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第九十三話 秘石覚醒Ⅱ

九十三話更新


遂に覚醒した秘石。それはいったい何を意味するのか。


「これで全てが揃った。秘石よ、私の願いを叶えろ!!」


眩い輝きを放ち古代の遺物が内包した魔力を解放させる。

彼女の手から離れた秘石が残光を残す速さで古代城砕砲『ウルリクムミ』へと飛ぶ。

動力炉へ自らを接続させ起動させる。


砲台が再び動き出し、砲塔を持ち上げる。仰角を徐々に上げていき、真上を向いた。


「何をする気だ、シルヴィア!」

「……放て」


膨大な魔力を送り込みエネルギーを充填させる。収まり切れない魔力が砲身から溢れる程に注ぎ込んだ次の瞬間、轟音と共に頭上に向けて大出力の砲撃を放った。


大気を貫き、雲を引き裂き、成層圏を突破する砲撃はやがて宇宙へと突き抜けある地点で何かに激突するように波紋となって広がった。砲撃が止み、静まり返る世界。だが程なくして低い地鳴りが響く。音は徐々に大きくなり、同時に大きな地震が発生する。気を失ってた仲間達も激しい震動で意識が戻る。


「な、なにが起きて……!?」

「上だ。上を見ろ!」


一同が見上げる。そして視界に映ったそれに目を大きく見開いた。見えるのは青い空………ではなく、翡翠色の空。いや空が翡翠色に染まったのではない。翡翠色の星がパルティナのすぐ傍に隣接しているのだ。


「星が……!?」

「なんだあの星は!?」


空に映る巨大な星の姿に騒然とする。この惑星パルティナには今現れた翡翠色の惑星と同じ輝きを持つ衛星がある。それを遥かに凌駕する、パルティナとほぼ同程度の大きさを持った惑星だった。


「大気が渦巻いてる……? ううん、違う。あれは魔力だ!」

「バカな!? 惑星があんな近くに存在できるわけがない!」

「つーか、今まであんなの無かったのにどっから出てきやがった!?」


仲間たちが口々に目の前で起きている現実に理解が追いつけないでいる。


「惑星アールヴレイズル……。古代インペリア人が遺した人工惑星」

「人工惑星…!?」

「だとしても、あんな場所に惑星が隣接できるはずが……!?」

「それを可能にするのが秘石の力。あの惑星はずっと居たわ、あの場所にずっと……それこそ途方もない時間を、自らを造りだした人類が滅びた後もずっと、ずっとね」

「アイネ、それってホンマなんか?」

「いいえ。私も知りません。創世の書も、事実を確認できないみたいです」


インペリア人であるアイネ達に確認を取るが、誰もこの事を知らない。自分たちが何故あのようなものを造り、隠していたのか、何を目的としているのか全く知らないのだ。


「そして、あれが顕現した時――――人類は選定される」

「選定?」

「答えは得た。いま神体の意志の許、人類は淘汰される!」


古代砲から飛び出した秘石が惑星に向かって光の速さで消えていった。惑星が明滅し、世界中にその光を拡散させる。


「あの人の言っていた未来の結末を今ここに実現させてあげるわ!!」

「へぇ~。ここまで予定通りに事態が進むと予言者かなんかに見えて薄気味悪く感じるな、べっぴんさんよ」

「その声は……!?」

「よぉ、久しぶりだなカルロス」


この場に現れた新たな人物、それはギルド『ルドガルア』のギルド長ザックス・イエーガーだった。


「ザックス。貴様が何故ここに居る!?」

「質問するのはワシの方だ。オメェさん、姫様を何処にやった?」

「何の話だ?」

「とぼけんな!! ヨーデル・ラ・ピュセル・ユグドラ王の忘れ形見のミラ姫様何処にやったかって言ってんだよ!!」


温厚そうな人柄であるザックスが激しく激高する。そのあまりの怒り方にカルロスはたじろいだ。


「何を言ってる!? ミラ姫様ならいつもの場所に――!」

「居なかったから聞いてんだろうが!! 姫様の書状に応じるために行ったら部屋はもぬけの殻! オメェの部下共はブチのめされて地面にのびてたんだぞ!! どういうことか説明しろっ!!」

「なん…だと……!?」

「ふ、ふふっ…!」

「っ!! シルヴィア・ピステール、貴様まさか…!!」

「貴方の弟子たちは本来の役目どころか時間稼ぎすら満足に果たせなかったわよ。まるで無抵抗の人間を虐めているようで申し訳ない気持ちになったわ」

「そうか……。べっぴんさん、アンタの仕業か」


答えは返ってこない。代わりにザックスを見下ろす目が全てを肯定している。


「カルロス……オメェの失態だな」

「返す言葉もない…」


睨み付けてくるザックスにカルロスは苦虫を噛み潰したように己の失態を恥じていた。大きく溜息を吐いてからザックスは持っていた戦斧を肩に担ぐ。


「まあいい。失敗した奴をいつまで責めても何も始まんねえ。姫様取り戻すぞ」

「貴様の助けなど要らん。私の失態だ。自分の失敗は自分で取り返す」

「バカかオメェ。意地張ってる場合かよ? こういう時くらいは素直に肩を貸させろ」


まるで長年の相方の様な口ぶり。それにカルロスはしばし黙り込んでいたが――


「腕は落ちてないだろうな?」

「それはこっちのセリフだ。鈍ってたら後でブチのめす」

「それこそ私のセリフだ。逃げた奴に言われたくもない」

「勝手に言ってろ。……んじゃ、久々にコンビ復活ってことで行くか?」

「ああ。ミラ姫様を取り返す」

「ふふっ、良いわ。『共和国の双璧』とも言われた二人が相手なら私も全力を出せるというもの。これからの余興として相手になってあげるわ」


二人から発せられる闘気に触発されてシルヴィアも戦闘態勢に入る。魔女の紋章が現れ、無数のスフィアが周囲に展開される。


「あんまり年寄りを甘く見るもんじゃねえぜ、べっぴんさんよ」

「行くぞザックス」

「おうよ!!」



覚醒した秘石によって顕現した巨星。奪われた姫を取り戻すために二人の老兵が立ち向かう。


次回もよろしくお願いします。

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