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33



それともうひとつ。



いやらしい話かもしれないが、





このレース、笠松重賞(東海グレード・SP1)とはいえ


なんと賞金がたったの300万円である。




これは、JRAの未勝利戦の一着賞金(500万円)よりも200万円安く、


JRA重賞(例・G3平均賞金3000万円)の10分の1という少なさである。





……もしあなたが仮にG1を獲れると見込んだ馬を持っていたとして。




出したいと思うだろうか?




そんな、もはや薄給とすら言える賞金のレースに………





しかし、これが地方競馬の現状である。かねてから述べている通り、この事実は誰のせいでもないのだ。





……以上のことを踏まえて、



トシローがこの800メートル戦に出ることのデメリットを理解していただけたと思う。




競馬において、


『距離』ほど、どうでも良さそうで重要なものはない。


そして、ロマンと経済問題が別物であることも、また然りである。







………話を戻して山本牧場。




「正確には800メートルですが。



………まあ、二周すれば1600メートルですから、それで勝負になるかなぁと。」




自分の後頭部を少し撫でるようにした勘助。





『…………。



確かに計算上ではそうだが…………』




土地神が思ったよりも怪訝な声で話し始めたので、


彼は思わず少し目線を伏せた。




『しかし、ゴールを二回も通過するのでは、


効果が無いのではないか?』




「え…………?」



『今回の目的は、こやつに競馬を教えることだろう?



どうなれば勝ちで、その為にはどう走ればよいのかを。




しかし、二回も同じところを走って、いざここがゴールといきなり言われても、


こやつとしては合点がいくまい。



結局、決着がどこでつくのか………こやつには解らぬままだ。』




「………そりゃま、


確かにそうかもしれませんが………。」





―――土地神の意見、ごもっともである。



……だが、この牧場にはこのトラック以上に広く作れる面積の放牧地はなく、


解ってはいてもどうしようもない。



かといって一周――800メートルしか走らせないでは、『レース』という感覚を植え付けるにはあまりに短すぎる。


先ほどの距離適正の話もある………。




まさに八方塞がり。


『仕方ないからこれでやるしかない』



というのが現状である。




「………これ以上広いコースを作るのは、うちの牧場じゃなんともなりません、残念ながら…………。」




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『……作れるだろう?』



相変わらず直立不動の鹿土地神だが、僅かに目線が森の方へ移るのを勘助は見た。



このトラックは、今立っている厩舎側のホームストレッチ以外を、森に囲まれている構造である。


それ故心身ともにとても落ち着いた環境で調教ができ、トシローにとってはこの上なく喜ばしい環境であるが、


しかし、そのせいでこのトラックの拡張は不可能に近いものとなっている。


流石に勘助は屯田兵ではないから、ここを切り開こうなどと無茶なことは考えない。



…………が、土地神は今、そんな事情を含んだ森を眺めて、


拡張は可能だといいだしたのだ。




当然、勘助が反論する。



「いや、土地神、それは流石にムリです。


見て貰ったらわかるように、ここは回り全部を森に囲まれています。



ですから、これ以上広げることは………」




『勘助よ。


トラックは、円でなければならぬのか?』



「え?」



想定外の切り返しに、勘助は少したじろいだ。




『例えば………そう、我は一度だけ競馬を見たことがある。


盛岡の南部杯という競走だったか。


あれは確か、トラックを一周しなかったはずだ。



向こう正面から伸びた引き込み線からスタートし、コーナーを二つだけ回って直線へ………というレースだったはず………



しかも、それでもしっかりと1600メートルはあったと記憶しているが。』




場所によってまちまちではあるが、競馬場にはポケットと呼ばれる延長線がある。



これは、


もしスタート直後がコーナーでは外側の馬が圧倒的に不利になるから、直線からスタートさせるためにその距離分だけトラックから引き込み線を作ってそこからスタートさせるというものだが……



『距離が1600だけでよいのなら、あれを作ればより実戦的に走らせることができるのでは?



それならば全部を切り開く必要もあるまい。』




「あー………。」



つまり、向こう正面にポケットを作って、そこからスタートさせてレースをしようというのだ。



なるほど確かに、それなら競馬場に近い感覚でレースができるし、距離も申し分ない。



レースというものを理解させるにはもってこいだ。



だが………





「おんなじことですよ。



どのみちポケット分は森を拓かなきゃなりませんし、そこを馴らして芝生を植えるのに一年はかかります。


その頃にはもう、トシローはデビューしちゃってますから………」




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たとえ立派に1600の調教場ができたとしても、


それが完成する頃には既にトシローはデビューしている筈で、



骨折り損のくたびれ儲けになることはもはや、目に見えたような事実である。




牧場施設というのは作るのにそれ相応の膨大な時間がかかり、


そして何より、金がかかる。


建設と、維持費に………





早急な解決を求め、なおかつ明日の食費にヒーヒー言っているような財政難の山本牧場にとって、


それはとてもじゃないが堪えられないことだった。




「費用もなければ時間もありませんし………



やっぱり800を二周して――――」





――それでレースしましょう。仕方ないです。




そんな言葉が喉元まで出かかったとき。






『時が惜しい、か。




仕方ない。



………今回だけだぞ。』



土地神のその呟きが勘助の言葉を相殺し、



しゅるっ、という小気味よい音と共に彼は再び人間の形に変化すると、







『……レクサ』




と、何の気もないように彼女の頭の上に手を差し出した。





『あれを、やるの?おじちゃん。』



長身の土地神と比べると、腰の高さほどしかないレクサが、見上げるように土地神に問う。



すると土地神は、少し溜め息をつくと空を見上げて、




『……こやつの一族には借りがある。』




そう呟いた。



レクサは一瞬キョトンとした風を見せたがすぐに笑顔になり、



『………そうだね。』




と言うと、呼応するかのように、一瞬のうちに薙刀に変化し、



そしてそれは、ゆるりと浮き上がって土地神の手中に納まった。





勘助はもう見慣れた光景だが、やはり一同は驚嘆の声をあげる。





「………何するんすか?」




不安そうに勘助。



人間でないこの土地神に、そもそも常識を求めることこそ愚かしいが、



神として節度ある行動を願うばかりである。




あまり突拍子もないことをされると隣の牧場に感づかれる可能性が………






………しかしまあ、そんな人間の小さな不安ごときをいちいち気にする土地神では無いのだろう。





『まあ、見ておれ。』




そう言うなり土地神はふわりと浮き上がり、薙刀のレクサを確りと両手で握り込むや否や、


その長いコートを揺らしたかと思う頃には



彼は、2コーナー辺りの森へ向かって舞空したまま猛進していた。





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その際生じた衝撃波のような突風が、枯れ葉を巻き上げ芝生を揺らす。



「――――!」



勘助たちは思わず腕で風避けを作るようにしたが、


その頃にはもうすでに、土地神とレクサはその空中移動を終わらせ、問題の森の前に降り立っていた。










『長さは約700メートル、馬場は芝………



できるな?レクサ。』




目線は目の前の森のまま、土地神は薙刀に問う。


気が逆流し、辺りの落ち葉が土地神の方へ吸い込まれ、巻き上がる。


コートが勢いよくはためき、きらびやかな蝦夷錦がその全貌を露にする。






『おじちゃんの頼みとあれば。』




柄を通して、鼓動をひとつ返して見せた薙刀のレクサ。



刃の部分が赤く変色する。

握る手にも熱が伝わる。




『………よし。』



肯定の意思を示すそれを確認した土地神は、


ぐるん、ぐるんと頭上でそれを二回転させた後、ゆっくりと、大きく乱雑に振りかぶり、




『――――散れ!』




そう叫んだ直後、それを大きく大きく一閃した。




雷のような光が一瞬突き抜けたかと思うと、



次の瞬間には薙刀から発された炎のような赤い光が、


木、土、草すべてを巻き込んで、


その閑静な北海道の森を突き抜けていた。


「――――」







膨大な光の波が押し寄せ、勘助たちの視界を塗りつぶす。





あまりにも光が強烈すぎたため、暫く目を開けられない勘助たちだったが、





光を失い相当の時間が経ち、





ようやく視界に風景が安定してくると、






「……………あ。」










万物が消えた跡には、牡鹿が1頭、幼女が一人佇むばかりであった。

















『…………いぇい。』






牡鹿に寄り添うレクサの、



ピースサインと笑顔がまた、




輝いて見えた。






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―――※―――



結果的なことを言うと、




土地神とレクサは、相当なバケモンだった。



二人が一閃し、


赤い光が突き抜けた跡には、先程までそこに生えていた木々や草花の類いは一切消え失せ、


なんと競馬場もビックリの700メートルの芝の直線―――見事なポケットが出来上がっていた。




驚きとある種の恐怖のあまり、一同が言葉を失ったことは言うまでもない。




「あんた一体何をやったんだ?」




常に笑顔の柴名が、このときばかりは真顔になって………というか真っ青になって土地神を問い詰めていたことからも、彼らの驚きようが見てとれる。




無理もない。



人間世界にあってはならぬ存在が、あってはならぬことを現実にしたのだ。



たかだか1500ccしかない人間のちっぽけな脳みそが、一瞬で理解するにはその事実はあまりにも膨大すぎた。



ただの森林が、きっちり整備された調教場に様変わりしたのだから。



この神様は、何でも出来てしまうのでは?



憚らずもそんなことを考えてしまうのは、或いは人間として当然だったかもしれない。




「うちの台所を、システムキッチンにしていただけませんか?」という秋華の願いや、




「出来ればトレーニングルームもほしい」という柴名の願望、




終いに秀馬に「こいつの脳も何とかしてやってくれ」と桜花を差し出された土地神は、





その全ての願いを丁重に断り、




『気持ちはわかるが……』と苦笑するばかりだった。



「なるほど土地神が恐れたのはこういう事態だったんだな」、と


勘助も妙に納得したものである。






………何はともあれ、全ての条件が揃った勘助たちは、当初の目的を果たすべく


今はトシローと鹿形態の土地神様と共にスタート位置にいる。



これから、トシローにとってははじめてのレース………芝1600でのマイル戦が始まろうとしていた。








ともかくもトシローにとっては、


相手が神様という、恐らく史上のどんな名馬も経験したことがないであろう、あまりにも強烈すぎる初陣だった。






ま、本人にはそんな意識は露ほども無いだろうが………





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―――※―――



「さあ、二頭がゲートに収まりまして体勢完了!」



勘助のとなり、競馬を見るのが楽しくて仕方ないといった感じの秋華が、


実況の声真似をして言った。


恐らく関西テレビの某実況の神様の真似だろうが、これがなかなかよくにているのである。



「あなたの夢は、土地神様かトシちゃんか。



私の夢はバンブーです。」



………何でバンブーアトラスなんだよ、などと野暮なことを言ってはならない。


何せ彼女はまだ、競馬を初めて半年なのだから。




「できんの?実況?」




『ゲート代わりの』ロープを引っ張り、そしてそこへ桜花に誘導されるレクサ鞍上の土地神と、柴名大地鞍上のトシローを眺めながら、



勘助は何となく聞いてみた。



秋華がこの半年ほど、暇あればレース映像を見ていたことを勘助はよく知っていたし、彼女のiPod9に『杉本清、名実況集』なるアルバムが入っていたことに驚愕した経験もあったので、


ひょっとしたらできるんじゃないかな……と思った次第だった。




「ほら、もしできるんなら読者の皆さんも場面の想像がしやすいし―――」




「―――できません。」



即答の秋華。


そんなことやらせて、大恥をかかせる気?といった感じの視線が勘助を貫く。




「……そりゃそうか。」



ハハと笑ってごまかす勘助。



いくら小説とはいえ、あまりにもご都合主義になりすぎると書き手としてもリアリティーがかけて(以下略)











………そうこうしてる間に二頭―――一頭と一匹はゲート代わりのロープの前、並んでスタートを待つ状態にまでなっていた。




「ひゅー…………。」



―――ああ、やっと走れる……といった所だろうか。


体勢を屈め、首を振り回し前掻きをして、今や暴発寸前といった感じのトシロー。


ひと追いでもすれば、たちまち弾けてしまうのだろう。




そんなトシローの状況を察してか、土地神は、



『………では、そろそろいくとしようか。』




と、鹿らしく、後ろに体重をかけタメを作り体勢を整えた。



僅かながら、その体には漏れ出したと思われるオーラが見てとれる。




『………いつまでもこうしていたところで何も始まるまい。』



遠回しにスタートを促す土地神。




「………。」



その言葉に軽くうなずいた勘助は、「じゃあいきますよ」と、両馬の鞍上――柴名とレクサに声をかける。


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「万事OKです。」



笑顔でゴーグルを下ろす柴名。




『任せなよ。』



と、同時にレクサ。こちらも笑顔でピースサイン。





「よーし…………」




―――態勢は整った。



ロープを握る手に力が籠る。






………万が一これが失敗なら、次に打つ手などは皆無に等しい。



なんとか、なんとか、トシローが落ち着いて走れるように、



レースというものを理解してくれるように………




そう願うのみである。





――ジーザス、アッラー、釈迦如来…………



いつもならありとあらゆる神にやたらめったら願掛けするのだが、


今日は信じもしない神に祈ることはない。




今、信じるべき神は目の前の『鹿』だけなのだから。





でも…………





(親父……手ぇ貸してくれ………)





ふとそんな言葉が頭をよぎる。





目の前に神様がいるのに仏様に語りかけるのもどうかと思う。


何だか変な感じだなと、あとから思ってしまう勘助。




(ふふ…………)






そして、



それを滑稽に思う自分に気づいた頃には、



既に握られたロープは無意識のうちに下に下ろされ、





銃身から繰り出された弾丸のように、


一頭と一匹は緑の絨毯へ飛び出していった。





ドドドッという重たい蹄音と、軽やかな小太鼓のような脚音が芝生を揺らす。








「ぶひゅばーーーっ!」










嘶き一声がトラックを響き渡る。






無理に抑えられない分、



いつもよりトシローが元気そうにも見えた。





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―――※―――



『ほう……さすがに早い。』



スタート直後、爆発的に加速したトシローを横目に追いながら、


そして自らも芝の上を駆けながら、


土地神は呻いた。






―――大きく縦に伸びるストライド、跳ね上がるような後肢、深く沈み込む頭、首、



どれをとっても、一馬身前を行くトシローは競走馬としての素質が十分なのが明らかで。


それに……




『以前よりも数段早く、そして力強い。』




鞍上に騎手を迎えたせいか、フォームにキレが増している。


人間が乗る分、恐らくタイムとしては遅くなるのだろう、だが、



その分だけ力強くなり、フォームが綺麗になっていることは、馬を本業としないこの土地神でもすぐにわかった。




『正直……この我でもまともに戦わば苦しいやも知れん。



これほどの馬が………ここから出るとはな………』



ぐっ、と歯を食い縛り、トップスピードに乗ったトシローをピッタリ三馬身後方で追走する。



前はちょうど200を通過した辺りだろうか。



天晴れと言うべきか、それともバカと罵るべきか、


三馬身前を全速力で駆ける彼の、脚色が鈍る気配は今のところ全くない。



それどころか柴名の豪腕追いも相成って、むしろ加速するような素振りすら見せる。




『くっ……』




三馬身をセオリーにして何とか追走する土地神だったが、


鹿独特の足の性質上、馬のように大きく前へ脚を繰り出すような真似は出来ず、サラブレッドに足の回転数で追い付けるはずもなく、鹿としての通常走行ではもはや追走が精一杯になっていた。




『おじちゃん……大丈夫?』



首にしがみついて、心配そうに土地神に問うレクサ。



レースは始まったばかり………とはいえ、あそこまでの加速力を見せつけられれば、誰だって不安ぐらいは抱くものだ。


例え自分が乗っているのが、神力を使えば新幹線にでも勝てるスピードを持ち合わせた土地神であっても。



『前………の……ペースは……無謀だ!』




必死に脚を回転させるもじわりじわりと距離を離され、出したこともなかった鹿の全力を出し尽くしている土地神。




―――なんと見上げたスピード能力だ。




あれで本当にまだ一歳馬か………


初めて併せた時からタダ者ではないと思っていたが…


これは正真正銘の化物ではないか。




……そんな土地神の驚愕を他所に、前はスタートから数えて400メートルを通過する。


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馬が流石なら、鞍上も流石。


伊達に元騎手じゃない……と言うより、去年まで現役でやっていただけのことはある。



あれだけ長期間手綱をしごいていても、柴名のその騎乗フォームには一点の乱れもない。



それが前を行くトシローの持続性の一因であることは、


見るべき目で見れば明らかなことだった。





『あれは………相当強くなるぞ。



あの爆発力、瞬発性、持続力………他と比べたことがあるわけではないが、



この世代トップクラスであることは間違いない。


前もそれは感じていたが、騎手を乗せて確信に変わった………』



4馬身とまた少しリードをとられた土地神は、


500の通過と共に少しペースを落とし、落ち着きを取り戻してから



必死に首に巻き付くレクサに言った。




『やっぱり、早い?』



若干の期待を込めてレクサ。


ここの状況を覗き覗きしているうち、彼女もまた、トシローのファンだった。






『早いし、鋭い。


騎手の仕掛けに応える賢さもある。それに、何より走りに集中しきれている。



………恐らく、今のヤツの走りなら、ザラな二歳馬ぐらいなら相手にならんだろう。



あれを一歳馬と見るほうが正直難しい。』




異生物を見たときのような若干の興奮と共に、いつものトーンに戻った土地神の声。






―――馬格も見たなりもそうだが、


何より中身。



一緒に走ってみて初めて解ることかもしれないが


とにかく、弾けた時の一点にかかるエネルギーが半端じゃない。


普通の馬なら人間に教え込まれてやっと三歳の秋ごろに発揮できるものを、


このトシローは生まれもって知っているかのように、そして当たり前のように実践している。





『神である我にこれだけ差をつけるのだからな。


そうでもなければこちらの面子が立たん。』




またギアをひとつ落とし、比較的ゆるりと走り始めた土地神。




しかし、その脚の動きが何やら異変を見せ始めていた。



芝への踏み込みが、深い。



そして、トトトトッと四拍子だった軽い蹄音が



ドッ、ドッ、と二拍子の重たいそれに変わっていた。


右左前足と左右後脚が、それぞれ同時に土を蹴る音………





それはまるでチーターに似たような走り。





『じゃあ、強いんだ、やっぱり。』




心底嬉しそうにレクサ。



そんな彼女をチラと後ろ目に見た土地神は、離された目標を再び前に構え、



『ああ、強い。


なんの異論もなく……な。



だが………』






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土地神が言葉を切らしたのとほぼ同時に、前のトシローは、


残り1000メートル……つまり600メートル地点を通過。


これから緩かなコーナーへというところに差し掛かり、





そしてその地点で、



もうすぐ風にもなるかと思われていたほど快調に飛ばしていたはずのトシローはガクッとペースを落とし、そしてその爆発的なまでのスピードを急速に失った。





………まるで糸の切れた操り人形のように。




ほとんどなんの前触れもなく絶え絶えになった彼の息遣いが、次第……というかほとんど一瞬にして近くなる。



『え!?』



レクサが絶望にも似た感嘆を漏らす。



先程まで五馬身半はあったリードが、このほんの一瞬で2馬身ほどに。



さっきまでのキレの鋭い走りの彼は完全に成りを潜め、


そこを走るのはまるで15歳くらいの老馬のように見えるフラフラドタドタのトシロー。





『―――それを素直に、


直線で発揮できなければ、それもただの宝の持ち腐れということだ。』





予想通り、とばかりにため息をつき、


『持ち腐れ』に対して、


先程からのチーターのような走法で一気に交わしにかかる土地神。



全ての力を使い果たしたトシローに対して並びかけるまでに時間はいらず、4、5秒後には既に並走するに至っていた。




「ばは………ぶふ………!」



息も絶え絶え、目も虚ろ、しかしながらまだ抜かせまいと奮闘するトシロー。



だが、今の彼は生物としての持久力の限界を迎えている。



今は3コーナーカーブの中間点、残り800………ここから持ち直して差し返すほどの余力が彼に残っていないことは、誰の目にも明らかで。



土地神にとってそれを交わす等というのは、


徒歩の幼稚園児をマラソンランナーが追い抜いていくことぐらい簡単なことだった。





『………では、そろそろ行くとしようか。』



土地神の体がさらに沈み込む。



『―――ここから我は一度として止まらずゴールへと向かうことにする。



構わんな?柴名とやら。』


並走するトシローの鞍上、未だ必死に彼の首を押し込む柴名に対して、土地神は若干顔をそちらに向け、聞いた。



すると、呼応するかのようにゴーグルの向こう、土と汗にまみれた彼の顔が、ニッと歪んだ。




「………こいつは」


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「こいつは、自分の躍りの破壊力に気付いていない天宇受賣命(アメノウズメ)みたいなもんです。



八百万の神を湧かせることができ、天照を引っ張り出せるような力を持っているのに、未だそれに気付かない。


だから、貴方が、躍り方を教えてやってください。






こいつ自身の中の天照大神を岩戸から引っ張り出せるように。



それは、僕らじゃ役不足………」




それだけを言うと、柴名は再び前を向いてトシローの首を前に押し込む。


これ以上負荷をかけたところで、加速する見込みはないのは誰の目にも明らかだが、



それでも彼自身がその事に気づくのを助けるために、彼は追い続ける。



そして、それに応えようと必死に前に足を繰り出すトシローもいる。




………柴名の言った例えはさっぱり意味が解らなかったが、その一頭と一人の荒々しいまでの息遣いが、


狂おしく変革を求めているようで――――





『………貴様の言ったこと、半分も意味を理解できんが。



肯定と受け取っていいのだな?』




競り合いの中、悠々と半馬身前に出た土地神が、少し後ろを振り返りながら言う。




風が耳元でゴオッ………と音を立てる。


角が風を切るのも感じた。





「こいつが負けるのは、


これっきりにしたいんですよ。



だから、お願いします。」





柴名の答え。




『…………了承した。』



彼の肯定に対して、こちらも静かな肯定をその場に残した土地神は



一度息―――気を大きく吐き出すと、それをもう一度吸い込み、



その後全身をうねらせ、その張り詰めた体の、溢れんばかりのエネルギーを全て地面にぶつけ、



めり込んだその蹄を大きく蹴り上げ、



その反動を再び全身に伝えて、






その神力からなる、人知を越えた末脚を爆発させた。





『―――――』







回りの景色が一瞬で色とりどりの線に変わって行く。



そして、向かいから風の壁が迫る。



彼らを阻む、唯一の障害………



しかし、幾重にも重なるその壁を豪快かつ大胆に切り裂いて進む土地神。








『落ちるなよ、レクサ………!』






『…………うん。』







ガクガクと大きく揺れる背中の上、


そう答えたレクサは、チラと後ろを振り替える。





一秒毎に小さくなって行くトシローの姿。





(自信は、なくさないで。



十分強いから………トシローは………)




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そして、トシローを3コーナーに置き去りにした彼らは




その、超越したスピードを保ったまま、










古川秀馬の待ち構えるゴールへ向け、













緑に広がるその直線を



突き抜けた。












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―――※―――






トシローの目が、驚愕に開かれる。





「自分より強い馬がいる。」








この単純かつ自然な衝撃は、彼の鉄の信念に大きくヒビを加えた。







自分のはるか前を、高速コーナリングで駆けて行く《それ》。


全身を使って、とんでもないスピードを繰り出すあの馬。






―――彼は必死に追おうとした。


自らの尊厳と、自信を守るため。




だが………動かない。思うように脚が動かない。



前に繰り出せない、回転しない、重い。




頭で描いた走り方が、現実にはできない。





―――追い付けるはずだ、本来なら。



一番最初に《それ》を突き放したあのスピードがあれば。




―――だが、それが出せない。



さっきまでは何の気なく出せていたそれが、




今はどうしてもでない。


いくら脚を前に出そうが、後脚で土を蹴り上げようが


息が続かず、どうにも脚が震えて力が入らない………




―――これが………『負け』か?





4コーナーに差し掛かり、彼はもう見えなくなった《それ》の姿を追うことはなくなった。


脚を虚脱感が襲い、走りから生気が抜けていく。




「ぶひゅ………」



チラと鞍上を後目で見上げる。



柴名は、未だ激しく手綱をしごいていた。息も絶え絶えに、身体中の水分を絞るかのようにして鬼のような形相で必死に喝を入れてくる。



ふと、首を押し込まれる感覚に疑問を持ったトシロー。




―――なぜこいつはこんなことをしているんだ?


もうこれ以上何をしようが伸びていかないことを知りながら………



………というより、そもそもなぜ人間はオレに乗りたがる?



なぜオレに乗る必要がある?




これまでは……カンスケやシューカが喜んでくれたからやって来た。必死に走れば走るだけ誉めてくれたから。



けど………



こいつ………いっつもオレに乗っているこの男は………必死に走っても無理矢理押さえようとする。スピードを出せば出すほど怒ってくる。



シューカやカンスケが、オレに必死に走って、他の馬に勝つ姿を求めているとしたら、



こいつはオレに一体何を求めているんだ?



別にオレは人様に乗っていただかなくても勝負はできるのに………


『勝ち』を求められるのに。



それでは不足しているということか?



………オレは何をして、何を求めたら勝ちなんだ!?













…………そんな疑問に辿り着いた時、彼の脳裏を一辺の記憶がよぎった。


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―――確か。




『蹄から血い出して………


痛くないのか?



スゴいよ、お前………』




どこでも全力で走って、シューカやカンスケに誉めてもらえていたとき………




オレの背中に乗っているこの男はまだこの牧場にいなかった。



あのときは、どれだけ飛ばそうが全力で走ろうが、本当になにも言われなかったし、止められもしなかったし、むしろ誉められた。



とすれば………全力で走ることは悪いことじゃない………





じゃあ………





『まだ……早い……!



落ち着けトシローっ!』



全力で走ろうとしたのを力一杯妨害されたあのとき………



こいつのこの怒りは一体どこから来ていたんだ?




それに………あの頃からシューカやカンスケまでオレを叱るようになった。



全力で走る度に喜んでくれたあの二人まで………





「ひゅー………ばっ」





4コーナー中間点、ガクガクと震える脚をなんとか前へと送りながら、彼は朦朧とする頭を何とか働かせていた。


尤も、人間のように知能的なそれではなく、本能的な識以下で、の話だが。






―――全力と制御。



これが鍵だ、と彼は感じた。



全力で走ることは悪いことじゃない。でも、全力で走り続けてはならない。



………なぜ、オレは制止されたのか?


否、いつもはどのタイミングで制御されていた?




――答えは最初からずっと。


スタートしたらそこからずっとこいつはオレを抑え続ける。


耐えろ、堪えろと手綱を引っ張る。





………最初は堪えなければならないのだろうか?


仮にそうだとして、それにはどんな意味があるのだろうか?



そして、それならばいつ?


オレはいつ全力で走ればいいのだろう。




そして、何にどう勝利すればいいのだろう………






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次々と浮かんでくる疑問の類いが、彼の残りわずかとなった体力を、どんどん蝕んで行く。



―――体力、というよりは、気力という表現が正しいかもしれない。







『自分は一番強く、早い。』






そう自分を信じて疑わなかった彼を襲った、


はじめての敗北感。











そして、それに加えて



滝のように流れてくる自問自答。








―――自分という馬が、一体何のために生まれ、


何を為すべきなのか、






もはや限界の容量に近づいた情報を詰め込んだ頭をもたげたまま、



4コーナーを回った彼は、ふらふらと直線に雪崩れ込む。









―――誰でもいい。誰でもいいから、







この無意味な問答を終わらせてくれ――――














そんな彼が見た、次の光景は、














長い芝生の上、









400メートルの直線だった。












今の彼にとっては、どこまでも続くかと思うほど長い緑の絨毯。










しかし、その果てに、



彼は確かに勘助たちの姿を見つけた。







こちらに向かって何やら叫んでいる、彼らの姿を。












そして、もうひとつ。













そこには、さっき自分の横を駆け抜け、置き去りにしていった《それ》の姿があった。









(………………!)











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驚愕に見開いたトシローの目は、勘助や秋華、桜花や古川を全く相手にせず、




そこに同じく立つ鹿の姿の土地神にのみ集中していた。




走ることをやめ、堂々とそこへ佇むその姿を。





―――《それ》があそこで……



立ち往生?いや違う……






あれ以上は走る必要がないから止まっている。



それ以上はいく必要がない………あそこが終着点。



終着点がある?




終着点とは?あそこまでいったら走らなくていい?




違う。逆だな。



あそこまでを走る必要があるから、終着点がある―――










その事実に気づいた瞬間、トシローの頭を凍結せしめていた氷は、



音もなく一気に溶け去っていった。









―――そうか。



ようやくわかった。




こいつがオレを抑えようとする意味…………






あそこがゴールだ。



途中の早さなんてどうでもいいんだ。




最後にあそこで他の馬より前にいれば、『勝ち』なんだ。







だから。だからこいつは、オレをずっと抑えていたんだ。



最初っから飛ばして最初先頭にたったところで、最後抜かされちゃ意味がないから。



だから、オレが。オレがその『抜かす側』に回れるように――――




最初は抑えて、体力を貯め続けて………



最後にこのスピードのよく出る真っ直ぐのここで他の馬を抜き去るために………



最近よく聞くようになった言葉………






これが、ケイバか………







人間の取り決めた秩序………ルールの中で行われる『勝負』。









そうか。







そういうことだったのか。






だから、背中のこいつはこんなにも必死に。







シューカやカンスケは、あんなにも一生懸命に。







全てはオレのために。







溶けた氷が、大河になって体の外に流れ出て行く。




脚に活力が戻り、息が整う。


さっきまでの怠さが嘘のように消えて行く。



まるで、その結論をその体で示して見せろとばかりに。




ゴール前で直立不動の《それ》が、少し微笑んだように見えた。









―――面白い。






………ならば。










見せてやろう。







オレの底力を。










シューカやカンスケ、そして、背中のこいつが求めている、




ケイバとしての強さを。









できる。オレには。










誰よりも早く、誰よりも鮮やかにこの直線を駆けることが。











オレにはできるはずだ。











誰よりも先に、あの『ゴール』を駆け抜けることが―――――


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「ぶひゅん!」



トシローは、前にもたげられていた頭を、一度大きく振り回した。



崩れかかっていた体勢が、一気に立て直される。



久方ぶりの、確りと地面を踏みしめる感覚。






「―――っ!?



トシロー!?」





今にも落ちそうなほどに疲労しきった柴名の顔が、驚愕の色に変わる。




「お前………まだやれるのか?」




細い、細い声だが、しかしその驚きは確りと伝わる。



「ひゅひゅひゅっ!」




脚が大きく回転し始める。それに伴って体勢も前に傾き始める。だが、



それはさっきまでのバテバテになっていた時のそれではなく。



芝をしっかりと踏み潰し、その爆発的なまでのスピードを産み出すための、競走馬としてのフォームで。







―――やれるんじゃない。




やらなきゃならない。








直線を残り200メートル残して、




自らの走る目標を修正し、息を吹き返した彼は、






陽に照らされて青々と広がる芝の海を、








秋華や勘助や土地神の待つ『ゴール』へ向かって、



そして、自分の『未来像』へ向かって、









疾風のごとく、しかしがむしゃらに駆けていった。











彼の駆けた後には、




優しくそよ風が吹き抜けたという。








大人への一歩を踏み出したが、まだその幼さを見せるその彼の走りは、









正しく、












『無垢なる疾走』だった。



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―――※―――





「結局……最後まで全力だったけど………」




模擬レースを終え、流石に疲労の色を濃くしたトシローを引いての帰厩道中。


未だ軽い息切れ状態の続くトシローの鼻面を撫でながら、勘助は呟いた。



「効果………無かったっぽいね。


最後まであんなに飛ばしてるんじゃあ―――」




『そうでも?』



彼のネガティブ発言に、口を挟んだのはレクサ。


妙に自信のこもった声である。



『最後の加速は、なんか別だったよね?


柴名さん。』




「ええ、違いましたよ、明らかに。」



柴名も柴名で何か確信がある様子。



「何が、とは言えませんが、



いつもみたいにただ全力で走っているというだけでなく…………こう、



鞍上を意識しての加速というか………」




―――エンジンの掛かり方が明らかにいつもと違っていた、と柴名は思う。




いつもなら、走る=全力の方程式で、がむしゃらに飛ばしまくるだけだったトシロー。


だが、今日。



残り200メートルで息を吹き返した時のトシローは、 まるで乗り手に


『走るぞ。いいな?』


と、意思を伝えてきたかのような………前触れがあった。




「あれは、直線を知ってる馬の走りでした。


コスモスルーオフにもよく似た感じがありましたね。


加速すべき所が直線なのだと了解している馬の走りですよ、たぶん。」




使うことのなかったムチを空中で上下に振り、ヒュヒュッと音をならした柴名。

泥だらけの顔の向こうに、何か自信を表したような薄い笑顔が見てとれた。




「そうなんですか?」



「少なくとも僕はそう思いますよ。


レクサさんや………土地神様も何か感じ取ったみたいですし。



まあ、明日か明後日に一本追い切ってみましょう。


それで効果の有無はハッキリしますから。」




いつも通りの満面スマイルで話を括った柴名。


だが、やはり何かしら手応えはあったらしい。その何気ない笑顔に、若干力強さが見えた気がした。




「……………。



そうなのか?トシロー………」



鼻面をポンポン、と叩きながら勘助は苦笑いで話しかけてみた。



「ふひゅー………」



―――勘弁してくれよ………とばかりに首を下に下げたトシロー。



残念だが、今は疲労しているらしいこと以外に得るべき印象もない。



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「本当に大丈夫なんだろうか…………


もしこれでダメなら次は打つ手が………」




『案ずるな、勘助。



例え結果がどうあろうと、こやつは必ずどこかで壁を乗り越える。



……頭のいい馬だからな。』




相変わらず鹿のまま、レクサを背にのせてゆっくりと歩く土地神。





「………まあ、土地神様がそう言うんなら………。」



口ではそう言っていても、


明日の調教まで待つのが辛いな………と不安で一杯の勘助。




ふと、彼の父、兼続が存命の頃の小学生の運動会を思い出す。



足の遅く、普通の走り方ができない勘助を夜通し特訓し続け、


本番はハチマキまでして応援しに来た。




あの時、俺の徒競走を見守っていた親父も、


今の俺と同じような心持ちだったのではないだろうか………と何となく思い出す。






「………………。」



何やら更なる不安に駆られた勘助は、無意識のうちに顔を伏せた。



これでダメなら………もし次を考えるとしたら………


そんな考えばかりが頭をめぐる。



トシローが競馬場を駆ける姿をうまくイメージできない。



「……………。」



そんな不安が顔に出ただろうか?




「大丈夫?勘助さん………」




さっきまで桜花と談笑していた秋華が、いつの間にか心配そうな顔でこちらに駆け寄ってきていた。



「あ、いや、大丈夫、うん」



情けない顔してたんだろうなぁと目線をそらし、ため息をつく勘助。


だが、そんなことをされるとさらに心配してしまうのが秋華で………




「やっぱり、元気ないですよ………見るからに。


トシちゃんのこと、心配?」




「…………まあな。」




「そう…………」






結局それ以上会話は続かず、


というか続けようともせず、


秋華と勘助は無言のまま坂を登った。












―――これがダメなら、なんてあまり考えたくはない。



が、心配性の彼にどうして考えないようなことができようか?




わが息子の進路が決しようとするときの親の心配が、



今の勘助にはよくよくわかる気がして、






夜、土地神を囲っての大宴会によって、酒も入っての就寝も、



なかなか寝付けず、不安ばかりが先行して悶々とする勘助だった。












































が、翌日。














思い描かれた全ての不安は、

















トシローと柴名の、見事なコンビプレイによって、











すべて解消された。



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