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第19話:青い画面と魔法のボタン! パパのレベルアップ大作戦 ◯月◯日(育児日記 140日目)前編

第19話:青い画面と魔法のボタン! パパのレベルアップ大作戦

◯月◯日(育児日記 140日目)


タイトル:ステータス画面は最高のおもちゃ!? 減り続けるパパのHPと、ちいさな娘の「レベルあげ」!


「……バイオ学者として、そして異世界転生した父親として、私は今、かつてない『子育ての新境地』に到達していると言わざるを得ない……!」


丸木小屋の中、私は自らのスライムボディを『直径四十センチの青いバランスボール形態』へと整え、目の前に浮かぶ透明な青い光の板——【ステータススクリーン】を注視していた。


育児日記は140日目(生後4か月半過ぎ)。


前回、私と愛娘・アマチ(天智)の間に起きた『魔素同調』によって覚醒した、この謎のシステム画面。 それは日々、我が家のドタバタ育児において「恐ろしいほどの利便性」を発揮していた。


「見てみたまえ、ルーク殿! 私の新スキル『育児(レベル測定)』の精度を!」


私は部屋の隅で、干し魚の木箱をこっそり開けようとしていた三つ子の長男・ナララ(生後50日=ケットシー年齢1歳過ぎ)へ視線を向けた。


ピコン!


【名前】 ナララ 【状態】 満腹度:30%(空腹) 【企み度】 98%(パパにバレずに干し魚を盗み食いしたい)


「ほら見ろ! 『企み度:98%』だ! ナララちゃん、盗み食いはダメだよー!」


「みゅあぁぁぁっ!? なんでバレたニャーっ!?」


ナララが驚いて干し魚の箱から前足を引っこ抜き、尻尾をピンと立てて逃げ出した!


「す、すごいにゃ天山さん……! 子猫の頭の中の悪だくみまで数値で見えるなんて、完全に悪魔の目だニャ……!」


遊びに来ていたルークが、顎が外れんばかりに驚愕している。


「フッ……悪魔の目とは失礼な! これはバイオ工学と父親の愛が融合した『究極の育児モニター』なのだよ! これさえあれば、アマチがお腹を空かせた瞬間も、オムツ(※私の身体の一部)を取り替えるタイミングも一ミリの誤差なく察知できる!」


私はドヤ顔(スライムの表面を誇らしげに膨らませる)で胸を張った。


……そう、ここまでは良かったのだ。 このステータススクリーンが、「便利な育児ツール」として機能している間は。


問題は、この青い画面を「世界一楽しい最新型のおもちゃ」として認識してしまった、我が愛娘・アマチの存在であった。


◇


「あぅー! あおいカガミ! ぽちっとニャ!」


ペシッ!!


「ぬわぁぁぁっ!?」


アマチ(生後140日)が『猫足ハイハイ』で突進してくると、私の視界だけに浮かんでいるはずのステータススクリーンを、小さな手のひらで豪快に「バシッ!」と叩いた!


魔素同調によって私と視界を共有しているアマチの手は、不思議なことに、この光の画面に「タッチパネル」のように干渉できるのだ!


ピコン! ピコン! ピコン!


【警告:設定メニューが乱打されています】 【言語表示:古代魔導語 ➔ スライム語 ➔ ケットシー語(方言)に切り替わりました】


「ああっ! ちょっと待ちなさいアマチ! 設定ボタンを乱打しないでくれ! システム表示が『ケットシー語(にゃんこ弁)』になってしまって読めな……いや読めるけれども!」


「あはっ! ピコンって言った! おもしろーい!」


アマチは目をキラキラと輝かせ、頭頂部の「髪の毛猫耳」をルンルンとピコピコ動かしながら、空中に浮かぶ画面を「ペシペシ! トントン!」と連打し始めた!


ピコン! ピコン! ピコピコポンッ!


【個体名:風海天山 のステータス詳細が開かれました】

【名前】 かざみ・てんざん 【レベル】 Lv.12 【HP(質量)】 40 / 100 【状態】 「アマチちゃんにペシペシされてちょっと困惑中ニャ」


「あぅ……! パパの、あかいやつ!」


アマチの手が、ピタリと止まった。


アマチの小さな指先が指し示していたのは、私のHP(質量)を示すゲージであった。 前回、アマチが「ぽむの実」を食べさせてくれたことで15から40へと回復したものの、いまだ最大値(100)の半分以下。ドッジボール大からバランスボール大への完全復元には程遠い状態である。


アマチの丸い瞳に、キュッと真剣な色が宿った。


「パパ……まだ、ひくい。よわよわ……?」


「え? あ、いやいや! そんなことはないよアマチ! パパは元気いっぱい——」


「ダメーーーッ!!」


アマチが、小さな両手を広げて大声で叫んだ!


「パパのレベル、あげなきゃダメ! 強いパパにするのーっ!」


生後140日を迎えたアマチは、言葉の理解が「二語文」から「簡単な意思表明」へと目覚ましい進化を遂げていた。 前回のステータス覚醒以来、アマチの中で「パパのHP(レベル)が低いと、パパが小さくなって消えちゃうかもしれない」という強い危機感が芽生えていたのだ!


「あぅ! くららちゃん! なららちゃん! みららちゃん! あつまるニャ!」


「「「みゅ〜〜〜っ!?」」」


アマチが髪の毛猫耳をピンッと立てて召集号令をかけると、部屋で遊んでいた1歳の子猫たち(三つ子)が一斉に集まってきた!


「アマチ、どうしたニャ?」「パパを倒すニャ?」「あそぶニャ?」


「ちがうニャ! パパの『れべるあげる』の! みんなでお手伝いするの!」


「「「おおーっ! レベルあげるニャーっ!」」」


三つ子たちは理由も分からず、とりあえずアマチの気合に押されて「おーっ!」と前足を突き上げた!


「ま、待ちなさい子どもたち! レベルアップとはそんな、幼稚園のごっこ遊びのように簡単にできるものでは——」



「パパ、すわって! うごいちゃダメ!」


アマチが「めっ!」と人差し指を立てて私を指差した。



その威圧感は、どこかお隣の母猫・メイラさん(Lv.42)の面影を感じさせるものであった。


「は、はいっ……(思わずスライムの体を縮めて正座する私)」


こうして、アマチ隊長率いる『パパ・レベルアップ大作戦』が、怒涛の勢いで開幕してしまったのである!

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