↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
灰の魔法使い  作者: みつ
第一章「灰と森」
PR
19/39

十九話「森へ」

 それから、また少し時間が経った。

 俺は前よりも歩けるようになっていた。

 まだ長い距離は無理だけど、家の中なら自分で移動できる。

 「れ……レイ、こっち」

 母さんが少し離れたところから手を広げる。

 俺はゆっくり歩く。

 一歩。

 二歩。

 三歩。

 「おお……!」

 そのまま母さんのところまで行く。

 「すごいわ、レイ!」

 母さんが俺を抱き上げる。

 「ある……いた」

 「そうね。ちゃんと歩けたわね」

 少しずつだけど、できることが増えている。

 そんなある日のことだった。

 父さんが玄関で準備をしていた。

 斧。

 荷物。

 それから、少し大きめの袋。

 「とう……さん?」

 「ああ。今日は森の近くまで行ってくる」

 森。

 その言葉を聞いた瞬間、俺は父さんのところへ歩いていった。

 「も……り?」

 「そうだ」

 「い……く」

 父さんが少し笑う。

 「行きたいのか?」

 「うん」

 「まだ危ないぞ」

 「だ……め?」

 「うーん……」

 父さんが考える。

 母さんも近くに来た。

 「森の入口までならいいんじゃない?」

 「でも、何かあったら……」

 「あなたが一緒なんだから大丈夫でしょ」

 父さんは少し悩んだあと、俺を見る。

 「分かった。ただし、絶対に俺から離れるなよ」

 「うん!」

 よし。

 ついに森へ行ける。

 もちろん、奥まで行くわけじゃない。

 それでも楽しみだ。

 家を出て、村の外へ向かう。

 少し歩くと、森がどんどん近くなってきた。

 木々が大きい。

 風が吹くたびに葉が揺れる。

 「……すごい」

 「初めて見るか?」

 「うん」

 父さんが笑う。

 「森の中には色んな動物がいる。だけど、勝手に入ったらダメだ」

 「わ……かった」

 森の入口に近づく。

 その瞬間――。

 指先が熱くなった。

 ……まただ。

 灰魔法が反応している。

 俺は森の奥を見る。

 何かいる。

 前に感じたものと同じだ。

 「とうさん」

 「ん?」

 「あ……そこ」

 俺が木の奥を指差す。

 父さんがそちらを見る。

 「何か見えたか?」

 「わ……かんない」

 しばらく父さんが森を見つめる。

 「……何もいないな」

 やっぱり見えないのか。

 そのとき。

 森の奥から、カサッという音がした。

 父さんの表情が変わる。

 「……レイ、下がれ」

 「え?」

 父さんが俺の前に立つ。

 森の中から、何かがゆっくりと近づいてくる。

 俺は息を止めた。

 灰魔法が、今までにないくらい強く反応している。

 そして――。

 木々の間から、灰色の何かが姿を現した。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。