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大掃除は段取りと要領。 初デート

「あたし、協力したげる。」じんさんが、妖しくほくそ笑む。「とびっきり、可愛くしてあげる。」「はぁ。」「なによっ。スカしっぺみたいな返事して!」とりあえず、朝イチ、ここに来なさい!と、“ぷいぷい”の床を指す。

明日、正人さんと、一回目のデートだ。そして、何故そうなったかをザックリと説明して、この運びとなった。「けど、ドラアグクイーンは止めて下さいっす。」テーブルを拭きながら訴える。「しないわよ、そんな事。」「あたしもデートがしたい…。」たくやさんは、皿を拭きながらため息だ。なんだか、先日の出来事を相談できないぞ?


コンクリートのでっかい欠片が降ってきた。しかも、夜道で。丁度、農道と住宅街の間。周りの明かりや人目が途切れるタイミングだった。だからこそ、解らない。近くに高い場所はない。こんな重くて大きなものを、どうやって落としたのか。

とりあえず、それを避けて帰宅し、ゆり子さん経由で“きよっさん”に連絡してくれた。さすがに、人力では持ち上げて移動が出来ない為、暗がりで人がぶつからないように何かしらしてくれるそうだ。

「お前、また何かの怨みにひっかかったんちゃうか?」「いやぁ、心あたりがねぇよ。」ベッドに入り、天井を見上げているのだが、その間に幽霊が入り、こちらを見下ろしている。「けど、確かに無理だよなぁ。」どこかから、重機で運んで来たのだろうか?トラックから落ちた?飛んできた?ぐるぐると考えていたが、寝てしまった。


「おはようございます。」「待ってたわよー♪」朝の“ぷいぷい”に来るのは初めてだ。酒瓶や、グラス、使用した皿などは流し台に運ばれていたが、店の中には、タバコと酒の臭いが色濃く残る。「朝ごはんは?」「食べずに来たっすよぅ。時間、間に合わないっすもん。」早朝コンビニバイトが7時に終わり、直行で“呑んたろ横丁”に向かってきた。「ほら。」じんさんは、モチを焼いてくれていた。「海苔は駄目よ。歯につくから。お醤油と砂糖。」それと、湯飲みに温かいほうじ茶。

モッチモッチと咀嚼する間、じんさんは洋服を自分の前に持ってきた。「こっちはふんわりあざとい女子、こっちはさっぱりシゴデキ女子。」じんさんは、コーディネートされたそれぞれの服を広げる。「あっさりボーイッシュ、個性派パンクルック、スィートロリータ…。」「ちょちょ、ちょっと待って!じんさん!」危うくモチを詰まらすところだ。「なによ。」「多いっすよ。普通でいいっす、普通で。」「何言ってんのよ!」じんさん、信じられないといった顔で叫ぶ。「デートに普通なんてあってたまるもんですかっ!自身の個性、好みを生かしつつ、いかに相手の好みをつくか。相手の服装との親和性、場所、時間。全てにおいて策略を練る!それがデートなのよっ!」じんさんの背中に雷が見えた。



「正人さん。お待たせしたっす。」「あ、(こう)君。わぁ、まるで女の子みたいだっ。」いや、女なのだが。

待ち合わせ場所は駅前のロータリー。正人さんは、ショート丈のライダースにくすみがかったブルーのチェック柄のマフラー。カーキ色のストレートズボンは、長い脚をより長く見せている。「今日は、昨日より寒くなるって。ごめんね、こんな日に。」「いや、大丈夫っす…ですよ。」口調が定まらない。「とりあえず、乗って。」ヘルメットを渡される。「あ、乗った事ないか。」「大丈夫っす。」正人さんが体を支えてくれ、バイクの後ろに腰を下ろす。「けど、びっくりだよ。本当に女の子に見える。あ、男の子に、そんな事言ったら失礼だよね。ごめん。」なんだか正人さん、いつもより饒舌だ。「はぁ、気にしないっすよ。…と、ところでどうっすか?気分は。悪くないっすか?」「うん、変わらないかな。」正人さんは、嬉しそうに話す。待ってる間、近くを女性が歩いても以前ほど気分が悪くならなかったらしい。「さぁ、出発。」バイクのハンドルをひねり、走り出す。

「バイクに乗るなら、パンツルックの方がいいわね。今日は冷えるから、防寒対策もしなきゃ。」「以前、みっちゃんがボディコン、ピンヒールで乗ってたけど。」「あれは例外中の例外よっ!」じんさんは、デートの予定を聞きつつ服装を決めてくれ、ウィッグに化粧まで仕上げてくれた。「ブーツを履いても、彼より大きくならないって、羨ましいわ。」じんさんは、しんみりと呟いていた。


(こう)君が来る前は、冷や汗と吐き気との戦いだったんだ。」大学でも、友人に頼んで女性を遠ざけていたし、バイト先も若い女性のいない職種を探すのに苦労したのだと。「何が辛いってバスや電車移動だよ。逃げ場がないでしょ?」歩いてすれ違う位だと、症状が出ない間に離れられるのだが、バスや電車で近くに座られたら終わりだったらしい。「バイト代でバイク買って、1人で走った時は爽快だったよ。」街から少し離れた道の駅。地場産品や、土産物が売られている。そこに併設されたカフェスペース。やはり、冬休みの中、買い物客は多いが正人さんが一番苦手とする、バッチリメイクのギャルも、年頃の少女もパッと見、見当たらない。「後ろに乗っていて、不快な気分や蕁麻疹は出なかったんですか?」口調に気をつけながら聞いてみる。「うん、今んとこ変わらなさそう。ほら。」差し出された手は、がっしりと骨張っていて、厚みがなく、毛もない。「…正人さん、エステ行ってます?」「えっ!?あ、ちょっと、(こう)君!しーっ!」正人さんが真っ赤になりながら焦っている。別に恥ずかしい事かな?

勝手で申し訳ないのですが、読んで下すっている皆さま。先日、何故かその日だけ異様に読まれるという怪現象に、自分、右往左往しました。そして、評価されず。な、なにがあったのか。いや、ウフフアハハな内容でもないし、胸ドキドキの、ハラハラの、ワクワクの内容でもない。なんでや?なにか、理由があればお教え願いたいのです。お手数おかけしますが、気が向きましたら、よろしくお願いいたします。

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