二十六話「友達」
それから、二年が経った。
俺はもう、普通に歩ける。
走ることもできる。
言葉だって、問題なく話せるようになった。
そして――
「レイー!」
外から聞き慣れた声が聞こえる。
「今行く!」
俺は家を飛び出した。
そこにはセナが立っていた。
あの日、森の前で出会ってから二年。
俺たちは、ほとんど毎日のように一緒に遊ぶようになっていた。
「今日は何して遊ぶ?」
セナが聞いてくる。
「そうだな……」
俺は少し考える。
そして、地面に落ちていた木の棒を拾った。
「これで勝負しよう」
「また剣?」
「うん」
セナも近くに落ちていた木の棒を拾う。
「いいよ。今日は絶対負けないからね」
「それ、昨日も言ってなかった?」
「昨日は昨日!今日は今日!」
セナが棒を構える。
俺も棒を両手で握る。
「じゃあ、いくよ!」
「いつでも来い!」
セナが地面を蹴った。
「えいっ!」
棒が振り下ろされる。
俺は一歩横に避ける。
「遅い!」
「まだまだ!」
セナがすぐに振り返り、横から棒を振る。
俺は棒を立てて受け止める。
カンッ!
木と木がぶつかる。
「今のは防いだ!」
「じゃあ、これは?」
セナが棒を引き、今度は下から振り上げる。
俺は後ろに飛び退く。
「危なっ!」
「逃げた!」
「避けたんだよ!」
「同じじゃん!」
「違う!」
セナが笑う。
俺も笑った。
……この二年間で、セナとの勝負はかなり増えた。
最初は俺の方が強いと思っていた。
でも、セナは意外と強かった。
というか、負けず嫌いだ。
一度負けると、次の日には必ず勝負を挑んでくる。
「今度は私から!」
セナが走ってくる。
「またかよ!」
「いくよ!」
「来い!」
カンッ!
カンッ!
カンッ!
何度も木の棒がぶつかる。
「えい!」
「そこ!」
俺はセナの棒を弾く。
「あっ!」
セナの手から棒が落ちた。
俺はすぐに自分の棒を止める。
「俺の勝ち」
「……」
セナが地面に落ちた棒を見る。
「もう一回!」
「えぇ……」
「もう一回!」
「分かった分かった」
俺は笑いながら棒を拾う。
「じゃあ、次は本気でやる」
「私だって本気だよ!」
二人で向かい合う。
こうして俺たちは、何度も木の棒をぶつけ合った。
勝ったり。
負けたり。
たまに転んだり。
そして、最後には二人とも笑っていた。
「はぁ……疲れた」
「私も……」
俺たちは地面に座り込む。
空を見上げる。
青い空。
穏やかな風。
こういう時間は嫌いじゃない。
むしろ――好きだ。
前世では、こんなふうに何も考えず誰かと遊ぶことなんて、ほとんどなかった。
今は違う。
俺には家族がいて。
友達がいて。
そして、この世界にはまだ知らないことがたくさんある。
「ねえ、レイ」
「ん?」
「明日も遊ぼうね」
「もちろん」
セナが笑う。
俺も笑った。




