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魔法使いの家出  作者: 羽良 凪都輝
第5章 王立魔術師学校マギア 後編
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「ほんのひと時の休み」


「うーん、なんて、言うか...研究発表会、面白くないかも...」

「そ、そうかしら?ほら、あそこなんて雷属性の新しい魔術を作っているじゃないか」


マリアの指を指した方向には、魔術の中でも珍しい雷属性の魔術の研究発表を行っていた。

ベルージュも、魔術の上達には最近停滞していたので、かなり興味を持っていた。


研究発表の内容には、昔ラファエルがアランに教えたこともあった。


(師匠ってやっぱすごいんだな...)


千年前の勇者が現代魔術の技術を上回っている。

それは、アランにとってとても興味深いことだった。


「へぇ、雷属性の古代魔法の研究ね...私としては協力しても良いくらい面白そうなんだけど...アランちゃんがいるからな...」

「僕は兵器じゃないよ」

「そうよ!アランは人間なんだから!ほらアラン、あっちも見ていよう!」


 * * *


「だいたい準備は終わったね。モルー公爵もこちらに傾いてきている。さてと、決戦まであと十数時間...さあ兄上、僕の手のひらで、ころころと転がってくださいね」


 * * *


「うーん、迷うねぇ...どれにしようかな...」

「これ全部で」

「え!?」


学園にある屋台の菓子を、レベッカはすべて買い取ってしまった。

アランたちは顔の周りまで菓子が積み上がっていた。


「ま、周りがみえない...」

「アラン一つお菓子頂戴」

「レベッカ、この状況で言うの?」


両手がふさがり、前もろくに見えない。

三人は、レベッカに召使の用に使われ、あまり見ない珍しい光景となっていた。

あまりの菓子の量に、道を歩いていると人目を引き、変装をしている意味がなくなっていたのは、レベッカ以外の誰もが思っていたことだ。


 * * *


「はいみんな、これ差し入れ」


アランたちが精一杯持ってきた菓子を、レベッカは教室で担当しているクラスメイトたちに配っていた。

といっても、それでも買ってきた菓子はまだ3分の1程度しか減っていない。

レベッカは貴族のお嬢様であり、次期商会長。

そんな人間が、菓子量を間違えるはずがないと、アランは考えた。


(だとすると...どこに配るんだろう?)


「んー、これ全部一人で食べるの?」

「うん、もちろん」


アランは予想外の答えに、唖然としていた。

今までアランは気にもとめていなかったが、実はレベッカに出る食事はアランたちの数倍の量である。

それは、三時のおやつも同じであった。


 * * *


「いやー、初日だけでこんなに稼げたなんて、上出来じゃない」

「ああ、そうだね。二日目は私達はいないから、頑張ってね」

「そうでしたね。レベッカ様も出るんでしたっけ」


学園祭二日目には、全校生徒お待ちかねの特別な行事がある。

中等部生徒会と高等部生徒会その2つの生徒会の、模擬戦である。

これは、いわばプライドとプライドのぶつかり合いである、が...


今年は一味違う。


今年はフェンデス・ハワード会長率いる中等部生徒会。

対するは、アーサー・ハワード会長率いる高等部生徒会。


これは非公式であるが、国内外の大貴族も無視できない王位継承争いである。


「そうね。だから、今日は学園祭を回って楽しまないとね。ほら、バカ王子も行くわよ」

「うざいよゴリラ。じゃあ、アラン君、行こうか」

「そ、そうですね...」


(な、なんで二人はいつもこうなんだろう...自制してほしいな...)


「レベッカは...うん、休憩してて...」

「ん?んん、んっんん!」

「何言ってんのかわかんないわよ...まあ、とりあえずアランちゃん、行きましょう」

「そ、そうですね...」


 * * *


「んー、おいしいね」

「ありがとうございます、殿下!お褒めにいただき光栄です!」

「アーサーさんの影響力ってすごいんですね...」

「まあ、私一応この国の王子だからね」


ラファエル王国、第一王子の名は伊達ではない。

歩くだけで注目を浴び、尊敬の眼差し、憧れの眼差し、妬みの眼差し...いろいろな注目を浴びている。


「これは、兄上。ここでお会いするとは奇遇ですね」

「そうだね、フェンデス、奇遇だね。どうやら君はご機嫌のようだね。何かあったのかい?」

「...いえ?別になんともありませんよ?」

「そうかい。それにしても...君も随分楽しんでるようだね」

「うっ...」


フェンデスは手下に菓子や、魔術書、いろいろなものを持たせていた。

フェンデスもフェンデスで、来年卒業する最上級生にも引けを取らないほど楽しんでいた。


 * * *


「なぜだろう...私は学園祭を楽しむはずだったのに...」

「あははは...」


(学園祭...そういえば、学園生徒以外も入れるんだった...)


アーサーは、国民の憧れ。

一目見れば幸運が訪れると噂されるほど、天上の人間。

そんな人間を一目見ようと、人混みができる。

そして、その人混みに惹かれる大勢の人。

そしてその大勢についていく人。

この無限ループが、このアーサーたちを囲む人混みを作り上げた。


「...これは国のためだ」

「...!」


アランは、一瞬の動きを見逃さなかった。


国民、全員がアーサーを好んでいるのではない。

中には、妬み、憎しみ、殺意を向ける人間だっている。


そう、この人混みの中にも...


「...それをどうするつもりですか?」

「!?」

「それをしまって、帰ってもらえますか?」

「...っ!」


中年の男は、その格好に似合わないほどの魔道具、杖を持っていた。

杖には魔石が埋め込まれてあった。

魔力が込められており、魔力の少ない者でも扱える代物である。

だが、おかしい。

なぜ杖が、この学園に持ち込まれたのか、どうしてアーサーを殺そうとするのか、だが、アランはまずこの男を無力化することを考えた。


アランは周りに気づかれないように杖を破壊し、魔術で電流を流して体を動かなくさせた。

そこへ、状況を察した警備員たちがすぐに集まり、人混みは解散させられた、が...


「へぇ、あなたが、私を」

「...」


中年の男性、名前はマルサス・クラード。

職業は不定であり、誰かに雇われたわけでもなかった。

だが、王族を殺そうとした以上、処刑は免れない。


「君は、なぜ私を殺そうとしたんだい?」

「...」

「まあ、良いや。君、処刑されたい?」

「...されたいやつがどこにいる」

「そうだよねー。じゃあ、私に協力してよ」

「...?」


 * * *


「準備は整った。さあ、楽しみだね?」


文字数少なくてすみません...

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