↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
守護者が織り成す幻叡郷  作者: 和兎
4章 奈落の底編
309/347

思いを込めて・・・・

更新します!!ちょっと短めです

 自分という存在(記憶)が沈んでいく。

 絶望という名の黒いインクに染まっていく中、ピアノ線のように細い繋がりが小指に繋がっているような感触を感じる。


(せめて…………あ、の…方の……もとへ…………)


 もう、()()()も黒いインクに塗りつぶされた主の元へ、最後の力を振り絞ってその糸のように細い『繋がり』を頼りに…………送り出す。


  □ ■ □ ■ □ ■ □ ■ □ ■ □

  ■ □ ■ □ ■ □ ■ □ ■ □ ■


―――――― ぐにゃりと視界が歪んだ。


 迫り来る()を軽く叩くと、石は簡単に砕けた。




 後ろで何か喚いているが、遠くでホイッスルの音が聞こえてくるため彼らを無視して恵を連れてその場を離れた。

 彼らのことを考える余裕が今、頭の中は大混乱になっているため無い。


(なんだ…………この記憶……………………)


 既視感があるのに()と矛盾だらけの記憶。

 その記憶が正しければ、俺は今ここにいない事になる。


「大朏君、大丈夫?その…………顔色が…………」


「えっ?」


 いつの間にか振り返って覗き込んできた恵の顔が下から上目遣いで見えた。

 冷たい恵の手がおでこに置かれていた事で強制的に現実へ戻った。恵のした行動に心臓が大きく跳ねた事で処理に徹していた頭が真っ白になった。

 

「……うん。熱は無くて良かった~。助けてくれて…………ありがと」


「あ…………うん。何もなくて…………良かった」


 熱があるか測った手をのけ、安心したような柔らかい笑顔を浮かべた後、語尾の「ありがと」が消えそうになるくらい小さくなっていった。

 普段言わない事を言ったせいか、恵は顔を赤くした後、そっぽを向いてしまった。

 堪らず俺もされた事と言ったことに髪をいじりながら、顔をそむけてしまった。その間、バクバクとうるさい心臓の音がずっと鳴り響いているようであった。


「……………………飯にするか」

「……………………うん、そうだね。」


 何ともいえない間を置いてぎこちない感じで二人は歩き出した。




 昼食を終わった後、帰る前に小夜へのお土産を決めるためにアクセサリーショップに来ていた。

 食べ物も考えたが、今年が受験生という事も加味して、受験成功になる『お守り』になるようなものがないか探している。


「これなんか、小夜ちゃんにどうかな?」


 恵が持ってきたストラップに思わず顔が引き攣った。

 小さな達磨のストラップだ。見た目は達磨で縁起ものだが、達磨に寄り添うように書かれた文字が『悪霊退散』と書かれている。


 一体、小夜に何と戦わせようとしているのだろうか。


「それは………ちょっとな………。恵はクラスで人気のヤツとか知らないか?」


「んー、あるにはあるけど、どれも合格祈願じゃないよ?」


「………そうか」


 小夜の好みなんて、ここ数年知らない。

 一体何がいいのか全く分からない。


「大朏君が選んだものなら小夜ちゃん喜びそうだけどなぁ。」


「いや、センスないとかですぐゴミ箱に捨てられそうだ」


「え~そんなことないよ!!小夜ちゃんいい子だもん!!」


「……………………」


 それは、恵だからだろう。敢えて言わないでおくが、最近は話しかけても無視されたり、何かと文句をつけてきたりと反抗的である。身の安全のために何も言わないでおく……


「おっ、これでいいかな……」


 一瞬、記憶に何か過ったが、幾つかあるアクセサリーの中で自然とそのネックレスに手に取った。


「可愛い!良いと思う!小夜ちゃんにピッタリだね!!けど、何で蝶々なの?」


 普通、お守りといえば招き猫や鶴亀、龍だろう。

 そのネックレスは紫の石で作られた蝶々の形をしている。


「バタフライエフェクトって、知ってるか?」


「何?映画のタイトル??」


「ちげーよ!!」


「ふふ、冗談だよ。小さな変化でその後の結末が変わる事でしょ?知ってるよ。エッヘン!!」


 悪戯が成功した子供ようなの笑顔を浮かべた後に胸を張った。その仕草は一々目を引き付ける。

―――気のせいだろうか

 数分前より客足が増えたような気がする。


「そうそう、それそれ。」


「それとそのネックレスに何があるの?まさか…………」


「小夜には良い結末になって欲しいからな。………何か悪いか?」


「いいえ。素敵でいいと思うよ」


 今を頑張れば、高校合格も夢じゃない。

 そんな思いを込めて、そのネックレスを持ってレジへ行くのであった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。