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守護者が織り成す幻叡郷  作者: 和兎
3章 勇者召喚編
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精霊の子

久しぶりに更新します。ゆっくりしていって下さい!

 夜が更けた頃、


(ふぅ、やっとか……)


ようやく体を起こす事が叶った。まだ魔力は失った分の半分、全体の二分の一しか戻っていないが気だるさは睡眠を取ったことで払拭出来た。


「起きたのですね。もう大丈夫なのですか?」


 ストレッチをして体をほぐしていると声をかけられる。ポーアだ。展開していた神器は既に元の首飾りに戻っている。焚き火がパチパチと弾け彼女を照らしている。


「本調子までは行かないが、動かせるくらいは出来るようになった。見張り代わろうか?」


「わたくしは大丈夫です。ネス様こそ、もっと休んでいてよろしいのですよ?昨夜も見張りをされたのですから」


「このぐらい、平気だ。それより、俺のポーチはあるか?」


「はい!どうぞ」


 手渡された魔法の袋(アイテム・ポーチ)を確認する。巾着袋程の小さな袋、臨時用の物である。

 家から持ってきた荷物の入った牛革で作ったカバンはクーシェの元に置いてきた。


 万が一と言うことももあったので、後方のポーアに預けて置いたのだが、無事のようだ。

 その中から、魔力を制御する包帯を取り出す。

 既に鱗であった両手は元の肌に戻って入るが、念の為に巻いておく必要がある。

暴走して、ポーア達を傷付けた後では遅いのだから……。

 地面が抉れた荒野となってしまった平原が焚き火の火に照らされて少しばかり見える。意識があ(・)っ(・)た(・)ため、ある程度の制御は出来る限りはしたつもりだが―――。


「何をお考えか分かりませんが、ネス様が気にせずとも植物達は頑丈ですから自然にまた育ちます。」


「広域をほとんど、吹き飛ばしたようなもんなのにか?」


 ミレドから事後報告になるが、自分が使ったあの力で地面を丸ごと消滅させたようだ。ゴブリン達によって草木は全て散らかされてはいたが、(元は知らないが)元の姿は跡形も無いらしい。


「花や木はそこへ種を飛ばし、根付いて行く物です。

ふふっ、ネス様が思っていらっしゃる以上に彼らは図太いのですよ?」


 ポーアが優しく笑う。思わず、心臓が跳ねた。


「どうかされましたか?」


 顔をそむけるネスクにキョトンとした様子。


「いや…………何でも無い」


 ぐ〜〜っ。


 腹の虫が鳴った。そういえば体が思う様に動かなかった事もあり、何も口にしていない。


「…………お腹………空いた」


「ルリ!もう大丈夫か?」


「ん。」


 ネスクの腹の虫に吊られてルリが目を覚ましたようだ。まだ半分眠いようで目をコシュコシュさせている。


「夕食の余り物で何かよそおいますので、少々お待ち下さい」


「二度手間になって悪いな。」


 ポーアとミレドは先に夕食をしている。


「いえ、こんな事もあろうかと、多めに食材を使いましたから。」


「ご飯、なに?」


「そうですね……このような時間ですので、蒸した米茸を握りましょう」


 鍋の中に夕食に使用した米茸がそのまま入っている。食あたりを起こさないように、ポーチの中に入れていたようだ。


「ネス様、水を出していただけませんか?」

「分かった【水(ウォーター)】」


 ジョボジョボと水が溢れ出る。

 ポーアが服の袖をまくり上げて手洗った後、お玉で手頃な大きさに握る。

 そして、ポーチの中から皿と小さなポットを取り出す。一緒に添えられた小さなスプーンですくい上げると、白いさらさらした粉を振り掛けて一緒に握り直す。


「ルリちゃんからどうぞ」

「ん、ポーア様ありがとう」


 受け取ったおにぎりをハムスターのように食べて行く。見ていて、とても可愛い。


「ネス様もどうぞ」

「ありがとう」


 受け取ったおにぎりを一口。口の中にしょっぱく美味しい味が広がる。先ほど振っていたのは、塩だったようだ。


「美味し」


 ルリがぼそりと呟く。

 色白くなっていた顔色も血色が戻っている。魔力が戻ったようだ。


「どうですか?」

「美味い。ありがとなポーア」


「お粗末様です」


 一つを食べている間に更におにぎりを握っていく。胃の中に納めながら夜が更けて行く。


「おいしそうじゃの。妾にも良いか?」


 ひょっこりと後ろから顔が現した。時間的に見れば、少しホラーチックになってしまうが、彼女の纏う光によってそれは相殺された。


「良いですよ。ミレド様。まだまだありますから皆で食べましょう!」


 二人からすれば食事の二次会になってしまうが、みんなで食事を取るのは楽しい。

 これが食卓を囲むという感覚なのだろうな。






(ルリなんだが、本当に大丈夫なのか?)


 おにぎりを五個納めた頃にルリに聞こえないようにそっと、ミレドに聞いてみる。前々から思っていたが、エルフである筈の彼女の魔力は、非常に少ない。いや、少(・)な(・)過(・)ぎ(・)る(・)。

 数百年を生きるエルフからすれば、まだ幼児に値する年齢しか経ってないとはいえ、それでも人の数倍はある筈だ。

 ルリの魔力は、(人間を除けば)他種の中で最も魔力量が少ない獣人であるクーシェの更に二分の一くらい。


(それなんじゃが、……妾も気にしておる。色々と考えられる事はあるが、コレと断言出来る要因がまだ分からぬ。まだ様子見じゃ。ネスも原因を少し、探ってみてくれ。)


(分かった。)


 どうやらミレドにも分からないようだ。彼女の様子から思い当たる物がなくも無いが、断言は出来ないのだろう。今は彼女の補助に持たせた『ミネバリカンバーの弓』を使ってもらうようにしよう。


(しかし、おかしい。あの年の子どもをなぜ………)


(どういう意味だ?)


(エルフは、寿命が超長い代わりに子を宿しにくいのじゃ。ルリのような新たに生まれた子は『精霊の子』。つまり、精霊が新たに授けた者としてエルフの里の中で大切に育てられる筈なのじゃがな。エルフは、精霊への信仰が凄まじいからの。)


 以前、ネモとペーレがルリに言っていた『精霊の子』。確かに精霊の二人と似通った部分が無くもない。


(とにかく、これからもルリの事頼んだぞ)


(言われなくてもそのつもりだ。)


 お腹が膨れたのかポーアに体を預けて眠るルリを見ながら彼女への疑問は残るがそう決心する。


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