第6.5話:閑話 求めていた答え
この世界には、至るところに旧時代の遺物が残っている。
ほとんどの遺物は朽ち果て、建物でも跡地を残す程度だが、依然としてその存在を主張している遺物も存在する。
「ここにもあったのか」
黒いケープを羽織った男は、木々に囲まれた遺物を見上げる。
旧時代から存在することを示すかのように、遺物には苔が生え、蔓が絡みついていた。
だがそれ以上に目を引くのが、遺物に寄り添うかのように存在感を示している巨木だ。遺物とは異なり、その巨木は鮮やかな緑の葉を、枝に茂らせていた。
しかし木へと視線が動いた男の目は、まるで木を射抜かんばかりに、にらみつけていた。
木の根本まで歩くと、男はしゃがみ込み、地面を触る。立派そびえ立つ木とは対象的に、土は乾いていた。思えば、木の周りに草は生えていない。
「ん…?」
乾いた地面を触っていると、わずかにへこみを感じる。何かわからずしばらく触っていたが、それが足跡だと気づく。大きさからしておそらくベアだろう。
ふと脳裏に、ある村での出来事が思い浮かぶ。
通常では考えられない巨大ベアが現れたこと。
森の外からベアがやって来たこと。
その村からそう遠くない場所に、ここが位置すること。
男の中で何かが繋がり、1つの解が生まれる。
「そういうことだったのか…!」
証拠は何ひとつない。だが理性とは関係なく、感情は確信と心の中で叫んでいる。
「これであいつの居場所はわかった」
男はゆっくりと、その場で立ち上がる。
「待っていろ。ノルン・カデンツァ…!」
その名を呟くと同時に、男は手を傷つけんばかりに、拳を握りしめていた。




