第43話「そして大炎上」
見る見るうちにその並走する2台のトラックは、巨体と感じる大きさに見えるほどBMWに追いついていた。
(俺は慌てないぜ・・・来るなら来い!東か西か知らんが殺人野郎ども!)
真一は心の中で一樹の特殊能力を信じた。
「皆さん、体当たりで来るかもしれませんが、慌てないようにしてください。相手も命がけです。仕掛けておいて自分が死ぬ危険もあるのですから。」
そうは言った真一だったが、車はちょうど、長い橋脚の上を走っている。
相手はそのことを計算して、体当たりでガードフェンスから自分たちを落とすつもりであろう。ガードフェンスが高く設置されている橋脚の高さはドライバーに高所の恐怖感を与えないためのものであり、かなりの高さがある。
落ちればまず誰一人として助からない。
「野郎っ・・・!!体当たりしやがった!!」
一樹が叫んだ。
「な、何?!・・・何が体当たりしたの?」
「ちょっと黙って!!しっかりどこかにつかまって!」
一樹は姉良子の質問を遮り、急ブレーキと共にスピンターンをして、真一たちの乗ったBMWに向かい逆走を始めた。良子の体が激しく左右に振られた。
前方のBMWはフェンスを破りまさに橋脚の下に落下する寸前であった。
「あんたっ!・・・馬鹿なことしないで!私を殺す気??!!」
「うるさい!!黙れねえちゃん!・・・ゴメンナサイ」
「ゴメンナサイ?・・・いやだよ~」
「5秒だ!頼む・・・・・・」
ミラクル軽はすでに時速300kmを超えていた。
そして、ある瞬間、一樹がいつも体験する時計の秒針の動きと同じように、しかし、5から6へと進むのではなく、6から5へ戻るように、橋脚の下に落ちかけていたBMWが道路上に戻り、並走していたトラックもBMWに体当たりする5mほど前へ映画のコマが逆回転するように戻って行った。
それは幻影であるのか、現実の光景であるのか、一樹にもわからなかった。
ところが、一樹の車は時速500kmを超えていたため、2台のトラックに向かう車体を止めるすべがなかった。




