ミレドと竜達 三
先週は更新できず、すみませんでした。
お詫びの意味を込めて今回は二本更新します。
「ウッウッ!キー!キー!」
『ウーキーモンキー』という猿の魔物の群れに囲まれてしまった。強さ自体DからCの間の強さなのだが…………
「こんなサル!ミレド様の手を煩わせるまでもありません!!!」
土魔法で生成した大きな縋をメイが振り上げた。地を蹴って大きく跳ね上がったメイが狙いを定めて大縋を振るう。
「待ちなさいメイ!!」
だが、珍しく焦った声音のエリュトロンが制止しようとした。
「あ~、やっちまったな〜」
「そう言っておらぬでメイを助けぬか!このたわけ!!」
「と言ってもですね〜ミレド様。あいつら男の俺達には無関心なんですよ。これが………」
あーだこーだと言い逃れをするグィンダルだが、それも仕方が無い。何せ、この猿の魔物―――――
「ウッウッウッウッキー!!!」
「ひゃうっ!私のパンツ返して!!」
ひらひらと片手に白い布地を掴んだウーキーモンキーをスカートを抑えて追いかけ回すメイ。この猿の魔物の通所は『スケベモンキー』と呼ばれる。
男には興味を示さず、女にのみ下着を剥ぎ取るといういわゆる………あれな猿の魔物である。
ギラギラと目を光らせたウーキーモンキーが文字通りこちらにも襲い掛かってきた。
「ありゃりゃ。ミレド様〜モテますね〜」
グィンダルの余計な一言を聞き流して、四方八方から襲い掛かるウーキーモンキーに向かって魔力を行使する。
「【拘束の鎖】」
ウーキーモンキー達は手足をぐるぐる巻きに拘束される。キーキーキーキーと、何とか動かそうとするも複雑に絡め取られたウーキーモンキー達は動くことさえも出来ていない。後は『炎の処刑人』が仕事をするのみだ。
「我らの神に何と不敬極まりないその薄汚い欲望を向けるとは、万死に値する。その身を持って貴様らの行いの罪を償うが良い!!!」
火炎がウーキーモンキー達に向かって解き放たれた。黒い炭へ変わっていくウーキーモンキー達を眺めてからメイと合流するため走り出す。
「土の杭を以て、穿て!!」
メイの大槌が地面を叩いた。
未だにメイの下着を握りしめたウーキーモンキーの胴体へ巨大な土で出来た杭が刺し貫いた。
その一匹のみならず、数多いたウーキーモンキーもその餌食となって巻き込まれている。
【地奮起】の呼応変換魔法。大槌に予め仕込まれた【地奮起】の魔法陣を地面に打ち込む事で起動するよう仕込んでいたようだ。
正確に魔物の核を貫かれたウーキーモンキー達は黒い塵となって消えた。
ひらひらと舞い落ちた白い布地の下着が
地面に落ちた。
「ううう、もうお嫁に行けない。」
目一杯に涙を込めてヘタリとメイが座り込んだ。そんなメイの頭を優しく撫でて上げる。
「よしよし、良くやったのう。もし嫁の貰い手がおらぬのであれば妾の元へ来い。歓迎するぞ!」
「うう………ありがどうございまずぅ……」
「ほれ泣くでない!ささっと身に着けてしまえ!!」
落ちていたそれを渡した後、ギロリとそっちへ睨みを効かせる。
グィンダルとエリュトロンが明後日の方へ視線を向けた。
彼女の矜持のためにも、ここであった事は何も見ていない――――そう睨みを効かせるのであった。
* * * * * *
途中色々と合ったが、何とか安全地帯に辿り着いた。
森の中にぽっかりと開けたそこは魔物のが何故か近寄らず、避けて通るようになっている。
そんな区域がダンジョン内には存在し、冒険者達からは安全地帯と呼ばれる。
「あっ!ミレド様!!」
安全地帯に入るとこちらに気づいた女性が手を振っている。
薄い青色の髪が右肩から前に流ししている。頭の両側からは耳の代わりに魚のヒレのような耳が見える。
おっとりとした彼女の名はアクアリス。
奈落の底に来てもらった竜族の一人である。
「アクアリス、報告を先にお願いします」
「あ、ごめんなさいあなた。ミレド様がいらっしゃったからつい」
「そこ二人共〜夫婦でじゃれ合うのは二人だけにしてくださ〜い」
エリュトロンとアクアリスだけの空気感になりかけている所をグィンダルが修正する。
グィンダルの言う通り、この二人は番―――つまり夫婦である。
同じ者同士で夫婦になる事が多い竜族だが、『炎竜』のエリュトロンと『水竜』のアクアリスは、竜族の中でも珍しい夫婦らしい。
竜族といえど、数多の能力でそれぞれ属する部族が異なる。主要な能力は――――炎、風、水、土、光、闇。
その中でも『炎竜』と『水竜』は仲が悪いらしい。そんな二つの部族の二人がくっついたのだから、一度、二人とじっくりと話してみたいものだ。
「今の所、特に異常はないわ。偵察のためローグ君が単独で辺りの調査に行ってるけど、休憩するだけであれば問題ないと思うわ。それより………、メイちゃんどうかしたの?」
「うう…………アクア姉!!」
メイがアクアリスに抱きついた。そんな様子にアクアリスは戸惑いつつも優しく背中を擦る。その様子はまるで母と娘のようだ。
「問題ありません。途中、猿の魔物に襲われたのみです。しばらくすればいつものメイに戻るでしょう。」
「あら〜、そう。怖かったね。メイ」
『襲われる』の意味合いに温度差があるような気がするが、まあ、そんな事いいかな。
それより、ローグはいつ戻るのだろうか?
和気あいあいとする雰囲気を他所に外へ出ているメンバーの最後の一人、ローグについてミレドは考えるのであった。




