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祭りの話 担ぐ神輿は決まったか。

話は平行線で終わった。「マジ、何あれ。信じられないんだけど。」朋ちゃんはずっとプリプリ怒っている。玄関出入口まで廊下を進む中、途切れない。「ほら、気持ち切り替えて。部活だろ?マネージャーがしっかりマネジメントしなきゃ選手が安心できないよ?」「…。うん、頑張ってくる。」朋ちゃんと別れて駐輪場へ。周りの生徒達もなんだか浮き足だっている。受験の三年生ですら、最後の締めくくりと云わんばかりに気合いが入るのだから。まだ一月(ひとつき)は、もう一月(ひとつき)なのだ。自転車に跨がり、今日も「ぷいぷい」へ向かう。途中、スーパーに自転車を止め寄り道をする。幽霊が「今日、化粧落とし、売り出しやで。」と、ナイスな情報を伝えてきたのだ。「いつも使ってるやつやろ?」「合ってる。いつもより70円も安い。でかした!」なかなか、仕事が出来るようになってきたではないか。なんてホクホクした気分でスーパーから出た所で「ちょっといい?」声をかけられた。見ると、いつぞやの長身の上級生男子生徒。「いや、良くないです。」「えっ?!」まさか、断られると思ってなかったのか。「急ぐんで。ちょっとの時間も良くないです。」言いながら自転車を引っ張り出し漕ぎ出そうとした時に、「ご、ごめん。頼むから話聞いてっ!」と自転車の荷台を引っ張って止めやがった。「…。なんすか。」「そこの、広場で。す、すぐ終わるから。」スーパー横の街路樹とベンチが置かれた一角を指差しながら、しかし、荷台は離さない。仕方なく、自転車から降りる。「手短にお願いします。」


「あの、手紙は見たんだよね?」男子生徒は二年の広川と名乗った。「はぁ、でも内容に心当たりが無かったので。宛名が書いてあったなら、知らん顔して相手に渡すなりしたんでしょうが、出した人も解らない手紙は、イタズラの類いかと。」「…。まぁそうなるよね。」う~ん、と腕を組んで悩む広川少年。「あの、用件は以上で?」「あ、待って待って。えっと、じゃあ、君には兄は居ないんだね?」「はい。」「じゃあ、同じ自転車に乗ってる男性は?知り合い?」なるほど、いつぞやの大学生と同じパターンで、自転車に付いている校章等で特定していた。しかし、こればかりは外す訳にいかず。「まぁ、知り合いではあります。」自分自身だけど。「じゃあ、ちょっと紹介とか、口利きとかしてくれないかな?」広川少年は身を乗り出して頼んでくる。ひょろりと高い身長で身を乗り出されると、見下ろされてちょっと怖い。「…。離れて下さい。」「あ、ごめん。」一定の距離を保ちながら、「理由を聞いてもいいですか。」「えーと、何て言ったらいいかな。」広川少年はたどたどしく説明しだした。


「あら~。そんなところからも手を回してきてたのね。」じんさんがリップを塗りながら、感想を述べる。「なんだか、労力を無駄遣いしてるわよねぇ。」たくやさんは、すでに準備万端でテーブル席で新聞を読んでいる。「今日、ドラマの日だっけ?」「ナイターで時間ずれるかも。」二人が何故、早くから準備をしているのか。昨日、同じ商店街の八百屋のご主人がみっちゃん経由で頼んできた。「野菜を消費してくれ。」奥さんの里で不幸事があり、すぐさま行かねばならない。しかし、距離があるためその間に野菜がダメになってしまう。こういった時の頼みのみっちゃん。代金は行き帰りの交通費に気持ちの上乗せで、店の野菜、ほぼほぼもらって来た。もちろん、「ぷいぷい」だけで消費しきれないので周りの飲食店と協力しての話だが。で、二人は今日、早くから来て野菜を切ったり、干したり、煮たり、冷凍したりと働いていたのだ。ちなみに、みっちゃんはアパートで高いびきだ。「けれど、広川少年はなんでお姉さんを止めないのかしらね。」今度はアイラインを引きながら、じんさんは話を続ける。「思うところがあるんじゃない?」たくやさんは、大きな鍋の蓋を開ける。蓮根と牛肉のしぐれ煮の甘辛い匂いが立ち込める。火を止め、もう1つの鍋に、生姜を摺り入れる。大根と人参、白ネギに薄あげの味噌汁だ。「ほら、手、止まってるわよ。」たくやさんに注意され、慌ててコップを磨く。美味しい匂いにやられてた。「もしかしたら、『ぷいぷい(こっち)』にも来るかもね。」化粧を終えたじんさんが、着替えに二階へ上がりかけた時だ。店のドアがノックされる。「はぁーい。」たくやさんが応答して、ドアを開けると「あら。」「やだ、当たっちゃった。」「フラグっすよ。」

リクルート姿のやつれた女性が立っていた。

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