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流離う世界に私は  作者: 眠井ネタイ
第二章『スティグマ』篇
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27.現状説明

ここで用語説明回を挟んで次話で世界を渡る。はずです。

ですがこのたらたらとやっている中でかなりの伏線を仕込んでいるつもりです。全面戦争(八章)が勃発する前に今後のヒントを元に【封護者】を見つけてみて下さい。


今度はいつもの丘の頂上ではなく丘の中腹に設置してある地下工房アトリエに入ろうと二人に促した。なお、幻覚魔法や隠し扉により門に行くための通路は厳密に隠されている。どのくらいかと云えば一度そこを通っているはずの乃亜と奏波ですら辿り着けない程である。

それはさておき、


「なぁ、一つ聞いときたいんだけどお前達が宮殿から追い出されたら何処住みたいとかあるか?」

「え、私たち追い出されるの?」

「実際のところ緊急で部屋を取れる場所がそこしかなかった訳だからな。宮殿って一応他国のお貴族さん達を迎え入れる場所だし」

「それはそうでしょうね」


奏波はいつかそう言われるだろうと予測していたらしい。そもそも


「流石にラグナたちみたいな屋敷を建てるわけにはいかないけど一軒家くらいならほいと建てれるから、欲掻いていいぞ」

「王様マネー恐るべし」


ラグナ含む師団長組や、その他デルード含む功労者や実績組にはあえて手厚く待遇している。この中に割と人間ヒューマンが多いのもあって国に認められるかどうかで種族を判断基準に入れていないという表明にもなる。

だからこそ、ぽっと出の二人にここまでは出来ないが衣食住に困らせる気は無いため歓待と思って欲しい。

それと俺の貯金イコール俺とアルが管理している国庫である。


「一つ候補としてこの地下工房アトリエを使うってものあるけど。ここなら基本的には俺とクリフしか出入りしないし」


実際のところたまにアルが出没することやラグナやデルードあたりが興味津々でやってくることもあるがそれを踏まえても静かな方ではあるだろう。


「物件のいいところだけ紹介するのって逆に疑心暗鬼になりますよね」

「流石に自分で家持ってた奏波は鋭いな。デメリットはたまにやらかして大爆発起こすこと。この前もクリフが俺の部屋に大穴開けたしな」

「爆発する家に住みたいと思う人はいない」

「事故起こすのは基本的にクリフだけだから安心しろ」

「基本的にということはお師匠様もやるんですね」

「前に一度だけだぞ。こたつ作ろうとして部屋が炎上した程度だ」

「ここの住人ってみんな災害起こすじゃん」


実際乃亜の言う通り存在が災害クラスの人物というのはこの世界には多々いる。ただしその基準が高いのはそれだけ上には上がいるということだ。


「その辺はおいおい考えるとして、こっちこっち俺用のアトリエ」


二人を俺専用のアトリエ部屋に案内する。内装は俺としてはかなり綺麗だと思っており工具や魔道具なんかもちゃんと整理している。なんとかなくこういう場所は綺麗にしているほうが格好がつく気がする。


「デルードさんが使ってた場所よりも現代風って感じですね」

「だね。なんかたまにニュースとかで見る大学とかの工作室みたいな感じがする」


恐らく高評価ということで良いだろう。

この話は早々に切り上げて部屋の端の方から魔道具を取り出して起動させる。すると空中にホログラムのような物質的な形をもたないボードが出現する。

仕組みとしては内部に極上の魔法陣が刻まれた水流魔法を駆使して光の屈折率を駆使しており、これならば水流魔法を苦手とする俺でも出力関係なしに演算能力だけで解決する。

演算能力をフル活用しながら手元で魔道具を操作して、試しに様々な動物を精密に投影してみせた。


「魔法って要所要所で現代技術超えてません?」

「それは無いと思うけどな。これって使用者の演算能力に全てがかかってる訳だからな」


事実ノスタジルでは俺とアルしか使えないような想定になっている。クリフにやらせてみればかなりイイ線行っていたが、惜しくも失敗した。もしかしたら練習したらできるかもしれない。

ともかくこれを使って説明を始める。


「先ずはアルの言ってた話の補足と具体的な説明からだな。俺自身そこまで詳しくはないけど機密情報くらいは知ってたりするから半分信用してくれていい」


半分というのは虚偽の内容も教えられている気がするからだ。確実にアルは全部を話してくれる奴じゃない。隠してた方が都合が良いのか単なる嫌がらせかまでは知る由も無いが。

この世界の機密情報に関しては俺もこの目で確認して事実だが、これは伏せておくべきだろう。

というわけでここに講座を開こう。

ホログラム的なボードを動かしながら、表のように結び付けていき分かりやすくなるように工夫していく。


「《神の命縛(グランドオーダー)》と総称される八人の人物達が大昔から居たんだが、何故か突如として三人と四人に別れて互いに戦争を仕掛けるようになったらしい。これが終末戦争と呼ばれて今から八千年前から五千年前まで続いた」

「現実的に三千年も戦争って出来るの?絶対に人が居なくなるものと思うんだけど」

「大昔はこの世界も人口が多かったんだよ。だからこの世界で言うところの未探索区域ってところに旧文明の跡地があるらしい。今となっては地形変動で跡形も無くなった場所もあるみたいだが、百億近い人口だったらしくて、そしてそれが七世界分とすると単純計算で七百億。更に加えて魔法が主流だったから超大部隊というのは個々からしてみればかえって邪魔でしかないしな。その他諸々もあるが原因の殆どがこんな感じだ」

「逆に今の人口ってどのくらいなんです?」

「人類圏だけなら二億に届くかどうかくらいで、魔族はそれよりも大きく数が少ないからざっと二億一千万とかじゃないか?」

「九割以上も減る前に投降しなかったの?いや、というかそもそもこれってどっちが勝ってるの?」

「そこは俺も知らん。そんだけ大事な物でもあったんじゃないのか?」


実際のところ終末戦争が起こった原因は俺も知らない。終戦の仕方は今は関係無いのでここを解説するのは時間の無駄だろう。とにかくどちらが勝ったかだな。


「当時は三人の方を【クアッドシフト】、四人の方を【エイジス】と呼称していたらしい。これも前々から在った呼び名ではあったんだが、八人で《神の命縛(グランドオーダー)》という印象が強かったからこの時を皮切りにようやく広く使われるようになったらしい。実情のところ内二人はこの戦争に直接関与しなかったらしいけどな。これを踏まえて勝ったのは【クアッドシフト】の方だな。それでもこのどちらの陣営の人物達も結局のところ資料で見ただけだから人柄とか容姿は全く分からないし、能力の詳細も一人を除き片っ端らから秘匿、隠蔽されてるから完全に詳細不明。分かるのは役職と実績、それと一線を画していた圧倒的な実力のみ」

「実力があったというなら能力の詳細が分からないというのはおかしくないですか?」

「さっきから一々はぶられているこの一人がキッカケでな。アルの言っていた【無貌者】が謎の急死を遂げたのを皮切りに全員が権能の詳細を伏せるようになった」


【無貌者】の死因を知る事は出来なかったがある大国と共に灰となって消えたらしい。

考察されていた権能は『災厄と混沌』。絶対的な破壊魔として君臨していたようだが突如として存在が確認出来なくなったことから『無貌』という名は適しているかもしれない。


「他七人を教えておく。【クアッドシフト】は今言った【無貌者】に加えて【統監者】【先駆者】【観命者】の四人。

【統監者】と【先駆者】は今もこの世界でそれぞれ魔族圏と人類圏をそれぞれまとめ上げている。片や『魔法の始祖』、片や『七世界最強の剣士』の化け物だ。それも【統監者】のほうは歴史記録上は負け無しとなっている」


『決着付かず』という記録もあったが、もはやこれすら虚偽ではないかと疑うべきだろう。俺はどちらも顔を合わせたことがあるが敵に回したらと思うとゾッとする間も無く死ぬ。


「【観命者】は五千年前で終結した終末戦争後に新しく後任者が就いているらしい。前任に関しては現在消息不明どころか、そもそもそれ以前で存在を確認出来た者自体居ないという始末らしいが、生きてるとしたら他界の何処かに居ると思う。じゃないと席を降りる理由が無いしな」


だが実際のところはそこまで大袈裟では無いだろう。活動記録を隠蔽しているというだけで【統監者】と【先駆者】は会っている、と本人が言っていた気がする。いまいち顔が思い出せないのが謎だが。


「【統監者】は『魔法の始祖』という異名の通り魔法という概念を創り出したが、それと同時に『無欠』とも呼ばれる魔王でもある。【先駆者】も似たように『七世界最強の剣士』でもあり『零落』と呼ばれる勇者でもある。間違っても喧嘩売るなよ?そんなことになったら流石に見捨てるぞ」

「言われなくたってこの世界の人みんな強いからそんなこと出来ないよ」


この【統監者】と【先駆者】は裏では仲が良かったりするからどちらかが仲裁してくれそうではあるけど。というか魔王とか勇者、『無欠』と『零落』なんて異名はそれを見た人が客観的に付けたものであって実際は本気で敵対しているわけではないのだが、こういった機密情報こそ二人には伏せておかないといけない。


「補足するが《神の命縛(グランドオーダー)》の【◯◯者】というのは個々の役職名のようなものだ。【統監者】というのは現在では実行が不可能だが全ての世界を裏から監視し恒常性を保たせることが役割。【先駆者】は人間社会を牽引して滅亡を防ぐことを主にする。どうしても人間(ヒューマン)が生来の力において一、二を争うレベルで弱くなるから絶滅しないための人柱みたいな役割」


だから【統監者】は魔族を一切統率させないどころか僅かに手を加えて内紛を起こさせることで人類圏と拮抗した戦力に緩和させているし、【先駆者】は逆に魔族を滅ぼすための人材育成に努めている。


「現【観命者】に関しては存在自体が幻じゃないかと言われるくらいだから表舞台には顔を出さないが存在はしている。【観命者】は役割上、常に世界を俯瞰して見るだけらしい」

「それいる意味なくないですか?」

「どうなんだろうな。俺も実際に何してるのかは分からないんだけど。というかさらりと機密情報を話してるけど、世間的には【観命者】が入れ替わった記録なんて無いから絶対誰にも漏らすなよ」

「そこ割と大事だったんだ」


当然だ。共に界渡りをしてもらう二人だからこそ危険性を顧みてこうして明かしているのだ。


「次に【エイジス】だな。こっちは【封護者】とこちらも現在他世界にいると思われる消息不明の【識界者】【秤定者】【煌聖者】の四人。

【封護者】は今もこの世界に隠れ潜んでいるらしいが終末戦争から今に至るまで発見出来ず。一応場所が割れた瞬間に【統監者】と【先駆者】が殲滅する手筈ということもあって、それくらいは予想されていると思うから手を出されることは無いと思う。役割は封天核(シフラス)によって封印されている何・か・の監視だ。この役割を与えられているということもあって、門を使わなくても界渡りが可能らしい」

「そんなことが出来るなら潜伏なんかしなくても逃げてしまえば良いのでは?」

「それを阻止するために【統監者】と【先駆者】の計らいで封天核(シフラス)によって作られている界断結界(セヴァランス)に被せるかたちで結界を張ることで逃走を防いできたらしい」

「……これってさ、もしかすると戦争って完全に終わった訳じゃ無いの?」

「そのもしかするとなんだよな。間違い無く【エイジス】を殲滅しない限り本当に終戦することは無い。なお【エイジス】の死亡はここまで誰一人として確認されていない」


確認が出来ないというだけで実情を知り得ているわけでは無いため、希望的観測ではあるが多少は欠けている可能性も否定出来ない。しかしアルも言っていた通り全員が一筋縄ではいかない実力者であるのは間違い無いし、それこそ万が一【統監者】や【先駆者】クラスと対面してしまえば勝ち目が無い。

結構マジであいつらに勝てる奴っているのかな?


「【識界者】はかなり派手に表舞台に顔を出していたな。あ、ちなみに俺は立場的に【クアッドシフト】側で、敵対してた【エイジス】率いる軍を神命遡行奔軍(アナストロフィ)と後付けで呼ばれていたんだけど、この軍を指揮していた総大将だったらしい」

「今までで一番大物感ありますね」


確かに百億越えの軍の総大将となればとんでもない仰々しさがある。それに後ろで鎮座しているだけのタイプでは無く、必要と有れば自ら前に出てくることもあったらしい。加えてこの人物は頭がキれたとのこと。当時の人も絶対に"厄介"という評価をしていたと予想出来る。


「それと、【統監者】が創り出した魔法を元に二人が協力して魔法陣とか祭壇儀式やなんやらを編み出したという実績もあります。これによって魔法のハードルが格段に落ちて世の中が利便性が良くなるなんちゃら革命が起こり、現在で広く浸透している魔法体系の基盤に繋がっています」

「その伊達眼鏡は何?」

「歴史の先生は大抵眼鏡を掛けているという俺の偏見」


アトリエに置いてあった伊達眼鏡をてきとうに投げ捨てて本題に戻る。おそらく少しふざけているくらいが楽で良いだろう。初めから最後まで真面目な話というのはためになっても面白くは無い。


「次に【秤定者】。役割は物事の善し悪しを判定して、必要があれば執行すること。陰の立役者みたいな役回りだが実際のところは滅茶苦茶表舞台に出て来ている。実績はなーんも伝わっていない。以上」

「一人だけ雑過ぎません?」


そうは言われても本当に何も記述されていないのだから困る。強いて言うなら、昔に一度撃退に成功して敗走に追い込んだという書物もあれば、【クアッドシフト】率いる軍を瞬く間に一掃してのけたとかの相反する記述があるせいで真偽が判定出来ないのだ。


「次でラストだな。実のところ【煌聖者】は終末戦争でもそれ以前にも【クアッドシフト】と【エイジス】のどちらかに肩入れしたことは無かったらしい。戦争最中でも直ぐに終戦を提唱していたみたいだな」

「最後の最後で一番まともそうな人が来たね」

「あ、悪いさっきの嘘だった。この人だけ名前が知れていたな。『ルミエル』って名前の人なんだけどこの人歴史上で登場回数がダントツで多い。『天籟(てんらい)』に『聖女』、『女神』に『歌姫』なんて異名を他に挙げていったらキリが無いんだけど、【煌聖者】の役割が人々の安寧への導き手となることらしい。だけど完全に手を貸していたわけじゃなくて、ある程度手伝えば離れていって自立を促そうともしていたらしい。もしかしたら奏波が興味あるかもしれないけど、この世界の音楽の基盤のほぼ全てがこの『ルミエル』が創り出したものだな」

「こっちの世界にも音楽があるんですね」

「まぁ流石にそのくらいはな。魔族圏ではからきしだけど人類圏では貴族の嗜みくらいにはなってる。興味があるなら取り寄せるように手回ししておいてやろうか?」

「有難いのは否定出来ませんけど、そんなことを頼んでいいんですか?お師匠様って立場上は人類圏からも良く見られていないようですし」

「心配すんな。このくらいはお茶の子さいさいってやつだ」


というか確かに俺は中立の立場であるから、活動圏を広げたい人類からも魔族からも良く思われていないが俺の登場によって死者数が激減しているのは明らかなので、最近聞いたが本気で嫌われるほうがむしろ少数派らしい。

それに使えるものを使わずして何が楽しいのだろうか。


「取り敢えずは可能な限りの洒落を取り寄せることは決定として、話を次に進める。

まぁもう歴史みたいな話では無いけど、一応強さによって五段階の等級がある」

「このくらいの敵には気を付けて、ていう話?」

「そ。じゃあ下から順に。

素位(ロウ)。一般人や並のゴブリンクラスで弱い。

至達(アデプト)。一兵卒だけでは対処困難。倒すなら多少大掛かりな魔道具が欲しい。今の奏波が大体このくらい。

超越(エクシード)。有象無象では対処不可。討伐するなら国が動く必要がある。俺がこの上位くらい。

天越(アウトライアー)。世界が協定してギリギリ対処可能で最悪は一世界が滅ぶ。アル、クリフ、ラグナがこの辺りだと思う。

神格(ディヴィヌス)。単独で七世界の総戦力を相手に勝利が可能。現在に至るまで《神の命縛(グランドオーダー)》以外がここに該当したことはない。

大雑把にいえばこんなものだな」


もっと具体的に話すこともできるが、そこが本題ではないため流す。


「俺達が異界へ行った時に天越(アウトライアー)以上の実力があると判定出来たときは直ぐに撤収する。勝てる見込みが0とは言わないが難しいことに変わりはないし、勝ったとしても辺りが焦土と化しすうえにこっちも数を削ることになるから勝利と言い難いからな」


不吉だから口には出さないが敵対する神格(ディヴィヌス)とばったり出くわしたら皆揃って御心中である。


「これって同じ等級でも上下差があるんですよね」

「あるな。何ならただの指標でしかないから不意を突くことが出来れば自分より上の等級にも勝てる」


レザシーとユラがこの例に該当する。あの二人の戦闘スタイルは初見殺しが過ぎる。逆に言えばシグは堅実に強いため真っ向勝負ならば先の二人に勝ちやすく、フィレーナは持久戦からの逆転が得意だ。ちなみにラグナはドシンプルに火力がエグい。アルはとにかく技量が飛び抜けすぎて倒し方がわからない。クリフに関しては真面目に戦っているところを見たことがない。


「繰り返すがあくまで等級というのは以前の指標というに過ぎないから、あわよくば天越(アウトライアー)を討てるのならそうする。神命遡行奔軍(アナストロフィ)の将軍とか隊長格にしかいないから数はそう居ないとは思うけど。

言っとかないといけないのはこのくらいかな」

「あのさ、アルネーブさんが言ってた『マナグラノス』?だったけ。あれって何なの?」

「あ。俺そこ話してなかったっけ?」


結構大事なこと話してなかったと反省する。

言われてみれば『ネメシス』では魔法の技術どころか概念すら風化していたので世界ごとの名前など知っているはずもない。


「七つも似たり寄ったりの世界があるからそれぞれに名前があるんだ。

二人が言う元の世界ってのが『ネメシス』。終末戦争で一度文明が崩壊してるからそれで魔法の知識が世界から失われたんだろう。なんであそこまで魔力が希薄なのかは分からないけど」

「滅んでるって言われましても、紀元前とかありますからね……」

「どうやったかも何故そんなあやふやな事態になったのかも分からない。『天墜の聖戦』なんて呼ばれてる戦いで百億規模の大群勢が一斉掃討されたことで、両陣営戦闘続行不可能になって一時終戦。そこから五千年も音沙汰無しだからな。そん時に何かしらあったんだろ。実際に人が殆ど住んでいなければマインドコントロールとかも可能かもしれないから、神格(ディヴィヌス)ってのはそのくらい常軌を逸する存在なんだ」

「《神格(ディヴィヌス)》。神様みたいな人たちってことだよね」

「少し変えたほうがいい。神様みたいに世界そのものを弄れる畏怖の象徴だよ、あれらは」


普通に生きている人たちだってあれの庇護下であると同時に、媚びを売って襲われないようにして足掻いてるに過ぎない。世界を踏み潰すも、使い慣らすも、唯一選択権を持つ絶対者。このくらいの表現が丁度良い。


「話を戻すけど、『マナグラノス』は今俺たちがいるこの世界の名で、その他五つを含めて計七つになるわけだ。五つの世界の名前はそれぞれ『エディウム』『クロイス』『スティグマ』『ヴェインルビー』『アグノシア』だ。俺たちはこの五つの中のどれか一つにランダムで飛ばされるというわけだ」

「門の先については本当に全く分からないんですか?」

「世界そのものを囲う四次元空間の外殻と、唯一の移動手段の門にそれぞれ界断結界(セヴァランス)が張られている以上は完全に情報が遮断される。最悪は待ち伏せも想定しておくべきだろうな」


危険度はかなりの高さになるが、それでもやらねばならない。


「よし。今度こそ説明は終わりだな。俺もほんの少しは魔力が回復してきたし、パパっと軽く体動かして闘いに慣らしていこうか」

「大丈夫なの?この説明会はそもそもジェスの魔力の残りが少なくても出来ることだからって始まったことでしょ」

「前にも言ったろ?持久戦は得意分野なんだ。一定以上の魔力があればそれなりに長持ちさせてみせる。それに、このくらいのハンディキャップがあったほうが勝てる希望が見えてやる気出るだろ?」

「負ける気がしないという自信が見えすけていますよ」


どうやら俺の態度があまり気に入らなかったらしい。まぁ確かに今の奏波に負けること無いと考えているのは事実である。

ただし現状では、だ。伸び代が果てしなくある以上はその内負けることも考えなければならないかもしれない。そうなる前に俺も強くならねばも馳せて異界に行くのだ。


また俺たちは、俺の指導のもと二時間弱ほど修行をしてその日を終えた。



そろそろこの前のような、本編の話を進めずにキャラまとめのコーナーを実施します。一章と比べて登場キャラが倍以上に増えてますからね。すみません。

神様=読者様。地文すらまともに描けている気がしないですが、どうかお付き合い下さい。

それと『歌姫』というワードはかなりの大ヒントです。

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