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第20話:秋の冷や雨と、ほかほかスライム毛布の雨やどり ◯月◯日(育児日記 145日目)前編

第20話:秋の冷や雨と、ほかほかスライム毛布の雨やどり

◯月◯日(育児日記 145日目)


タイトル:森の突然の大雨! 震える子猫たちと、温度調整スライムの温かい抱擁。


「……バイオ学者として、異世界の気象変化の急激さには常に警戒を払っていたつもりだった。しかし……この冷え込みは計算外だぞ……!」


私は自らのスライムボディを『特大の青い温水クッション形態』へと変形させ、体温(内部温度)を通常の三十六度半から「三十八度半」へと引き上げていた。


育児日記は145日目(生後4か月後半)。


秋の深まりを見せるケットシーの村の周囲は、木々が赤や黄色に色づき、落ち葉がカサカサと舞う美しい季節を迎えていた。 だが、山間部の秋の天気は気まぐれだ。


午前中のポカポカとした陽気に誘われ、私と愛娘のアマチ(天智)、そして1歳を迎えた三つ子たち(クララ、ナララ、ミララ)は、村の裏手に広がる「もみじの森」へとお散歩に出ていたのだ。


ところが——。


ゴロゴロ……ポツ、ポツ……。


「あぅ……? 空、くらい……?」


『猫足ハイハイ』で落ち葉の山をサクサクと踏みしめていたアマチが、ふと足を止めて空を見上げた。 頭頂部の「髪の毛猫耳」が、冷たい風を感じてペショッと倒れる。


次の瞬間!


ザザザーーーッ!!


まるで天の底が抜けたかのような、冷たい秋の夕立(土砂降り)が森全体を襲ったのだ!


「にゃあぁぁぁっ!? 大雨だニャーッ!」


「みゅ〜〜〜っ!」「冷たいニャ!」「濡れるニャーっ!」


長女クララ、長男ナララ、三女ミララが一斉に悲鳴をあげて跳ね上がった! ケットシーは濡れるのが大嫌いだ。ましてや、秋の山雨は氷のように冷たい!


「子どもたち、こっちだ! 大樹の洞(ほこら)へ避難するんだ!」


私は自らの身体を急速に拡張し、子どもたちの頭上に『青いスライム傘』を広げながら、広場の中央にある樹齢数年の巨大な「大楠(おおくす)の洞」へと全員を誘導した。


◇


「ふぅ……ふぅ……! 全員無事かい!?」


大樹の空洞の中に飛び込み、雨をしのぐ私たち。


外は激しい雨音と風の音が吹き荒れ、気温が一気に氷点下近くまで下がり始めていた。


洞の中は雨こそ入ってこないものの、足元から冷気がじんわりと這い上がってくる。


「ひゃ……冷たいニャ……。毛並みが濡れて寒すぎるニャ……」


長女クララが、濡れた足を抱えて「ブルブルッ!」と全身を激しく震わせた。 長男ナララと三女ミララも、お互いに身を寄せ合って「みゅ〜……」「みゅ〜……」と歯を鳴らして震えている。


そして——我が愛娘のアマチも例外ではなかった。


「あぅ……っ、う……うぅ……っ」


生後145日を迎えたアマチは、首も腰もすっかり据わり、お話しも上手になってきたとはいえ、まだ生後4か月半の幼い赤ん坊だ。 濡れた服(※私のスライム生地)と冷たい風にさらされ、小さな唇を紫前に変えてガタガタと震えていた。


「あ……アマチ! 大変だ、体温が下がっている!」


私は焦って自分のステータススクリーンを立ち上げ、新スキル『育児(状態分析&自動温調)』をアマチに向けた。


ピコン!


【名前】 アマチ 【体温】 35.1度(危険:低体温症の初期症状!) 【状態】 「さむい……パパ、つめたい……」 【危険度】 75%(急泣・体調不良の恐れ)


「危険度75%!! バイオ学者として、我が子を低体温症などにするわけにはいかないーーーっ!」


私は自分のスライムボディに秘められた、全エネルギーを稼働させた!


「スキル発動! 『自動温調』・最大加熱モード!! 『変化』・特大ぽかぽかスライム羽毛布団形態ぃぃぃぃっ!!」


ブワァァァァァッ!!


私の青いゼリー状の身体が、一瞬で内部に空気の層をたっぷりと含んだ「発熱する高級シルク毛布」のような形状へと姿を変えた!


体内にある魔素代謝を意図的に活性化させ、発熱反応を引き起こす! 体温サーモの数値を、三十六度から「三十九度」へアップ!


「アマチ! 三つ子ちゃんたち! パパの中に入りなさい!」


「あぅ……! パパ……あったかい……?」


アマチが、震える手で私のスライム毛布の端を掴んだ。


ジュワァ……っ。


私がアマチの小さな身体をふんわりと優しく包み込んだ瞬間、熱伝導によって温かいぬくもりがアマチの身体全体へと伝わった!


「あ……あふぅぅぅ……っ」


アマチの口から、ほっと溜息が漏れ出た。


「あったかい……! パパのおふとん、すっごくあったかいよーっ!」


「みゅ〜〜〜っ!?」「なにこれニャーっ!?」「お風呂みたいだニャーっ!」


寒さに震えていたクララ、ナララ、ミララも、吸い寄せられるように私のスライム毛布の中へと飛び込んできた!

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