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SHOT D RAIN〜少子化対策VRMMOで関係を持った相手が、同じ会社の社員ってあり得るの!?  作者: 丹羽坂飛鳥
本編

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三井くんとのお出かけ

 テーマパークに行くなんて、子供の時に両親に連れて行ってもらった以来かもしれない。


 集合は朝九時、駅前にあるモニュメントで待ち合わせる約束になっていた。

 携帯端末をいじりながら待ってる三井くんは会社の印象とは違ってカジュアルな格好で、普通の男性にしか見えない。「彼女待ちかな」なんて女子高生が騒いで通り過ぎたくらいカッコいい。

 私も三井くんとついにお出かけなんだって、待ち合わせ場所に近づくだけで緊張してた。


「ごめんね三井くん。お待たせ」


「おはよう、一崎さん。全然待ってないから大丈夫だよ。

 一瞬誰か分からなかった……スーツ以外見たことなかったから、なんだかドキドキするかも……」


 私もお出かけに何を着ようか悩んだ結果、夏っぽいワンピースになった。

 合わせてアクセサリーも選んだけど、普段のAI任せじゃなくて自分で選んだ格好だから、変に照れくさい。


「じゃあ、いこっか」


 恥ずかしそうな三井くんが行き先を案内してくれたけど、隣を歩きながらも話題は尽きることがなかった。

 入社時研修の話は特に苦労を共有してるから、大盛り上がりした。


「そうだ、合宿で一緒になった時に一崎さんとパジャマで鉢合わせたよね。覚えてる?」


「覚えてる。女子棟と男子棟に分かれてて、真ん中の自販機でばったり出会って。

 同じタイミングで買いに来る人いるんだ、って笑ったよね」


 くだらない話でも三井くんとなら変に楽しくて、自然と笑顔になる。


 テーマパークでは「お揃いのカチューシャをつけると園内全店カップル割引キャンペーン中」って窓口で紹介された。

 だから今日の記念にマスコットキャラクターのカチューシャなんて買ってつけた。

 お互いの頭の上で変なマスコットが揺れてるだけでも面白くて、大笑いした。


「一崎さんは何系の動画が好き? 最近見つけたんだけど、面白い猫動画があって……」


 アトラクションに並んで待つ間も好きな動画を紹介したりすれば、待ち時間すら忘れてしまう。

 三井くんが見せてくれた猫動画がツボにハマって、周りに迷惑をかけないよう笑いを堪えるのが大変だった。

 三井くんも一緒に笑っちゃって収拾つかないから真面目な刀鍛冶動画に切り替えて、スンッて二人でなるのも面白かった。


「はー、テーマパークってこんなに楽しかったんだ。

 待ち時間すごいって聞いてたけど、アトラクションキャラのコント最高だったね。笑いすぎて普段使わない表情筋がいたーい」


 お昼ご飯で休憩してるけど、笑いっぱなしの頬が痛くて揉んじゃう。

 三井くんもジュースを飲みながら、自分の頬を摘んでいた。


「テーマパークなんて修学旅行以来なんだけど、一崎さんが一緒に笑ってくれるのもあってすっごく楽しい。

 中学からずっとバレー部だったんだけど、部活仲間としか遊びに行ったことなかったから新鮮で……さっきのジェットコースターのせいかな、まだドキドキしてるよ」


「私も誰かと遊びに行くのは社会人になってから初めて。

 三井くんモテそうなのに、彼女とかいなかったの?」


「部活に専念したかったから、お断りしてたんだ。

 自分から好きになった子にも『時間を割けるだけのメリットがない』って言われて、フラれちゃった」


 政府が少子化対策を大々的にするくらい、今は晩婚化と未婚化が進んでる。

 自分の時間を大事にしたいから、誰かと結婚しても子供まで望まない人も多い。


 私も三井くんと遊びに行く時間は捻出したけど、夜のゲーム時間まで取り上げられるのは嫌かもしれない。

 大型アプデに向けてますます盛り上がってるし、一日五時間のログインのために他の全てを終わらせるルーティンがあるから、崩されると辛くなりそう。


 デートも来週、って長めに時間をくれたから受けられたのかも。

 タツキにお断りしたみたいに、言われてすぐに予定を空けるのは難しい。


 ……そういえばタツキ、会社ではなんともなかったのに、土曜の夜ちょっと鼻声だったな。

 頭痛いって言って昨日は早くログアウトしてたけど、明日会社なのに大丈夫かな。


「一崎さんは部活何してた?」


「部活? ……えっと……内緒にしててね。合唱部だった」


「あれっ、飲み会の後のカラオケ、音痴だからって断ってたよね?!」


「合唱曲以外歌えないから音痴でいいの。

 三井くんは歌うまだって話題になってたけど、歌うの好き?」


「部活仲間と点数で競って罰ゲームするのが、一時期流行ったんだ。

 だから動画見ながら練習してたんだけど、上達すると嬉しくて……」


 聞けば聞くほど話題が噛み合って、盛り上がる。

 歌うまな三井くんの歌声も聴きたくて、知ってそうなデュエット曲を口ずさんだら乗ってくれた。

 ハモってくるから、思わず二人で笑ってしまった。


 三井くんとはその後も楽しく遊んで、夕方にはお別れすることになった。

 駅まで送ってもらって、別方面だからホームで一緒に電車を待つまでがお出かけ。

 隣に立つ三井くんが電車が近づいてきたのを見つけて、私も気づくと声を掛けられた。


「あの、一崎さん」


「うん」


「今日、やっぱり一緒にいられるの……楽しかった」


 照れた三井くんの顔で、私だって何を言われるのかくらい分かる。


「よかったら俺と、付き合ってもらえませんか」


 気の合う同期で、一緒にいても気兼ねしない。

 会社を辞めずにいられたのも、課長に叱られて嫌になるたびに優しく寄り添ってくれた三井くんのおかげ。


 私も今日、楽しかったから……三井くんに、真っ直ぐ向き合った。

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