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第18話:前編 ピコン! 視界に浮かぶ青い画面と、育児ステータス覚醒 ◯月◯日(育児日記 135日目

第18話:ピコン! 視界に浮かぶ青い画面と、育児ステータス覚醒

◯月◯日(育児日記 135日目)


タイトル:魔素同調で開眼! 謎の青い画面と、パパの『身を削る数値』。


「……バイオ学者として、そして異世界転生者として、私はこの世界における『奇跡の瞬間』に立ち会ってしまったのかもしれない……!」


丸木小屋の中、私は自らのスライムボディを『ペチャンコの平べったい青いお布団』へと変形させ、半ば意識を朦朧とさせながらプルプルと震えていた。


育児日記は、135日目(生後約4か月半)を迎えていた。


前回の「樹上での野外授業(木登り訓練)」を終え、愛娘のアマチ(天智)と1歳を迎えた三つ子たち(クララ、ナララ、ミララ)の成長は、留まることを知らない。


三つ子たちのすばしっこい動きに合わせ、アマチは『マネッコ』スキルによる「猫足ハイハイ」と「スライム吸着登攀(とうはん)」を連日連夜フル稼働させていた。 当然、そんな子どもたちの無茶な遊びを受け止め、怪我から守り、特製ハーブミルクや高栄養スライムゼリーを作り続けてきた私の身体(質量)は、限界に達していたのだ。


【通常の体積:バランスボール大】 ↓(連日の身を削る授乳とクッション化) 【本日の体積:ハンドボール大(極小)】


「はぁ……はぁ……さすがに一度に質量を削りすぎたか……。核(コア)の魔素循環が枯渇しかけている……」


私が平べったい水たまり状態のまま動けずにいると、部屋の真ん中で三つ子たちとお絵描きをして遊んでいたアマチが、ハッとこちらを振り返った。


生後4か月半を迎えたアマチは、お座りどころか、つかまり立ちの姿勢を数秒キープできるほど足腰がしっかりしてきている。


「あぅ……? パパ……? ちいさくなってる……?」


アマチの頭頂部にある「髪の毛猫耳」が、心配そうにペショッと倒れた。


アマチは『猫足ハイハイ』で素早く私の元へ近づくと、ハンドボール大まで小さくなった私のスライムボディを、小さな小さな両腕で「ぎゅーーーっ!」と力いっぱいに抱きしめてきたのだ。


「あぅ……パパ、痛いの……? アマチが、元気あげる! ぎゅーっ!」


「あ……アマチ……!」


なんという健気な我が子だろうか。 自分がパパに甘え、パパの身体をちゅうちゅうと吸い尽くして小さくしてしまったことに、幼いながらも気づいていたのだ。


アマチは自分の小さな頬を、私の冷たくなったスライムの体表にピタリと押し当てた。


その瞬間であった。


じわぁぁぁぁぁ……っ。


アマチの身体から、温かい光のような魔素が溢れ出し、私の体内へと逆流するように流れ込んできたのだ!


「な……なに……っ!? アマチの魔素が……私の中に直接流入してくる……!?」


そう、アマチの持つ固有スキル『順応』と『マネッコ』。 彼女はパパ(スライム)が自分に魔素や栄養を注ぎ込んでくれていた感覚を無意識に『マネッコ』し、自分の生命力をパパへ「逆注入」しようとしていたのだ!


スライムである私の魔素核(コア)と、人間の赤ん坊であるアマチの生命エネルギー。 二つの魔素が、まるで一つに溶け合うかのように激しく同調(シンクロ)を開始した!


ブワァァァァァッ!!


「「っ……!?」」


部屋の中に、幻想的な青い光の粒子が舞い上がった。


そして、私の意識の奥深くと、アマチの瞳の奥で、同時に「ピコン!」という電子的な透過音が鳴り響いたのだ!


◇


【システム・魔素同調が完了しました】 【個体名:風海天山 および 個体名:アマチ の精神視界に『ステータススクリーン』を開放します】


透過音とともに、私の目の前(視界の中央)に、透き通った青い四角い画面——【ステータススクリーン】がヌッと浮かび上がった!


「な……なん……だと……!???」


バイオ学者としての理性が、大叫喚をあげた!


これはいわゆる、物語やゲームなどでよく目にする「ステータス画面」ではないか! 異世界転生して135日目にして、まさかこのようなRPG的システム画面が視界に展開されるとは!


おそるおそる、自分のステータス画面を注視してみる。


【名前】 風海天山(カザミ・テンザン) 【種族】 高等生体スライム(元・人間/バイオ学者) 【レベル】 Lv.12 【HP(質量)】 15 / 100(危険:著しい質量低下!) 【MP(魔素)】 45 / 250 【固有スキル】 ・『変化(形状・性質変形)』Lv.4 ・『分解酵素制御』Lv.3 ・『育児(レベル測定・状態察知)』Lv.1 【NEW!】


「ほ……本当にレベルやHPが数値化されている……! しかもHPが15しかない! やはりハンドボールサイズは瀕死一歩手前だったのか……!」


自分の身体の状態が客観的なデータとして一目瞭然になった衝撃に打ち震える私。


しかし、驚愕はそれだけで終わらなかった。


「あぅ……!? あーうっ!???」


隣で私を抱きしめていたアマチが、突然ぽかんと口を開けて、目の前(何もない空間)を小さな手で「ペシペシ!」と叩き始めたのだ!


「あぅ! あおい……カガミ……? ピカピカ……?」


「なっ……アマチ!? 君にも……見えているのか!?」


「あぅ! パパ、ここ! あおいのが、あるの!」


そう! 魔素同調によって覚醒したため、アマチの視界にも、全く同じ【ステータススクリーン】が投影されていたのだ!


私がアマチのステータス画面へと視線を向けると、新スキル『育児(レベル測定)』が自動発動し、アマチのステータスが私の視界にも詳細に展開された。


【名前】 アマチ(風海天智) 【種族】 人間(幼体・スライム適応種) 【レベル】 Lv.4 【月齢】 生後135日(約4か月半) 【ステータス状態】 ・ご機嫌度:95%(パパが元気になるか心配中) ・満腹度:45%(ややお腹が空き始めている) ・健康状態:極めて良好(骨格・筋肉の発達スピードが通常の1.8倍) 【固有スキル】 ・『順応(環境・魔素適応)』Lv.3 ・『マネッコ(完全模倣)』Lv.3 ・『ケットシー擬態(髪の毛猫耳・猫足)』Lv.2


「す……素晴らしい……素晴らしいぞコレはーーーっ!!!」


私は HANDBALL サイズの身体を跳ねさせて大歓声をあげた!


「ご機嫌度! 満腹度! 健康状態のリアルタイム数値化!! 赤ん坊がなぜ泣いているのか分からず夜おずおずと熱を測っていた地球時代の新米父親たちに見せてあげたい! これさえあれば、いつお腹が空いたのか、どこが痛いのかが完璧に察知できるではないか!!」


バイオ学者であり父親である私にとって、この『育児ステータス』の開眼は、伝説の聖剣を手に入れた以上の感動であった!


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