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守護者が織り成す幻叡郷  作者: 和兎
4章 奈落の底編
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ある晴れた一日

更新します。久しぶりに今話は糖分多めのデートでの話です。

 左手に巻き付けた腕時計を確認した。時計の針は午前九時をちょうど五分過ぎた。

 待ち合わせの時間は九時にしていたが、まだ恵は来ていない。


(まあ、あの恵だから気長に待つか……………)


 生徒会長を務めている恵であるが、ああ見えて抜けているところもあるためこういう事は慣れっこだ。

 今日回るショッピングモールのルートを思い浮かべていると、自分を呼ぶ声が聞こえてきた。


「大朏く~ん!!!」


 近付いて来るにつれて声が大きくなって顔をあげた。

 初夏のこの時期にあった袖が短めの薄い生地のワンピース、胸元のネックレスがワンポイントになっていて清楚かつ可愛らしい衣装だ。


「おう、おはよう。大丈夫か?」


 顔に雨粒のような汗を垂らして呼吸を整えている恵。恐らく家から走ってきたのだろう。


「はあ………はあ、ご、ごめんね。待たせちゃって…………」


「別に気にしてないが…………、ちょっと休憩するか?」


「このくらい大丈夫だよ!子供の頃じゃ無いんだから。ね、それより早くいこうよ!!今日一緒に回りたい所がいっぱいあるから、ね、ね!」


「ちょ、引っ張るな引っ張るなって!」


 俺は手を引かれて歩き出した。汗いっぱいの顔に向日葵の花のように元気な笑顔が手で覆いたくなるぐらい笑顔が眩しい。

 彼女は自覚していないが、その笑顔は、男にしてみれば凶器そのもの。そのくらい今の恵の笑顔は男の心を虜にする威力がある。

 周りを見れば、既にその笑顔に惚けているものや、意識を失いノックダウンしている者がいる。


「? あの方、どうかされたのかな。熱中症?」


「…………まあ、夏だからな。」


 いやいや、あなたのせいですよ。


 思わず言いそうになったがぐっと我慢した。理解していない恵には男心はわからないだろう。



「そう、夏なんだよね!大朏君!!行きたい所あるから早く!」


「ああ、うん………」


 再び引っ張られるがまま、俺はそのまま引っ張られた行った。


   * * * * * * * * * * *


――――― どうしてこうなった!!!


 引っ張られるがまま一緒に連れてこられたのは、『水着専門店』。それも、女性用売り場である。

 ちらほらいる客は当然女性ばかり。非常に居心地が悪い


「ねえ、大朏君!これとこれ、どっちがいいと思う?」

「へっ?」


 周りにばかり気を取られていたためおかしな返事になってしまった。


「もう!これとこれ!」


 頬を膨らませた恵が二種類の水着を突き出してきた。

 一つはワンピースタイプの水着。白と橙をベースにした水着である。スカート部分が白と橙を交互に染色されている。

 ワンピースタイプのため素肌の露出は少なく、色合いも柔らかい橙色のため恵のイメージにピッタリだ。

 もう一つはハイネックタイプの水着である。

 こちら薄い水色をベースにしている。腰に巻く布地には水玉模様があり、まるで水包のようである。ワンピースタイプに比べるとへそ周りが出ているためウエストを気にしないといけないが恵はほっそりとした体形のため十分水着も映えるだろう。奥ゆかしい清楚なイメージ。こちらも恵に合う。


「うーん、どっちも良いんじゃないか?」


「大朏君………その答えって、一番困るヤツだよ。どっちがいいか聞いてどっちもって、答えになってないよ!!全くもう!」


 機嫌を更に損ねたようで、ぷんすか怒りながら頬を膨らませてから可愛らしく怒り出した。その怒り方は今も昔も変わっていない。


「ははっ、ごめんって!今の恵って、美人だから何着ても似合いいそうなんだよ」


「それ、本当?」


「ここでお世辞を言っても仕方ないだろ?周りも認める美人なんだから」


 実際、ちらほらとこちらに向ける視線は後を絶たない。

 二度見してしまう程美しい恵の信者は学校でもそこかしこに存在する。


「大朏君もそう思ってる?」


「ああ!そう思ってるよ」


「えへへ、ありがとう。」


 はにかむように笑う恵。照れくさいようでほんのりと頬が赤い。


―――――― ブシャアア!!!


『おい大丈夫か!傷はまだ浅い!!』

『救急車!!誰か救急車を呼んでくれ!!!』


 水着専門店の前の通りが騒がしい。ここはショッピングモールになっているため他の店へ向かう客もいるのだが、その客の誰かが鼻血を大量に流したようだ。


「? 今日はよく倒れる方に会うね。で、どっちがいいと思う?」


「あ~、こっち。」


 苦笑を浮かべて選んだのは、水色のハインネックタイプの水着であった。

 その後も何店か店を回ったのだが、その度に倒れる人が続出したため、一日で何度も救急車が出動したのであった。

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