、次回予定している内容は、結界の中で再び意識を無くしたミレドがとある人物の助けを受ける内容にしようと考えています。お楽しみに!




