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伝説に残らなかった大賢者【書籍2巻&コミックス1巻、発売中!】  作者: しゅーまつ


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詫び

 マーギンはソフトプロテクションを出して、落下の衝撃を緩和しようと試みた。しかし、なぜかソフトプロテクションが発動しない。


 バキバキバキっ。


 木々の枝をなぎ倒して落ちていく。マーギンは身体強化をする。  


「今だっ!」


 抱きついているローズを上に放り投げ、自分は背中から落ちた。


 ドゴンっ。


「ぐふっ」


 地面に叩きつけられた身体がバウンドし、そのまま倒れた。身体強化をしていても、体内に衝撃が来る。しかし、このまま倒れている暇はない。


 放り投げたローズが落ちてくるのを受け止め、そのまま仰向けに倒れたマーギン。


 ローズは不思議な感覚が止まったことで目を開けた。


「マーギン……?」


 横たわるマーギンの上に自分が覆いかぶさっている。


「ここは地面か?」  


 と、状況が飲み込めないまま、マーギンに話かけるが返事がない。


「どうした? 寝て……」


 マーギンを揺さぶろうとしたときに、ガサガサと音がして、ヨダレを垂らしたラプトゥルが何匹も出て来た。


「マーギン、起きろっ! 魔物に囲まれているぞ」


 しかし、マーギンの反応がない。


「まさか……私を庇って地面に叩きつけられたのか?」


 ようやく状況を飲み込んだローズ。マーギンは寝ているのではない、気絶しているのだ。マーギン1人なら、あの高さから落ちても何ともなかっただろう。


「私がマーギンの足を引っ張ったのだな……」


 自分が浮かれて、マーギンの足を引っ張っただけでなく、危険にまで晒してしまっている。


「すまない、マーギンは私が必ず守る」


 ローズはそう呟いて剣を抜いた。魔力が完全に回復したわけではないが、もう立って戦える状態にはなっている。


「お前ら、ここから生きて帰れると思うなよ」


 ローズは飛びかかってこようとしたラプトゥルの喉元を斬り、そのまま回転して後ろから飛びかかってきたラプトゥルも斬る。その隙にマーギンを襲おとしたラプトゥルの目を突き刺し、守る。


「ふーっ、ふーっ、ふーっ」


 獣のように殺気を出し、ラプトゥルを威嚇するローズ。残りのラプトゥルが一斉に飛びかかろうとしていたが、その殺気にたじろいだ。


「どうした? かかってこい。皆殺しにしてやる」


 ローズは冷気を剣に纏わせ、大量の氷の結晶が衛星のように剣の周りをぐるぐると回る。


 キシャーーッ。


 ラプトゥルも大きな口を開けて威嚇をした。


「死ねいっ!」


 ズドドドドドっ。


 口を開けたラプトゥル目掛けて剣を振り下ろすと、氷の結晶がマシンガンの弾のようにラプトゥルを襲い、前方にいたラプトゥルを殲滅した。


 ドサッ。


 回復したばかりの魔力を使い果たし、立てなくなったローズ。


「はぁっ、はぁっ、はぁっ。マーギン、なんとか守りきれたぞ」


 ローズは、まだ気絶しているマーギンの顔を撫でて微笑んだ。


 ズン、ズン、ズンっ。


 微笑みながらも、申し訳なさそうな顔でマーギンを撫でるローズの身体に嫌な振動が伝わってきた。そして、一瞬にして身体が硬直するような感覚に襲われる。


「そ、そんな……」


 ンギャァァァっ。


 ベキベキッ、バキバキっと、邪魔な木々を鋭い爪を持った手でなぎ倒しながら現れたのは大型ラプトゥル。


 ローズはもう今の自分では守りきれないと悟る。


「マーギンっ、起きろマーギンっ!!」


 ローズがマーギンの身体を揺さぶる。


「ゴフッ」


 意識が戻らないまま、血を吐いたマーギン。それを見たローズは、自分が食われて死ぬよりも、マーギンをこんなに目に遭わせてしまった自分が情けなくて涙が出てくる。


「すまないっ、すまないっ」


 ローズはマーギンから手を離し、魔力切れで立てない足を叩き、ガクガクとしながら立ち上がった。


「私だけで満足しろ」


 そう言ってラプトゥルの前に自ら歩み寄った。


 ふしゅーっ。


 ラプトゥルは首をかしげてローズの臭いを嗅いだ。そして、ガバっと大きな口を開けた。


 ローズは振り返り、


「来世でも会えたら嬉しいな」


 大きな口を開けたラプトゥルを背景に、ローズはマーギンに微笑んだ。


『起きぬかっ!』


 マーギンの頭の中に声が聞こえ意識が戻った。目を開けると、ローズがラプトゥルの口に吸い込まれそうになっている。


 《パーフォレイトッ!》


 バシューッ。


 大きく口を開けたラプトゥルの鼻先から、脳天を貫いた魔力ビーム、《パーフォレイト》が、大型ラプトゥルの頭を消し去った。


「えっ?」


 ローズはマーギンが手を伸ばして魔法を撃ったのは理解した。


 そして、ラプトゥルの方を見る。


 ずっ、ずーん。


 頭を失ったラプトゥルは糸の切れたマリオネットのように、横に倒れたのであった。


「た、助かったのか……」


 ローズはマーギンの方に振り返り、そう聞く。


「悪い、ちょっと気を失っ……」


 と、マーギンは言葉を言い切らずに、ローズから目を逸らした。


「ど、どうした? まだ痛むのか?」


 マーギンに、駆け寄るローズ。


「いや、その……ごめん。そんなつもりじゃなかったんだよ」


「何がだ? 悪いのは私だ。私こそすまない」


 助かったことで力が抜けたのと、魔力が切れてローズはよろめき、そのままマーギンの上に倒れた。


「あの……ローズ、その……」


「すまん、私も力が入らんのだ。少しこのままでもいいか?」


 マーギンも目を覚ましたとはいえ、ダメージからまだ回復しきれておらず、動けない。


 ローズはマーギンの上に倒れたまま、マーギンの顔を自分の方に向けて、抱きしめようとしたとき……


「えっ?」


 自分の胸があらわになっていることに気が付いた。


「きゃーっ!」


 高出力で撃ったマーギンのパーフォレイトは、ローズの服にもダメージを与えたようだった。


 ローズは慌てて胸を手で隠そうとしたが、力が入らず、マーギンの顔の上に胸から倒れ込んだのだった。


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― 新着の感想 ―
詰めが甘いのがマーギンらしい
せっかくあの人に起こしてもらって感動する展開なのに、台無し! でも、そこがイイ
ピンチとラッキースケベの寒暖差で風邪ひくで これが吊り橋効果ですか
感想一覧
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