朝の修行その三【ミレドサイド】
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「ああ…………ああ……あ……み、ず…………」
「しぬ…………」
「俺達、こんな所まで来て……どうして……」
「ほれ、走らんか!ぬしらはな何しにここまでいかのじゃ?ピクニックをするようならば帰らぬか!!」
息も絶え絶えでボロボロになった召喚された者達に加え、なぜか王国の兵士も参加していた。
かなり鍛えている彼らがゾンビのように意識が失いかけている。
―――今は、昼前。朝からずっと走らせているのでその足腰は子鹿のようにプルプル震えている。
「ふぅ ふぅ ふぅ ふぅ」
テンポよく吸って吐いてをリズムでいつものように走る。既に彼らの傍らを何回横切っているのか分からない。
「はぁ……はぁ……かれんさん………待って……」
「マロマロだらしないです!」
「だ、だって……」
今日は、兄姉弟子が一緒にいない代わりに可愛いお供が二人いる。
「今日はこの辺で手打ちにします二人共。"初めて"にしては筋が良いですよ!」
「やったのです!」「は………い……」
まだまだ余裕のあるフルールと、終わりを告げた瞬間に息切れでへたり込むマロン。マロンはともかく、フルールに関して特筆すべき能力を持っている。
―――流石、特定の地に住居を構えない放牧民族であるユニコーン族である。
体力に関しては上位ランクの一族と引けを取らない。
顔の汗を手で払い、ポニーテールにしていた髪を下ろす。【重力】を掛けられてここまで動けるようなった自分の成長にどこか達成感を感じる。
最初こそ、動くのもやっとであった。
走る事など到底出来ず、翌日からは筋肉の悲鳴が体中からあがっていた。
この数ヶ月で、当時と比べれば今は身体的にも、そして魔力の方も街にいた頃より数倍以上も成長した。
今走らされている彼らも、ミレド様が鍛えれば格段に強くなる筈だ。
「はい!三人共お疲れ様です。飲み物をどうぞ!」
ポーアが三杯のコップを蔓羽衣に携えて寄って来る。彼女はサポートに回っているのだ。いないとは思うが、これだけ人がいれば、周をちょろまかそうとする者が出てくるためだ。
そういう者の監視のためにポーアがいる。いかなる者でも
――――彼女の『眼』は騙せない。
「ミレド様も………彼らに"普通"の事をさせるのですね。私てっきり……」
息を落ち着かせようと深呼吸をする。そして、受け取ったジュースを一気飲みした。
マロンの言おうとしている事は分かる。
「ミレド様はどんな方でも特別扱いはしません。たとえ異界から呼び出した者であったとしても変わりません。」
「どうして……ですか?」
ポーアはにこりと優しく微笑んだ後、フルールにもコップを渡した。その中身は、蜜蜜柑ジュースである。
フルールは「ありがとうございます!」と言ってそれを受け取る。
ポーアはその答えにはあえて答えない。マロンもフルールも答えないポーアに不思議そうな眼を向ける。
「さ、そんな事よりも昼食にしましょう!今日は、『おにぎり』をしましたから」
「「わ〜い!!」」
目を輝かせるマロンとフルール。二人は、おにぎりが好物のようだ。一昨日もおにぎりにしたのだが、その食付き具合は一番であった。
「私はあちらを呼びに行って参ります」
「お願いします!カレン」
激しい剣音が響く。かなり距離があるにも関わらずここまで響いているのだから凄まじい。
森の奥へ向かうカレンを見送ったポーアはそのまま家へ引き返すのであった。




