↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
灰の魔法使い  作者: みつ
第一章「灰と森」
PR
20/39

二十話「森の中の影」

「……そこ」

俺が指を向ける。

木々の間で、何かが動いた。

「レイ、下がれ」

父さんの声が低くなる。

俺は父さんの後ろへ移動する。

母さんも俺の近くに来た。

森の奥から、ゆっくりと何かが出てくる。

灰色の影。

人のようにも見える。

でも、人間ではない。

「……なんだ、あれ」

父さんが呟く。

灰色の影は、何も言わない。

ただ、こちらを見ている。

俺の指先が熱くなる。

まただ。

灰魔法が反応している。

「……っ」

思わず手を見る。

ほんの少しだけ、灰が浮かんでいる。

すると――

灰色の影が、俺の手を見た。

「……?」

何か知っているのか?

そう思った瞬間。

灰色の影が一歩近づいた。

「止まれ」

父さんが剣を構える。

灰色の影は止まった。

しばらくの間、誰も動かない。

森の中に、風の音だけが響く。

そして――

灰色の影が、ゆっくりと俺を見る。

『……灰』

頭の中に、声が響いた。

「……え?」

思わず声が出る。

父さんが振り返った。

「どうした?」

「な……なん……でも……」

俺は灰色の影を見る。

今の声。

父さんには聞こえていない。

もう一度、頭の中に声が響く。

『……灰は』

そこで声が途切れた。

灰色の影が、森の奥を見る。

そして、ゆっくりと歩き始めた。

「待て!」

父さんが叫ぶ。

だが、灰色の影は振り返らない。

そのまま木々の間へ消えていった。

「……なんだったんだ?」

父さんが呟く。

俺も答えられない。

ただ一つだけ。

あいつが俺の灰魔法に反応していたことだけは分かった。

「……と……う……さん」

「ん?」

「あ……れ……なに?」

父さんは少し考えてから答えた。

「……分からない」

そりゃそうか。

俺も分からない。

でも――

また会う気がする。

なぜか、そんな気がした。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。