第21話:つむじ風と『空を飛びたい』子猫たち! 巨大気球スライム大冒険 ◯月◯日(育児日記 148日目)前編
第21話:つむじ風と『空を飛びたい』子猫たち! 巨大気球スライム大冒険
◯月◯日(育児日記 148日目)
タイトル:上昇高度一五メートル!? ぽかぽか熱気球スライムと、屋根の上の降臨劇。
「……バイオ学者として、そして異世界転生者として言わせてもらおう。空気の熱膨張と浮力の原理は完璧だ。……だが、乗客が『ブレーキのきかない暴走三つ子と一人の天才赤ん坊』であるという重大な変数を、私は見落としていた……!!」
秋空が高く澄み渡る、ある午後のことである。
育児日記は148日目(生後4か月後半・前回から3日後)。
前回の「大雨の日の大樹の洞」から3日が経過し、秋の風はどこか心地よく、村のあちこちで赤や黄色の落ち葉が舞い散っていた。
事件の発端は、遊びにやってきたルークが、子どもたちの前で得意げに披露したひとつの生活魔法であった。
「見よニャ! ボクの風魔法【プチ・ウィンド】だニャーッ!」
ルークが前足をシュッとひと振りすると、広場に小さな「くるくる巻き上がるつむじ風」が発生した。 色鮮やかな落ち葉たちが、まるで生き物のようにくるくると円を描いて空へと舞い上がっていく。
「あうぅぅぅっ……! すごーい! ひらひらーっ!」
生後148日を迎えた愛娘・アマチ(天智)が、目をキラキラと輝かせて拍手を送った。 首も腰も据わり、発語も「二語文」を自在に操るようになったアマチは、頭頂部の「髪の毛猫耳」をピコンピコンと直立させて大興奮である。
「みゅ〜!」「にゃはー!」「とんでるニャー!」
1歳を迎えた三つ子たち(クララ、ナララ、ミララ)も、舞い上がる落ち葉を追いかけてピョンピョンと跳ね回る。
そして、空へ飛んでいく落ち葉を見つめながら、アマチがぽつりと呟いたのだ。
「あぅ……アマチも……お空、とびたいなぁ……」
「ニャッ!? アマチ、お空飛びたいのかニャ!?」
長女クララが、ぴんと尻尾を立てて振り返った。
「ボクも! ボクもお空飛びたいニャーッ!」
「ミララも! お雲さん触りたいニャーッ!」
「お空飛びたい!」「とびたいニャーッ!」
子どもたちの「お空飛びたい欲求」が、一瞬にして爆発してしまったのである!
◇
「にゃ〜……天山さん、どうしようニャ? ボクの風魔法じゃ、葉っぱを飛ばすのが精一杯で、子どもたちを浮かせるなんて無理だニャ……」
弱り切った顔で助けを求めてくるルーク。
「フッ……任せたまえ、ルーク殿!」
私は自らのスライムボディを「誇らしげ」に膨らませて前に出た!
「バイオ学者であり、ステータス画面を手に入れたこの私に不可能はない! 子どもたちの『夢』を叶えることこそ、父親の至高の喜び! 見よ、私の新発想・生体航空工学の成果を!」
私は『変化』スキルを発動し、身体の構造を一気に変形させ始めた!
まず、自分のスライムボディを薄く、かつ強靭な「生体ゴム膜」のように極限まで拡張。 内部に空洞を作り出し、体内で安全な魔素熱化学反応を起こして高熱の気体(温気)を爆発的に生成! さらに、下部には子どもたち4人が安全に乗れる、ふんわりとした「深型のスライムバスケット(ゴンドラ)」を形成したのだ!
ぽこんっ!! ブワァァァァァッ!!
「な……なにぃぃぃぃっ!?? 天山さんが……巨大なバルーン(気球)になったニャーッ!?」
ルークが目を剥いた!
そう! 私の体長は一瞬にして直径三メートルを超える『巨大ぽかぽか熱気球スライム形態』へと大変身を遂げたのだ!
「さあ子どもたち! パパのゴンドラに乗っておくれ! 安全なロープ(スライムの触手)で地面と繋いであるから、数メートルのふわふわ浮遊体験が楽しめるぞ!」
「あはっ! パパ、おっきい気球! すごーいっ!」
「「「ニャぁぁぁぁっ! 乗るニャーッ!」」」
アマチを先頭に、クララ、ナララ、ミララが一斉にゴンドラへと飛び乗ってきた!
ゴンドラの内部は、私の体温調整機能によって「三十七度のぽかぽか天国」。ふんわりとしたクッション性が全身を包み込み、転んでも一切痛くない完璧な安全設計である!
「よし……浮力上昇開始! 内部温度、四十度へアップ!」
シューーーーーッ!!
体内熱気の上昇とともに、私の巨体がふんわりと地面を離れた!
「あ……あぅ……っ! うごいた! うごいたよパパーっ!」
「みゅ〜〜〜っ! 地面が遠ざかるニャーっ!」
一メートル……二メートル……三メートル!
目の前の景色がぐんぐんと低くなっていく。 村の木々や、丸木小屋の屋根が自分たちの目線と同じ高さになっていく光景に、子どもたちは大興奮の絶頂を迎えた!
「あははははっ! お空! お空にとんでるーっ!」
アマチがゴンドラのフチから身を乗り出し、小さな手を振って大はしゃぎ! 頭の「髪の毛猫耳」が、風を受けてルンルンと楽しそうに踊る!
「ボク、お鳥さんみたいだニャ!」「高いニャ! 高いニャ!」
「フッ……大成功だ! 安全ロープの長さは5メートルに固定してある。これなら風に煽られても安全圏内——」
……と、私がバイオ学者としての勝利に浸っていた、その時であった。
タイトル:上昇高度一五メートル!? ぽかぽか熱気球スライムと、屋根の上の降臨劇。
「……バイオ学者として、そして異世界転生者として言わせてもらおう。空気の熱膨張と浮力の原理は完璧だ。……だが、乗客が『ブレーキのきかない暴走三つ子と一人の天才赤ん坊』であるという重大な変数を、私は見落としていた……!!」
秋空が高く澄み渡る、ある午後のことである。
育児日記は148日目(生後4か月後半・前回から3日後)。
前回の「大雨の日の大樹の洞」から3日が経過し、秋の風はどこか心地よく、村のあちこちで赤や黄色の落ち葉が舞い散っていた。
事件の発端は、遊びにやってきたルークが、子どもたちの前で得意げに披露したひとつの生活魔法であった。
「見よニャ! ボクの風魔法【プチ・ウィンド】だニャーッ!」
ルークが前足をシュッとひと振りすると、広場に小さな「くるくる巻き上がるつむじ風」が発生した。 色鮮やかな落ち葉たちが、まるで生き物のようにくるくると円を描いて空へと舞い上がっていく。
「あうぅぅぅっ……! すごーい! ひらひらーっ!」
生後148日を迎えた愛娘・アマチ(天智)が、目をキラキラと輝かせて拍手を送った。 首も腰も据わり、発語も「二語文」を自在に操るようになったアマチは、頭頂部の「髪の毛猫耳」をピコンピコンと直立させて大興奮である。
「みゅ〜!」「にゃはー!」「とんでるニャー!」
1歳を迎えた三つ子たち(クララ、ナララ、ミララ)も、舞い上がる落ち葉を追いかけてピョンピョンと跳ね回る。
そして、空へ飛んでいく落ち葉を見つめながら、アマチがぽつりと呟いたのだ。
「あぅ……アマチも……お空、とびたいなぁ……」
「ニャッ!? アマチ、お空飛びたいのかニャ!?」
長女クララが、ぴんと尻尾を立てて振り返った。
「ボクも! ボクもお空飛びたいニャーッ!」
「ミララも! お雲さん触りたいニャーッ!」
「お空飛びたい!」「とびたいニャーッ!」
子どもたちの「お空飛びたい欲求」が、一瞬にして爆発してしまったのである!
◇
「にゃ〜……天山さん、どうしようニャ? ボクの風魔法じゃ、葉っぱを飛ばすのが精一杯で、子どもたちを浮かせるなんて無理だニャ……」
弱り切った顔で助けを求めてくるルーク。
「フッ……任せたまえ、ルーク殿!」
私は自らのスライムボディを「誇らしげ」に膨らませて前に出た!
「バイオ学者であり、ステータス画面を手に入れたこの私に不可能はない! 子どもたちの『夢』を叶えることこそ、父親の至高の喜び! 見よ、私の新発想・生体航空工学の成果を!」
私は『変化』スキルを発動し、身体の構造を一気に変形させ始めた!
まず、自分のスライムボディを薄く、かつ強靭な「生体ゴム膜」のように極限まで拡張。 内部に空洞を作り出し、体内で安全な魔素熱化学反応を起こして高熱の気体(温気)を爆発的に生成! さらに、下部には子どもたち4人が安全に乗れる、ふんわりとした「深型のスライムバスケット(ゴンドラ)」を形成したのだ!
ぽこんっ!! ブワァァァァァッ!!
「な……なにぃぃぃぃっ!?? 天山さんが……巨大なバルーン(気球)になったニャーッ!?」
ルークが目を剥いた!
そう! 私の体長は一瞬にして直径三メートルを超える『巨大ぽかぽか熱気球スライム形態』へと大変身を遂げたのだ!
「さあ子どもたち! パパのゴンドラに乗っておくれ! 安全なロープ(スライムの触手)で地面と繋いであるから、数メートルのふわふわ浮遊体験が楽しめるぞ!」
「あはっ! パパ、おっきい気球! すごーいっ!」
「「「ニャぁぁぁぁっ! 乗るニャーッ!」」」
アマチを先頭に、クララ、ナララ、ミララが一斉にゴンドラへと飛び乗ってきた!
ゴンドラの内部は、私の体温調整機能によって「三十七度のぽかぽか天国」。ふんわりとしたクッション性が全身を包み込み、転んでも一切痛くない完璧な安全設計である!
「よし……浮力上昇開始! 内部温度、四十度へアップ!」
シューーーーーッ!!
体内熱気の上昇とともに、私の巨体がふんわりと地面を離れた!
「あ……あぅ……っ! うごいた! うごいたよパパーっ!」
「みゅ〜〜〜っ! 地面が遠ざかるニャーっ!」
一メートル……二メートル……三メートル!
目の前の景色がぐんぐんと低くなっていく。 村の木々や、丸木小屋の屋根が自分たちの目線と同じ高さになっていく光景に、子どもたちは大興奮の絶頂を迎えた!
「あははははっ! お空! お空にとんでるーっ!」
アマチがゴンドラのフチから身を乗り出し、小さな手を振って大はしゃぎ! 頭の「髪の毛猫耳」が、風を受けてルンルンと楽しそうに踊る!
「ボク、お鳥さんみたいだニャ!」「高いニャ! 高いニャ!」
「フッ……大成功だ! 安全ロープの長さは5メートルに固定してある。これなら風に煽られても安全圏内——」
……と、私がバイオ学者としての勝利に浸っていた、その時であった。




