▽class7 「5月10日<AM4:00〜AM6:30>」
当初の予定よりシリアス色が濃くなりそうですが、まぁ…。
午前4時10分、ピピピとアラームが鳴り始める。ずいぶんこぎれいな部屋だ。翔はムクッと起き上がってアラームを止めた。
「…、おい」
翔はとても心地よさげに横たわる晃をゆすり起こそうとする。
「……………」
「動かない、ただの屍のようだ…」
翔はそんなことを言って
「ただの屍」の顔に水鉄砲を放つ。
「…!!」
晃はパチクリと目を開いた。その表情は不機嫌そのものであるが。いつもなら顔を洗い、ダラダラとしゃべりながら食堂へ向かうのだが、あいにく今日はやたらと集合が早い。
「あぁ…今日か」
不機嫌最大の様子で晃は言う。いくらなんでも4時起きは辛いものがあるだろう、もともと朝に弱い彼のことならなおさらである。二人は軽く身支度を済ませて中庭に向かった。
学園は高等部までは基本的に制服である。特例としてAランクの生徒には一般とはデザインの異なる制服が支給されているが、それは力の証であると同時に下位のものが一目で、相手が格上の存在だと実感させるものでもある。さらに、このような<イベント>で、無駄なケガ人を出さないためのものでもあるわけだ。一方で晃のように実力を持っているにも関わらず、あえて昇級試験を受けていない者などにとってAランクは恰好の標的である。
長々とした集会も終わり、ついに総勢1500名を超える生徒たちが飛行艇へと乗り込んでいく。およそ40分ほどで、舞台の無人島に到着する。
「ねぇ、なんでアンタっていつまでも昇級試験受けないの?いくら実力があっても、それじゃ周りの評価は上がんないわよ?」
いつもの4人にルナを加えた5人は緊張感なく話をしていた。そこで自らもAランクである伊織が晃に尋ねてみた。
答えは単純なものだった。彼いわく、試験が面倒というのと、Aランクの評価が付いてまわるのもかったるいといったところだそうだ。
本当の理由は別にある。だが、今それを話すわけにはいかなかった。
「そんなことより今年は誰が残るんだろうな?」
翔はそんな晃の心情を察したのか、話題を変える。
「ま、高等部のAランクは全員残るんじゃないかしら?」
香奈いわく、この学年は例年に比べ潜在能力が高いのだそうだ。なんでも、中等部3年の段階で7人もAランクがいた年は史上初らしい。
「今のところ、私たちの学年のAランクの人数は6人…、彼が亡くなったからね」
「アイツのことを言ってんじゃねえ!!」
香奈がその<彼>のことを口にした瞬間、晃は怒鳴った。これまでにはない怒り方だった。あまりにも異様な彼の感情の高ぶりぐあいに、香奈は気が進まないながらも彼の心を覗いてみる。
「………!!」
晃の中に潜む感情が流れこんできて絶句した。そのままふっと気を失った。
それから数十分後、飛行艇は島に到着した。
「…香奈。大丈夫?」
あれから休養室で眠っていた香奈に伊織が問いかける。
「えぇ。…でもこの調子だと今年の<サバイバル>は無理そうね」
(…、少し気になることもあるしね…)
伊織は残念そうな顔をしたが、すぐに笑顔を作って香奈に手を振りこう言った。また後でね、と。香奈も手を振り返し伊織を見送る。
一方、晃と翔。
さっきのはお前らしくない、と翔は言ったが、晃はとぼけて何も言わない。微妙な空気の中、午前6時ちょうど、<サバイバル>が幕を開けた。これから30分間、それぞれの生徒は島内に散らばり、午前6時半本当の戦いが始まる。
次回いきなり大波乱!?まさかの下剋上!翔主体でいきます。




