表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
流離う世界に私は  作者: 眠井ネタイ
第二章『ログレス』篇
20/23

17.魔力


俺たちは丘の頂上に着いた。

ここなら王都だけなら一望できて、風通しもいい。


「俺もたまに疲れた時は、ここで飯食ったり昼寝したりしてるんだ。正直なところ宮殿にある俺の部屋より快適だ」

「王様なのに部屋を持つ意味が無いですね」

「ホームレスの王様ってのも面白いかもな」

「何そのパワーワード」


雑談はここまでにして早速師匠としての一ページ目を始める。


「乃亜は後で付きっきりで見るとして、先ずは奏波がどのくらいのことを出来るのかを先に見ておきたい」

「どこまで。と言われましても、何一つとして知識が無いので私が何を出来るのかという説明も出来ませんけど」


そう。そこが問題なのだ。

奏波はおそらく才能任せでなんでもその場しのぎでこなしてきたタイプだ。なのでその中にとんでもない高等技術をやってのけていることも有り得るのだ。

例としては俺と闘った時に使った権能(フォルトゥーナ)を武具に纏わせる技術だ。これ自体、前段階というものがあるはずだが何工程もすっ飛ばして出来てしまっている。

技術不足や出力調整とかで武器の使用を断念する者もしばしば。


「取り敢えず奏波の魔力量と出力は、現時点でも最低限備わっていると思う。技術的には稚拙な面しかないが、それでも基礎から組み直していけば今よりも数段強くなる」

「基礎を鍛えるだけでそこまで強くなるものなんですか?」

「0点を30点にする分には簡単っていうのと同じだな。それよりも30点を35点に引き上げる方が難しい」


全く出来ないが少し出来るになってからが一番大変だ。一歩目はやる気、二歩目からは適性と研鑽が要る。

魔力の扱い方を明瞭に知って、自己流に磨き上げることが最も重要となる。


「最初に本来なら出来ている筈のものだな。暁圏(ぎょうけん)と呼ばれる技術だ」

「私にそんな技術有りませんよ?」

「奏波が前に振動を細剣に伝えて振動カッターみたいにしてただろ?アレって本来ならこれを習得してないと不可能なんだ。魔力を周囲に吐き出しながらもそれを滞留させる技で、魔力の操作技術次第で範囲や識別能力が向上する感知器官を作り出す。剣での斬り合いや魔法の撃ち合いまで幅広く使われている基本スキルって感じだな」


これ無しでは俺も現時点の奏波に負けるかもしれない。そのくらい重要度が高く、これが出来ない人物を戦力にカウントしたくない。


「とにかく周りを見るような感じの技なんですよね?

──こんな感じでしょうか」


言いながらの初挑戦。

奏波の魔力が放たれつつも漂っている状態を何食わぬ顔で維持出来ている。練度は無いがまず出来ているも言える段階だろう。

試しに俺から見て奏波の奥にある小石を風魔法で奏波に飛ばすと、振り向きもせずに片手で掴んだ。


「凄。本当に背中に目が付いてるみたい」

「便利ですけど、疲れますねこれ」

「放出した魔力の操作を離すのが早過ぎるな。出した魔力を周囲に滞留させる技術が足りて無い。もう解いていいぞ」

「一度出した魔力を繰り返し長く使えないといけないんですね」


奏波が暁圏を解いた。

暁圏に限らずに継戦に必要不可欠なのは、どれだけ少ない魔力でどれだけの効果をもたらすかである。自分ですら認識出来ないところで魔力が漏れ出ているようなロスを減らす事が大事なため、総魔力量で下回っていてもごり押しで勝てることもある。

俺の知る限りではアルが一番これが上手い。

俺が弟子にさせられて最初期の方は、俺と同じ魔法を使っても消費が五分の一くらいしかなかった。

それに加えて演算と言える程多数の魔法を同時行使してくるので物量で押し負けることが多かった。


「魔力の操作が離れるまでの時間が長くなる程、他の魔法で遠距離の相手に攻撃しやすくなる。これに関しては反復試行で慣れるしかないからこれからに期待だな。次は魔力による身体強化術だ」


身体強化術は攻撃力だけでなく耐久力も同時に向上させるため近距離戦においては駆け引きを有利に進めるために重要なのは当然だ。

ちなみにこれに関しては一般人でも僅かながら行えている。この能力が無いならそれは生物ではなく物だ。


「それなら私も出来てませんでした?お師匠様を相手にした時も使ってましたし」

「あれは粗削りすぎだな。魔力消費に見合った強化が見られてなかった。最後の方には魔力が切れ出して動きづらかったみたいだし」


身体強化は大部分の魔力が体内で扱われるため誰が使っても持続性が高くなるが、ここにも効率というものがある。

強化に使いたい魔力が身体のあらゆるところから漏れ出ていると短い時間しか持たず、効果が損なわれる。

先程の暁圏の時と同様に必要な部位だけに力を注げるかが大事だ。


「勝負の決めどころで急激に最大出力にしてから、剣の間合いの外の筈だがいきなり身体強化を最大出力で発動させて懐に潜り込むとか、奇襲を回避するとか」


少し違うが、俺も奏波に一度やってみせている。

最後の裏拳だけ身体能力を飛躍的に向上させて打ち込んだ結果、急な速度変化に対応させずに仕留め切った。


「場合によっては早期決着のために両者最大出力で闘うこともあるけど、それを見切って温存して劣勢を捌き切ったら勝ちに近づくこともある。まぁ使い方次第だな」

「••••••あ、すみません途中から聞いてませんでした。これで出来てますかね」

「あー、うん。出来てる出来てる。凄すぎて呆れるわ」


途中から師匠の教えを流されていたのは問せぬが、身体強化の仕上がりは前より随分とマシになっていた。


「そのまま身体強化を右腕だけに強化を集中出来るか?更に出来るならそのままさっきの暁圏を高密度かつ比較的狭い範囲で重なるように右腕に纏わせるように」

「ちょっと待って下さい。習いたてのものを二つ同時となると流石に時間が要ります」

「心配しなくても俺はアルじゃないからちゃんと待つぞ」


俺はアルを反面教師に師匠をすると誓っているので、あれ程無理に急かして強くしようとはしない。なお全くしないかと問われればその気はない。

今は奏波が可能な限り安定して強くなっていくことを想定している。魔力量や出力は徐々に伸びることはあれど急激には望めない。俺は明らかな例外でアルに弟子にされたころから急激に出力が伸びていったがそれは肉体の構造の違いだろう。そもそもの種族が違うし。

奏波が自己に集中すること約三分。早くも感覚を掴み出して右腕への身体強化と暁圏の集中を成功させた。


「その状態でその辺の木でも雑に殴ってみろ。威力が全然違うと思うぞ」

「さっきのデルードとかいう奴のせいでムカついていますので丁度良いですね」


そう言うと奏波はずかずかと目の前の木で最も幹が太いものを選んでその前に立った。


「乃亜。危ないから俺の後ろにいろ」

「え?そんなにする程なの」

「木片で怪我するぞ」


俺が急いで乃亜を掴んで後ろに引き付けて、半透明の結界を前方に小規模に展開する。

奏波がその木を何やら凄い形相で睨んで(多分デルードの顔面を想像して)殴りつけた。

すると案の定。突風で木片が飛び交いデルードの神経と同じくらい図太い幹を持つ木がメキメキと音を立てながら折れ、後ろの木を巻き込みながらドミノ倒しのように倒れた。


「ふー。大分スッキリしましたね」

「お前イラついたら物に当たるタイプだな」


ストレス発散になっても表情は相変わらず変化しないが、雰囲気は大分爽やかになった。気がする。


「今回は腕に集中させたけど、最大威力を出そうとしたら腕に注力させつつも全身に強化を程良く回して地を蹴る力とか腰を回す速度とかを上げた方が強くなるからそこは自分の感覚を頼りに上達させてくれ」


これに関しては身体の骨格とかが絡むので全員が同じ配分で強さが発揮されるとは限らないので、俺が教えるにも大雑把には出来るだろうが、数パーセント単位では余りない。


「そうですね。いつかあのクソ野郎が死ねば良いですね」

「そんなこと言ってないんだけど」

「奏波って思ったよりも根に持つタイプなんだね」


これは根に持つどころでは無く、夢の中で本当に殺してそうだ。


「じゃあ奏波は一旦休憩してもらって、身体強化に関しては乃亜もやってみるか」

「へ?」

「暁圏の方が技術は要るといっても、どちらも基礎的なスキルだから人は選ばない。理屈的には乃亜にも出来ておかしくない」

「えー。私出来る気がしないんだけどな」

「別に魔力量は俺達より上だし、出力次第ではあれを連発出来るかもしれないぞ」

「そういえば魔力量だけではジェスより上って言われたことがある気がする」


ちなみにそれは俺が旧乃亜の部屋に訪れた時だ。


「出力に関しては見てみないと分からないしな。実践あるのみってな」

「そんなこと言われても魔力なんてのに触れた自覚が未だ無いのにどうしようもないよ」

権能(フォルトゥーナ)を使う時とかにこう、力んだりしてないのか?」

「いやぁ、私はこう、逆にふんわり軽く使おうとしてたんだけど」

「扱いには感情が絡むからそういうのも無いわけじゃ無いが、困ったな」

「なにかコツとかないの?」


コツ。コツねぇ。

慣れてきたお陰で使おうと思えば使えるようになったから、コツと言われてもなんか言葉に表しずらい。

歩き方のコツを聞かれているような感覚だ。


「なんかなぁ、こう、『はーーー!』みたいな感じで」

「少年漫画すぎる」

「なら、『うおーー!』とかでどうですか?」

「台詞が変われば良いっていう問題じゃない」

「一々難癖つけてないでやってみろって」

「絶対感覚で出来てる二人の方がおかしいと思うんだよね。で、力んだりしてれば出来るの?」


俺と奏波は閉口する。

実際には力むだけではないのは確かなのだが他に何をしているかと問われても言葉にできないのだ。


『そんなのムカーってしてれば勝手に出るんだって』


ふと昔、俺と一緒のことを言ってる奴を思い出した。

俺は誰にでも優しく在れる奴じゃなく数少ない誰かを優先するような、社会的に見ればクソ野郎だ。

大切なものの為に次に大切なものを切る。

多分、アイツも俺寄りだ。

なら、対照的な乃亜は?


「乃亜。大切な人と大切な場所ならどっちを切り捨てる?」

「そ、そんなの、両方無いと意味ないんじゃ•••••」


どっちか、という問いの答えになってないがそう言うと思っていた。


「フっハハ。そんじゃ、失ったものがまだ手の中にあるのを想像してみな。胸の内に未だある後悔と一緒に」

「••••••」


乃亜は静かに目を瞑って夢見た景色を想像する。

たったそれだけでは不十分なので、俺が陰ながらサポートする。乃亜は何か身体に入り込む気色の悪い違和感に襲われて俺を薄目で見るが、俺の顔を見るなり直ぐに目を閉じた。

以前にもこうして魔力器官を観察したためよく分かる。明らかに人為的な脳障害らしき損傷に完全に閉じ切られた魔力の弁。それら、身体の支配術を刺激出来るように準備をしておく。強くしすぎると以前乃亜に言ったように、脳神経が壊れるので本当に軽くだ。

そして乃亜の瞼がより強く閉ざされる、強い願いを胸中で誓ったであろう瞬間───


「ジャンプ!」

「うえっ!?」


静寂の時が続く中で俺の急に大声で予想通りビビって裏声を出す乃亜だが、指示は通ってるちゃんと垂直飛びをした。

その瞬間に支配術、主に魔力器官に携わる部分を零点コンマ秒に足りるかどうかの時間だけジャミングする。刹那の一瞬が問われるタイミングゲームだ。

結果は直ぐに現れ、未だ直上に上昇中の乃亜の存在が成功を示していた。


「••••••さっきの問いって意味ありました?」

「んー。俺とは違うぞっていう確認作業だな」


乃亜の突発的に出た答えは紛れもなく本音を掠めるものだったのだろう。失うのが怖いと思うのは俺と同じだろう。違うのはそもそも失わなせない、全部掬うという信念の強さだ。

やっぱり根は俺と真逆で、ひたすらに純粋で真っ直ぐとした芯がある。

そういう優しさは大切にしないといけないと思う。

それと同時に───『邪魔』でしかない。


「バンジーはもうイヤなのにぃーーー!!!」


乃亜が未だに高度を上げて上昇中だったので、いましているのは逆バンジーと言われるものだろう。

高度は目算でも三百メートルに差し掛かるところだ。


「あれ流石に不味くないですか?まだ高度上がりそうですけど」

「だな。このまま高度を上げると気温の低下を肌で感じられるくらいは行きそうだし」

「それよりも落下時の衝撃でしょう。着地させること考えてます?」

「今から追いかければ万事解決だ、ろ!!」


乃亜や奏波とは違い、風魔法による加速力を交えつつ跳躍する。そこから三秒弱で上昇中の乃亜に追いついて、風魔法の逆噴射で止めた。

乃亜はほっと一息ついたが、この高さに直近のトラウマを思い出したようだ。


「今度はゆっくり降りてよ?」

「どうしようなぁ。この辺に自己紹介がてら絶叫を響かせるのも良いと思うけど」

「第一印象が叫ぶ人なんて嫌だからね!普通に降りてよ!」

「知ってる?男の子ってのは『やるな』と言われれば無性に『やりたい』と思う生き物なんだ」

「普通に降りないで!」

「でも『やれ』という指示には素直に従うんだ」

「これ私に選択権なよね!?」

「そうだよ?」


多分今の俺はニタァ、と最っ高に良い笑顔をしているに違いない。やはり乃亜は弄り甲斐があって楽しい。


「お願いだからぁ、やめてよぉ•••••」


乃亜が結構本気で泣きそうになった顔で上目遣いをしてきたので、イタヅラする気が萎えた。

流石にこれを見れば俺でも罪悪感が湧き上がって、高揚していた気分を一瞬で打ち消された。

これでは下手な魔法よりよっぽど高威力だ。

俺は乃亜の横に浮かびながら緩やかに降下、着地した。


「凄いじゃないですか。私もあそこまでは飛べませんよ」

「うぇ〜ん、怖かったよ〜」


乃亜は地に足がつくと奏波の胸に飛び込んだ。

この時ガツンという音が鳴ったのはおそらく幻聴だろう。事実を認めたら奏波の夢の中で俺が八つ裂きにされるかもしれない。


「まさかの出力も俺より上とは驚いたな」

「え?でもジェスの方が私よりもずっと早く飛んでたはず」

「俺の場合は魔法を交えてたし、そもそも身体強化の使い方が違う。乃亜は全身にくまなく魔力が行き渡っていたが、俺は脚だけだし飛んだ瞬間から風魔法の飛行しかしてない。初速だけで一キロくらい跳躍する勢いだった馬鹿力な乃亜とは訳が違う」

「ば、馬鹿力って。そこまで言わなくても」

「一応言っとくが俺がこの辺に結界を敷いてなかったら小さめのクレーターができてたからな?」


俺は乃亜の跳躍する瞬間に異常な出力を感じ取ってこの辺りに結界を敷いて、衝撃波で影響が出ないように風魔法でそれを上空に逃してやった。

じゃないと奏波が吹っ飛ぶ。


「ていうか、何かどっと疲れたんだけど。立つことすら奏波が支えてくれないと結構辛いし」

「ふむ。魔力出力が高すぎるあまり魔力が枯渇してるな。あの短時間でその魔力量が空になるとかまじかよって感想だな。あ、鼻血出てるぞ。これで拭いたろ」


乃亜は俺が渡したハンカチを少し申し訳なさそうに受け取って鼻を覆った。これくらいなら、以前の奏波と同じ状態だろう。

それにしても、俺より三倍以上の魔力量をあの一瞬で全て吐き切ったことになる。

乃亜がちゃんと魔法とか魔弾で消費できるなら、当たれば俺も一撃で消し飛ばされるかもしれない。

怖えー。


「で、身体に何か異変は?」

「そのよく分からない記憶のことなんだけど、実際には昔から何度も繰り返しの映像が流れてるみたいでね」

「つまり何度も記憶の再生は初期化されてて一向に進捗無しってことか。魔力の消費量に合わせて繰り返し再生(リフレイン)するなら、単純に魔力量を上げていけば解決出来そうだな」

「魔力量って要するに持久力ですよね。一朝一夕で増えるものなんですか?」

「動かないと体力が増えないのと同じだ。魔力を使えば使う程、最大魔力量は増える。だがどのくらいで頭打ちかは流石に個人差があるけど。それに魔力への適性が低い人間(ヒューマン)の二人は、どうしても増えるのが遅くなる」


人間は基本的に魔力の保有量が少ない。むしろ乃亜と奏波は現時点で多過ぎるくらいだ。スタート地点だけ比べたら俺よりもポテンシャルは高い。


「あれ?その言い方だと、ジェスって人間じゃない?」

「八割がた人間だが、一応種族的には堕天使(フォールン)だな」

「混血ってこと?」

「混血じゃなくて、元が人間だったんだけど後から堕天使(フォールン)になったんだ」

「種族が途中で変わることなんてあるんですね」

「普通は無い。俺の場合魔力の枯渇で今にも死にかけてたところをアルに助けてもらってな。その時アルの魔力を大量に取り込んだせいで天使(エンジェル)の特性が少し出たけど、俺の状態が良くなかったもんで粗悪化して堕天使(フォールン)に成り下がった、ていう経緯」


これが俺とアルの最初の出会いな訳だ。

目を覚ました後にアルに何故見ず知らずの俺を助けたかを聞いたら、「貴方がしでかしたことが偉業だったからです」と返された。


「一応言っとくが、俺がお前らに同じことをしてもそうはならない。そもそも回復魔法(ヒール)なんてのは無いから他人を助けようとしたら相互承諾後に魔力を補填することしか出来ん。内臓が欠損している俺の意識が無いまま蘇生出来たのは、アルが限りなく俺に合った形で魔力を変質させたから出来る神業だからな」

「お師匠様の師匠となると、果てしなく上が遠いんですね」


実際のところアルは変人とか狂人とか言える奴だが、その実力は本物だ。

その証拠に、少なくとも俺はアルが負けたのは出会ってから一度も見たことが無い。勿論俺を相手にしてもだ。


「ちょっと待って。魔法とか色々見せられてる訳だけどさ、回復魔法って本当にないの?普通は絶対にあるものじゃん」

「奏波には前に説明したけど、魔力は常に『最適化』を行っている。それを外力を持ってして促進することは出来るんだが、そうすると怪我してる本人の魔力が吸い尽くされて最悪即死する。互いの承認があれば促進を施す側の魔力を借りることも出来るが、そっちの魔力消費も尋常じゃなくロス消費も発生するからぶっちゃけ自殺に近くなることが多い。加えて擦り傷や軽い切り傷治すんだったら問題は無いが、損傷が激しいと無理矢理に形を取り繕おうとするあまり完全に元の状態にも戻らなくなることもある」

「でも、その──内臓が滅茶苦茶になってたジェスを直すのってアルネーブさんでも厳しかったんじゃないの?」

「別にそれ言うのを躊躇わなくたっていいんだぞ。印象的な思い出になっただけだし。で、アルがどうやって俺を治したかね。物質生成(マテリアル)っていう特異な技術があるんだが、これで内臓を補ったんだ」

「それがいわゆる回復魔法に当たるのでは?」

「出来るようになれば分かるが全然違う。本物と同じ性能を持つクローンを身体に埋め込んで、最適化の促進をもって繋ぎ合わせないといけない。しかも身体の一部を作る場合には遺伝子とか原子レベルまで再現しないと異物として処理されてしまう。というかそもそも無から有を創り出す物質生成(マテリアル)自体、魔力の消耗が大きい。だから自分専用の回復術としてしか成り立たない」


まとめると回復魔法というニュートラルで便利なものは存在せず、強いて言えば実力が上位の者だけの特権技ということだ。


「とはいえ、致命傷にならない場合は本人の魔力出力次第で徐々に生え変わる。だから乃亜みたいに普段は魔力を使えていないと万一の時は四肢とグッパイしてもらうことになる」

「やっぱり私って、また他の世界に行く必要あるの?結界を壊したらもう用済みってことで帰ったらダメ?」

「ダメ。異世界に何かしらのギミックがある可能性もあるからな。封天核(シフラス)みたいな遺物が相手となった場合は最悪詰む」


俺が今現在で界渡りをするにあたっての懸念事項がそれだ。俺たちよりも強い者が居たり、存在価値が高い神の遺産とかで行き止まりになったときだ。特筆して原初の界核(アークコア)のような世界の存続に直結する物が障壁になった時には、全部を破壊して押し通るしかない。


「そんじゃ、大分脱線したけどお陰で息は整ってきたろ。今日はコレを最後にするけど、かなり時間がかかると思う。権能(フォルトゥーナ)の効力の詳細を確認しよう」


これからするのは本人の戦闘スタイルを左右する上で最重要のことだ。


悩み事

現在の構想時点で「〜ア」のキャラ名が非常に多い。ざっと六人はいる。

乃亜、フェア、◯ア、◯◯◯◯ア、◯⚪︎ア、◯◯◯ア

これ以上「〜ア」のキャラが増えると不味いかも。と焦っております。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ