タイヤーキ
いつもより遅い時間ですが、更新します。
あと、お知らせになりますが、
240部のタイトルが『いざ、ペルメスへ』から『いざヤグラシア』となっています。
ペルメスは、獣人の国、ヤグラシアは、人の国。
知らず内に混同してました。(._.)
「おおーっ……これぞファンタジー!」
「ふぁん?なんぞそれは」
「何でしょう。食べ物でしょうか?」
「………うま?」
「「うわぁぁ。」」
「……」
目の前に広がる光景に感動する一方で、それに反応するミレド、ポーア、それにルリ。その他にも目をキラキラ輝かせるパルメルスに、拗ねたネア。うきうきした様子が隠せず、好奇心に駆られるフルールとマロン。ポーアの後ろで周りの視線を気にするフィアールがいる。
行き交う人達。荷車を運ぶ商人。声を張り上げて商売をする人達がいっぱいいる。軒並みがズラッと並んだ屋台の前で購入を望む者達が並ぶ。
綺麗に整備され、色とりどりの建物が立ち並ぶ町が目の前にある。遠くには、巨大な城が立ち並ぶ。
「ここからは自由行動にしよう。それぞれ関心のある物もあるじゃろうしな。」
「そうだな、じゃあ。そうだな………夕暮れに集合はここでだ。」
「そうですね。あっ、それと子ども達は………」
「「わぁーい!」」
ポーアが言い切る前にフルールとマロンが好奇心に負けた。人混みに呑まれ見えなくなる二人にポーアが固まった。
「……ふぅ、仕方ないのう。二人は任せよ」
「………申し訳ありません。二人をお願いします。あと、ミレド様こちらを………」
「うむ!預かっておこう。おぬしらも楽しめ!」
ミレドも人混みの中へと二人を追って消えた。残るは俺とポーア。それから四人(パルメルス、ルリ、ネア、フィアール)である。
「ネスク様もこちらを……」
「おぅ、無駄金にしないようにする。」
「ネス様に限って賭博には使用しないでしょう?ふふっ、どちらかというと、ミレド様がしそうですね!」
「ははは、確かにな!」
酒を片手にミレドが賭博をしている姿が妙にサマになっている。そのまま儲けてくる、のが、現実になりそうである。
「ネス……行こ!」
「そうですね。わたくし達も行きましょう。視線が気になりますし………」
忙しなく動く人の波だが、男女問わず一度目を向ける視線が気になる。まあ、これだけ美女が揃っていれば仕方がない。美女と美少女が五人。その妬みの類の視線で自分の顔に穴が空きそうである。
「そう、だな。まずどこに行くんだ?」
「お洋服見たいです!」
「わ、私も………」
珍しくフィアールも意見する。女の子は幼くても、服などのファッションにやはり興味があるのだろう。どこの世界でも一緒である。
「ええーと、どうしましょう、」
「なら、服の二人はポーアが行ってやれ。残りの二人は……そうでも無さそうだからな。」
ネアとルリの反応を見る限り反応が薄い。
「では、お願いしまぁぁぁ………す!」
目をキラキラさせたパルメルスとフィアールにポーアは引きずるように両手を引っぱられてあっという間に連れて行かれた。あの二人があそこまで興奮するのは珍しい。
「………俺達も行くか……」
「ん。」「…………ふん!」
片手を振って送り出した後、広場へつながる道を歩く。ちらと見た後、ムスッとしたネア。まだあの時の事を根に持っているようだ。
(やれやれ……)
このままどちらかが歩み寄らず、空気が重苦しいままも困るため機嫌取りのために何か探してみる。当の目的もあるし、クーシェやカレンのお土産、それから当面の食料が必要だ。
きょろきょろしながら物色していると右手に小さな何かが触れた。驚いて右手を見るとルリが手を右手を忍ばせていた。
キョトンとして首を傾げるルリ。無表情に近い表情だが、あの男のように仮面のような冷たい感じはなく愛くるしく美しい顔も相まって凄まじい威力を発する。
「ネス、あれなーに?」
「ん?」
ルリが指さした方を見る。それを見て驚いた。
「いらっしゃいいらっしゃい!タイヤーキはいかがですか?」
屋台のおばちゃんが声を張り上げる。
見た目こそたい焼きっぽい形をしているがおそらく別の魚だろう。だが、どう見ても『たい焼き』である。
「……美味しいお菓子だな。食べるか?」
ルリがこくりと頷く。屋台の前は意外に空いている。
「すいませんタイヤーキ三つ下さい。」
「あいよ」
「大銅貨五枚だよ!熱いうちが美味しいからお早めにね!」
ポーアから預かったお金から銀貨を取り出す。大銅貨五枚のおつりを貰って、袋に入れられたタイヤーキを受け取る。
「1つ多いみたいだが」
袋には三つ頼んだタイヤーキ4つ入っている。
「いいのいいの!おまけ!可愛いエルフの嬢ちゃんもいるからね!エルフの子どもはここいらでも見ないからね。何かいい事でも起こりそうだよ!エルフは幸運をもたらすというからね!」
「………ありがと」
ルリが隠れる。人慣れしていないからか、少し警戒している。
「そうか。ついでに1つ聞きたいが、タイヤーキは昔からあるのか?」
「いいや、最近召喚された勇者様の中に料理人がいてね。その人から流れたんだよ。」
「へぇ、意外だな。異界の料理なら商人が黙ってなかっただろうに」
「はははっ!あんた面白いこと言うね!確かにそうさね。だけど、タイヤーキが貴族連中に流行ると思うかい?」
「ああ…そういうことか……」
タイヤーキは手で掴んでそのままもかぶりつく。貴族のマナーとはかけ離れた食べ方。だから貴族ではなく庶民に流れたのか。
「噂じゃ、王城の厨房は今や未知の料理であふれ返っているらしいさね。味も王様が認める絶品らしいよ。」
「それは食べてみたいもんだな。……それじゃ」
「まいどあり!またいらっしゃい!」
話しやすい屋台のおばちゃんであった。ルリを連れてネアの元へと戻る。
ネスク達は知らないが、その後、そこのタイヤーキ屋は飛ぶように売れたのであった。




