ミレドと竜達 七
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【炎壊】で武器破壊を行ったせいで、ミレドがもう一度、【鋭爪】を展開しようとするも、それは叶わない。
これは、【炎壊】の持つ特性で、これで破壊した魔法はしばらくの間、その展開を阻害される。
大量の魔力を必要とするため、戦闘中の使用回数は制限されるが、それでも状況次第では大きな突破口になってくれる頼もしい魔法だ。
「ふふふ、あなた。ミレドグラルの出来損ないしては、かなりの腕ですね~。並の魔法士なら、切り札を封じられ無力化させられちゃいますね~。でも、相手があの“龍”ということをお忘れじゃないですか~?」
ふざけた話し方をするグリモアと名乗った者に苛立ちを覚えながら、その場を右に回避した。
手の平から放たれた光線が一直線に様々な障害物を破壊していった。
―――――そう、 『吐息』だ。
『吐息』は【炎壊】でも無効化することは出来ない。
再び魔力が手の平に収束していく。
二発目が来る!!
「風よ 荒れ 妨げよ 【風矢の旋風】!!!」
ミレドを囲い込むように【風矢の旋風】が展開する。【風矢の旋風】は無数のウインドアローがグルグル回転しながら、相手に向かって攻撃する魔法。流石のミレドでも、この魔法を突破するのにそちらへ気が逸れる。
『吐息』が【風矢の旋風】に向かって放たれた。一瞬で一蹴される。
「うへ~やっぱ、目眩まし程度にしかなりませんぜ、代表。俺この魔法を習得するのに親父にどれだけ扱かれたことか…………」
「無駄口叩いてないで今すぐ、展開しなさい!次が来ますよ!!」
ふわりと空から降りてきたグィンダルを叱りつけ、前方に数発の巨大な火炎弾を打ち放った。
『吐息』が火炎弾と激しくぶつかる。ぶつかった火炎弾が連鎖効果で爆ぜたが、それでも『吐息』の勢いは止まらない。
(くっ、仕方ない!!)
覚悟を決めて全身に竜隣を展開。竜隣はあらゆる物理攻撃を弾いてくれるが、どこまで持つか…………
「どっっっっっせええええええええい!!!!!!!!」
ド ッ ッ ゴ ―――――― ンン!!!!!!!
迫っていた『吐息』の軌道が歪んだ。
右、顔一つ分を掠めていった吐息に呆気に取られていたが、目の前の人物で納得した。
「ミレド様!!!一体どうされちゃったのですか!」
メイが振り下ろした大きな槌を持ち上げる。
「おやおや~戻って来たのですか~?あのまま逃げちゃえばよかったのに~」
「…………あなたですか。ミレド様に何かしたのは………許しません。ローグ君にもあんな、ひどいことをして…………貴方だけは許しません…………!!!」
メイの怒りが大気を震わせる。彼女の怒りも納得できる。
ローグはメイと幼馴染である。幼い頃から共にいるローグが傷つけられたのだ。その上、崇拝し尊敬するミレドに何かしたのだ。
ここまで彼女の逆鱗に触れたのだ。
ピキッ ピキッとメイの皮膚が硬質化していく。
土竜であるメイの竜化の特徴である。
火竜の竜化とは違い、鱗のような物は無いが、それでも火竜の鱗など匹敵しないほど硬い。
メイが槌を大きく振りかぶり構えた。
ミレドがメイに向かって『吐息』を撃つ。
だが、そのブレスは大きく軌道を変えて逆にグリモアの方へと向きが変わった。表情を変えずにグリモアが持っていた刀を振るった。
『吐息』を真っ二つに切り裂いた。
「…………気に入りませんね。この私に向かって攻撃とは。いいでしょう!
出来損ないの貴方たちの相手を私もしてあげましょう。」
不機嫌さを滲ますグリモアが刀を手放すと、刀が霧となって消え去った。
片手を上へ向けた。眩しい光が発生した後、手の平に黒い霧が集まっていく。
そして、集まった霧から黒い本が現れる。
「さあ、遊んであげましょう!!」
「へぇ~相変わらずメイちゃんの魔法って発動が分からないねぇ~」
「…………行きますよ、グィンダル。メイだけではいくらメイが強くてもあの二人が相手では持ちませんから。」
「はぁ~ここ数日の俺って、厄日だなぁ。あんま使いたくなかったけどしゃーない。」
グィンダルの周りに風が集まっていく。翡翠色の竜隣が発現し、翼が大きく広がる。風竜の特徴的な竜化だ。風竜は最も飛行に長けた竜。竜化もその能力を生かせるものとなる。
腕まで竜鱗が発現していたのが、全身へと展開していく。
竜化が進むと徐々に竜の姿に近い姿へと変化する。
その証拠に先程までなかった尾が生え、人に近しい爪が鋭い鉤爪へと変わった。瞳の瞳孔も縦長へ変わり、頭に角が生えてくる。
さあ、ここからだ。




