↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
灰の魔法使い  作者: みつ
第一章「灰と森」
PR
26/39

二十六話「友達」

それから、二年が経った。

俺はもう、普通に歩ける。

走ることもできる。

言葉だって、問題なく話せるようになった。

そして――

「レイー!」

外から聞き慣れた声が聞こえる。

「今行く!」

俺は家を飛び出した。

そこにはセナが立っていた。

あの日、森の前で出会ってから二年。

俺たちは、ほとんど毎日のように一緒に遊ぶようになっていた。

「今日は何して遊ぶ?」

セナが聞いてくる。

「そうだな……」

俺は少し考える。

そして、地面に落ちていた木の棒を拾った。

「これで勝負しよう」

「また剣?」

「うん」

セナも近くに落ちていた木の棒を拾う。

「いいよ。今日は絶対負けないからね」

「それ、昨日も言ってなかった?」

「昨日は昨日!今日は今日!」

セナが棒を構える。

俺も棒を両手で握る。

「じゃあ、いくよ!」

「いつでも来い!」

セナが地面を蹴った。

「えいっ!」

棒が振り下ろされる。

俺は一歩横に避ける。

「遅い!」

「まだまだ!」

セナがすぐに振り返り、横から棒を振る。

俺は棒を立てて受け止める。

カンッ!

木と木がぶつかる。

「今のは防いだ!」

「じゃあ、これは?」

セナが棒を引き、今度は下から振り上げる。

俺は後ろに飛び退く。

「危なっ!」

「逃げた!」

「避けたんだよ!」

「同じじゃん!」

「違う!」

セナが笑う。

俺も笑った。

……この二年間で、セナとの勝負はかなり増えた。

最初は俺の方が強いと思っていた。

でも、セナは意外と強かった。

というか、負けず嫌いだ。

一度負けると、次の日には必ず勝負を挑んでくる。

「今度は私から!」

セナが走ってくる。

「またかよ!」

「いくよ!」

「来い!」

カンッ!

カンッ!

カンッ!

何度も木の棒がぶつかる。

「えい!」

「そこ!」

俺はセナの棒を弾く。

「あっ!」

セナの手から棒が落ちた。

俺はすぐに自分の棒を止める。

「俺の勝ち」

「……」

セナが地面に落ちた棒を見る。

「もう一回!」

「えぇ……」

「もう一回!」

「分かった分かった」

俺は笑いながら棒を拾う。

「じゃあ、次は本気でやる」

「私だって本気だよ!」

二人で向かい合う。

こうして俺たちは、何度も木の棒をぶつけ合った。

勝ったり。

負けたり。

たまに転んだり。

そして、最後には二人とも笑っていた。

「はぁ……疲れた」

「私も……」

俺たちは地面に座り込む。

空を見上げる。

青い空。

穏やかな風。

こういう時間は嫌いじゃない。

むしろ――好きだ。

前世では、こんなふうに何も考えず誰かと遊ぶことなんて、ほとんどなかった。

今は違う。

俺には家族がいて。

友達がいて。

そして、この世界にはまだ知らないことがたくさんある。

「ねえ、レイ」

「ん?」

「明日も遊ぼうね」

「もちろん」

セナが笑う。

俺も笑った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。