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第9話:生後2週間の超高速モフモフと、スライム・キャットタワー大倒壊

第9話:生後2週間の超高速モフモフと、スライム・キャットタワー大倒壊

◯月◯日(育児日記 99日目)


タイトル:子猫たちの成長スピードは人間の一〇倍!? 押し寄せるモフモフと巨大アスレチック。


「……バイオ学者として、頭では理解していたはずなのだ。しかし、これほどとは……!」




前回(生後95日目)から、わずか4日。 人間の赤ん坊である天智(あまち)にとっては、ほんのちょっと表情が豊かになった程度の短期間である。


だが——ケットシー(猫)の成長スピードは、人間の約十倍! 生まれてまだ2週間弱だというのに、三つ子たち(クララ、ナララ、ミララ)の目はパッチリと開き、ヨチヨチどころか「トコトコ」「ピョンピョン」と部屋中を素早く駆け回り始めていたのだ!


「みゅーっ!」「にゃーっ!」「みゅふーっ!」


「あははははっ! まてまてーっ!」


部屋の中は、まさに足の踏み場もない無秩序なカオスと化していた。


先頭を切ってスライムの私によじ登ってくるのは、長女のクララ。 「みゅっ!」と可愛い声をあげながら、私の青い側面に爪を立ててガシガシと登ってくる。


続いて、食いしん坊の長男ナララ。 彼は私の体表から滲み出る「ほんのり甘い生体エキス」の匂いに吸い寄せられ、お腹のあたりで「ちゅーちゅー」と吸い付きながら体をふみふみ(揉みほぐし)している。


そして三女のミララ。 彼女は天智が大好きなようで、天智の頭の上に乗っかり、小さな肉球で天智の髪の毛を「てし、てし」と叩いて遊んでいた。


「あぅー! みららちゃん、あたまのうえ! たのしいーっ!」


天智は四つんばいの姿勢で、頭の上にミララを乗せたまま「ハイハイタクシー」として部屋を周回している。


「あ、甘い……甘すぎるぞこの空間は……! 可愛さの飽和攻撃に私の核(コア)が溶けてしまいそうだ……!」


尊さのあまり平べったく潰れそうになる私。 しかし、本当の災難はここからだった。


◇


「にゃ〜、天山さん! 三つ子たちの離乳前運動の様子を見に来たぞ——って、うわぁぁぁっ!?」


丸木小屋の中、私は自分(スライムボディ)の上に重なる「ある物体たち」の重みに耐えながら、慄然としていた。


なんと、三つ子たちにとって、部屋の中心に鎮座する「青くてプルプルした巨大な物体(私)」は、最高のキャットタワー兼アスレチックとして認識されてしまっていたのだ!


「あにゃにゃ!? クララちゃんたちが天山さんを登ってるにゃ!?」


「ル……ルーク殿……助けてくれたまえ……。爪が……痛くはないのだが、表面張力が保てなくなって……!」


三つ子たちが「てっぺんを目指すにゃ!」と言わんばかりに、私のスライムボディをガシガシと駆け登る。


さらに、それを見た「お姉ちゃん」の天智の対抗心(マネッコ)に火がついてしまった!


「わたしも! キャットタワーのぼるーっ!」


「えっ!? 天智、君は人間だから登るのではなく——ぐわぁぁぁっ!?」


天智が『順応』ハイハイの強力な足腰で、子猫たちを追いかけるように私の背中にドスンと飛び乗ってきた!


【体重の負荷計算】


子猫×3頭=約900グラム(フワフワ)

0歳児天智=約7キログラム(ズッシリ)


「重いっ!! 天智の重みはチート級だぁぁぁぁっ!?」


頂上に君臨した天智(7キロ)が「えっへん!」と胸を張り、その周りにクララ、ナララ、ミララが「みゅ〜!」と群がる。


そう、私は現在『生体スライム・巨大キャットタワー形態』として、幼子4人の頂上決戦の舞台となっていたのだ!


「あはっ! てっぺん! てっぺんだよー!」


「みゅー!(てっぺんにゃ!)」


天智と三つ子たちが、私のてっぺんで喜びのダンスを踊り始める。


ぷにっ……ぷにぷにっ……。


「や、やばい……表面張力の限界値を超えた……! チキソトロピー流動化が止まらない……!」


「天山さん!? なんか体がグラグラ傾いてるぞにゃーっ!?」


ルークが叫んだ瞬間!


バランスを失った巨大キャットタワー(私)が、ゆっくりと斜め四十五度に傾き——。


ドバシャァァァァァンッッッ!!!!


「「「きゃあぁぁぁぁぁっ!???」」」


崩壊!!


私の身体が圧力に耐えきれず、まるで青い巨大なゼリーの雪崩(なだれ)のように一気に崩れ落ちたのだ!


◇


「ふにゃあぁぁぁっ!?」


崩れ去るスライムの雪崩。 しかし、私はバイオ学者であり、父親だ!


「『変化』・最大減速ポヨンポヨンモードぉぉぉっ!!」


私は崩れ落ちる瞬間、自らの身体を空気を含んだ最高級の特大クッションに変形!


ぽよんっ! ぽよぽよんっ!


落下してくる天智、クララ、ナララ、ミララの4人を、身体全体でふんわりと優しく包み込んだ!


衝撃は完全にゼロ!


「……ふぅ……ふぅ……怪我はないかい……!?」


息を弾ませながら尋ねる私。


すると、私の柔らかい身体の中に埋もれた天智と三つ子たちが——。


「あはははははっ! すべりだい! もういっかいーっ!」


「みゅ〜! みゅ〜!(たのしいにゃー!)」


大爆笑&大歓声!


なんと、キャットタワーの崩壊すらも、彼らにとっては最高の「アトラクション」として楽しんでしまったのだ!


「やれやれだにゃ……」


ルークが呆れ顔で頭を抱える。


「天山さん、お前さんはスライムだから怪我しないからいいけどさ……キャットタワーになるなら、もう少し補強してくれにゃ」


「……善処……します……(体力が削られて平べったくなる私)」


◇


それから30分後。


すっかり遊び疲れた三つ子たちと天智は、平べったい「青いお布団形態」になった私の上で、重なるようにしてすやすやと眠りについていた。


天智の手は、しっかりとミララの小さな身体を包み込むように抱きしめている。


子猫たちの成長は早い。ほんの数日で、どんどん動き回り、知恵をつけていく。 人間である天智の成長速度とは全然違うけれど。


こうして一緒に転び、一緒に笑いながら、4人は確かな「きょうだい」のような絆を深めていた。


「ふふ……子猫たちのパワーに負けないように、パパも『超耐荷重キャットタワー』の構造計算をやり直さなきゃね……」


すやすやと可愛い寝息を立てる子どもたちの温もりを感じながら、私は静かに目(核)を閉じるのだった。


(第9話・完)


【次回予告】(日記103日目〜104日目予定)


次回第10話! 生後18日目を迎えた三つ子たちが「毛づくろい」に開眼!? 天智お姉ちゃんが子猫たちのマネをして、パパ(スライム)をお洗濯!? 泥まみれの大惨事再び!? お楽しみに!

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