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流離う世界に私は  作者: 眠井ネタイ
第二章『ログレス』篇
19/23

16.齟齬

なんか国つくってるし、某スライム作品じゃね?

と思われても仕方ないなと思っています。

ただしノスタジルはあれよりも武力解決が圧倒的に多いですし、バックボーンも異なります。


私はなんとなく目が覚めた。

体内時計による、本当になんとなくいう形でだ。

意識が朧げだが毛布よりも格段に暖かいものにくるまっていて気持ちが良かったので今日は二度寝しようと思う。

隣で寝息がしているが、それが気にならない程に心地良かった。

しかし僅かながらにも意識があったため、鳥の囀りのように会話が耳に入ってくる。


「奏波、悪いけど乃亜を起こしてきてくれ。女子の寝室に俺が入るのは忍びない」

「この世界にもそういう倫理観があって安心しますよ。異世界と聞いてもっとイカれてる場所を想像してましたからね」

「一概にそうも言えないと思うぞ。実際には奴隷を使い潰すような目も当てられないような醜い場所もあるんだ。ただ、俺達に余裕があるだけかもしれない。イカれてるって認識はまだ続けていた方が一々驚かなくて楽かもしれないな」

「なら、少なくともこの国の中ではその認識は外しましょう。ここは新鮮なお陰か賑やかな景色にみえますよ」

「良い場所だろ。この世界じゃ安全を約束できる憩いの場はそう無い。じゃ、二人の目覚まし頼むよ。俺は軽く朝食作ってくる」


少しずつ意識が起きてきた。

扉の向こうでジェスと奏波が話し込んでいるようだった。

そういえばここ異世界だった。学校とかが無いとはいえ遅く起きるのも体にあまり良くないと思ったので、重い頭を枕から離してベッドの上に座る。


「ふわぁーあ」

「むにゃむにゃ」


誰もいないと思い背伸びをしながら大きく口を開けて欠伸をしていると、まだ隣で寝ているラグナちゃんを見つけた。


(昨日•••••というか今日だったのかな?私だけ先に寝落ちしちゃったんだっけ)


時計が無いので夜更かしして寝たのが昨日か今日かよく分からない。

そしてやけに寝心地が良いと思ったら、毛布ではなく翼に埋もれて寝ていたのか。本来私にかけられていたはずの毛布はラグナちゃんの寝相で全部巻き取られている。

取り敢えずラグナちゃんも起こしてみようと思い、毛布を少しずつ取り返していく。


「ラグナちゃーん。もう朝でジェスが呼んでるから起き───て、」


一瞬自分が何を見ているのか分からなくなった。


(でっか)


ラグナちゃんも寝る時は寝巻きというものがある。今ゆるーい衣服がはだけて大きいソレが片方だけ完全に露出している状態だ。

昭和の言い方だとポロリというやつだ。

•••••別に自分のものに自信がないというわけでもないが、目の前のメロンとどうしても比べてしまう。

そうして何度か見比べていると外の声が不思議とハッキリ聞こえた。


「お師匠様が乃亜を起こしてみればどうですか?」

「え?」

「え?」


部屋の中にいた私も「え?」である。


「お師匠様に起こされたら乃亜が喜ぶかもしれませんよ」

「そこまでプライベートに踏み込む気は無いぞ」

「そんなの気にしたくて良いからさっさと入って下さい。心配しなくても女の子の部屋に変なのが置かれていたりはしませんよ」

「そういう問題じゃないとおもうけどな。それってどうしても?」

「どうしてもです。朝起きてボーっとしている乃亜には一番良い目覚ましです」

「はぁ。分かったよ」


•••••確かに驚いて目覚めはいいのだろうが今は私の心配をする状況じゃない。

ベッドの上で私が壁側、ラグナちゃんが部屋の中央の方に寄っていたためこれでは色々と隠しようが無い。


「ちょ、ストップ!ストーップ!!」


大声で二人を静止しながら過去最速の走りで身を挺してドアが開かないようにする。


「なんですか。起きてたんですか、乃亜」

「ハッ、ハァ。ちょっとジェスは入って来ないでね。部屋の中も見ないで。奏波だけ入ってきて」

「そ。じゃあ俺は予定通り朝飯作ってくるか」


ジェスがそう言うと足音が段々と遠ざかって行くのが聞こえた。

次第に足音が全く聞こえなくなったのをキッカケに私は初めて扉を開けた。


「行ったよね。ジェス」

「行きましたよ。さっきからそんなに慌ててどうしたんですか?」

「あー、•••••取り敢えず入って。それでわかると思う」


扉を人が通れるくらいに開けて奏波を入れて、直ぐに視界に入ったソレを見て「あー」と察してくれたようだ。


「つまり乃亜には大きい胸をまさぐる趣味がありましたと」

「違うから!」


顔を赤くして即座に否定した。

勝手に可笑しな趣味があることにされた私である。

朝から大騒ぎ。やっぱりここは異世界なのだと再認識した。



*****



俺は奏波の意向に従わずに乃亜の指示通り部屋から離れて、階下にある厨房に足を踏み入れていた。

そして冷蔵庫を開ける。

まだちゃんとした形式で客人を迎えておらず、都市の拡大の方に注力しているため料理人も其方に出張らせている。

よって現状はこの厨房は俺専用になっている。

ちなみに冷蔵庫だけでなく、水道なども魔力を使って動かしている。日本のような完備は無理だが、取り敢えず衛星面から対応していこうという俺の計らいで一部動かしている。


「卵に、米、野菜も数々••••••。オムライスでも作ろうかな」


ケチャップが無くて味気ないかもと思ったが、そのくらいなら物質生成(マテリアル)でちょちょいと出そう。

魔力消費がバカにならないので本当に必要最低限に留めておく。

皿の上で、両手の間からケチャップを作り出したいく。割とこの作業は慣れているため、本来難しい筈の味までコントロールすることが出来るようになった。今回は少しトマトの酸味を強めにしてみた。


そこからは特に面白味もなく、火炎魔法が刻まれているコンロの火を使って四人前のオムライスが出来た。遊びでそれぞれの名前の平仮名をケチャップでトッピングしておこう。

さて、ラグナが二人を一向に連れて来ないためまた迎えに行かないと行けないが、流石に面倒臭いので大声で呼ぶ。

宮殿の中は空洞になっていて人もいないため良く響く筈だ。


「朝飯作ったぞー!その部屋で食べるかー!」


その時遠い上の階からドアを開ける音がして、乃亜が手すりから身を乗り出して応えた。


「うん!もうジェスも入っていいから!全員で食べよー!」

「分かった!」


ということでオムライスが盛り付けされた四人分の皿を持って行く。手は二つなので、残り二つとスプーンは魔法で浮かせて持って行こう。

いつもよりゆっくり慎重に飛んで行く。落として作り直しは出来るが精神的にキツい。

案の定問題無く部屋に着く。


「なんか、大丈夫なんだろうけど見ている側としては怖いね」


どうやらずっと上で見守っていた乃亜からするとヒヤヒヤしていたらしい。


「よく考えたらこの皿って結構上等なやつだったような気がするな。貴族でも上澄みの方の権力者専用皿で入れてきてたんだっけ」


国名を十秒で決めるアルがかなり吟味して選んだ物だ。壊しても国庫から金出せば買い直しは効くが、「よくもワタシの頑張りを蔑ろにしてくれましたね。ハッハッハ」とか笑ってない目で詰め寄られること間違いなしだ。

そして治りづらいかたちに骨を折られることだろう。


「そんなお皿で食べるの怖いんですけど」

「壊れたら日本円換算でうん百万飛んで行くもんだから面白いよな」

「こんなに怖い食事したくない」


乃亜の否応など聞き入れもせずに皿二つを持たせる。そして中にいた奏波にドアを開けてもらった。

中の様子を見るとラグナがまだ頭をかくんかくんと動かしていて今にも二度寝しそうだ。


「見て下さい。次寝たら四度寝ですよ」

「寝過ぎだ。おいコラ、ラグナ。飯だぞー」

「ハッ!ご飯!」


オムライスの匂いに釣られてラグナの意識がようやく覚醒した。


「随分と手懐けなれてますね」

「そんな人をペットみたいに見てないって」

「うぐっ」


何やら乃亜が呻いていた。そういえば「ちゃん」付けでラグナを呼んでいるし、翼でモフってヨダレを出していたとかも聞き及んでいる。

本当に友達というだけでなく可愛いペットという過保護な対応をラグナにしているかもしれない。


「早く食べようよぉ」

「起きて五秒で飯にガッつけるのすげぇな」


いつの間にかラグナは乃亜が持っていたオムライスを一つ強奪して食べ始めていた。当然だが立ち食いである。

テーブルは無いが立ち食いも行儀が悪いと思ったので座って弁当のように食べることにしよう。

そしてラグナに続き二番目にオムライスを口に運ぶ。


「むぐ。ん、我ながらいい出来じゃないか。もう少し卵をじっくり焼いた方が柔らかてしっとりしてたかな?」


特にケチャップの酸味を少し強くしたのが良いアクセントになっている。米の方にもムラなく広げられたから俺的には合格点だな、と自己評価を付ける。

俺が少し反省を述べている間に乃亜と奏波も食べ始めていた。


「むぐぅー!美味しーい。少し酸っぱいけどそれがまたいいね」

「もぐ。本当に店でも出したらどうですか?」

「美味しいよねぇ。ジェス様が作るものってプロのシェフと遜色無いんだよぉ。ご馳走様ぁ」

「食うの早過ぎだろ。あと買い被り過ぎだ。俺が作れるのはあくまで一般的なものだけで、プロが作るような本格的な味付けや鮮度の維持、喉の通りやすさとかまでは再現出来ないんだ」


それでも菓子作りだけなら割と対抗出来る自信はあるが。


「先に言っとくけど、今日から修行開始だからな。あと乃亜も連れて行くつもり」

「え?弟子にしたのは奏波だけなのに、私も?」

「まず、自分で権能(フォルトゥーナ)のオンオフのコントロールくらいは完璧にこなしてもらわないと俺が困る。乃亜の説明だと、うっかり誰かに触れたまま使われて消し飛んだら洒落にならない」

「そ、そうだよね。ごめんね」

「いや、別に責めたつもりじゃないんだぞ。結局のところ権能(フォルトゥーナ)が誰かと完全に被ることは無いから、それはお前にしか無い唯一無二の力なんだから誇っていいんだぞ。実際に俺もそこまで強力なのは見たことが無い」


使おうとしたところを見ただけでヤバイなと感じたのは本当に初めてだ。鉄則として、権能(フォルトゥーナ)に明確な格付けは存在しない。

基本的にはそれぞれの能力の強弱や消費魔力の代償や発動条件の諸々をとって、殆ど優劣の存在は無いとされている。

権能(フォルトゥーナ)が強いと見えるのは、扱う本人の強さに起因することが常。というのが俺なりの認識だ。

そんな中で乃亜の権能(フォルトゥーナ)は明らかに異質なのだ。技量を求められることも無く、触れるだけで対象を消せる。その場を一度見ないことには断定出来ないが。


「使い方次第では守る力にだってなるんだからさ。手取り足取り、ちゃんとサポートするよ」

「••••••うん。ありがと」


一応俺の『力は壊すだけが使い方じゃない』ということを言ってるのが伝わったらしい。

当然に攻め向きや守り向きという特性はあるが、それは本人の権能(フォルトゥーナ)の獲得時の意思によって決まりやすい。

『殺す』ことを目的とした入手の仕方だと殺傷能力が高くなりがちだし、『生きる』ことを願った場合には守り向きの力や回復力に向くこともある。

まぁ人の心なんて千差万別だし、この二種に全てを当てはめるのは不可能だ。

それに後から少しだけ性質が変化することもある。大きくは変わらないが、特定の強い意思による行動時に魔力出力が跳ね上がることはある。

乃亜の場合はおそらくこれにあたる。予測でしかないが、今の乃亜は『失いたくない』という精神側面がある。奏波と親しくなってくれているならいづれその場面が来るかもしれない。


「食べ終わったら早速移動しようか。ラグナは訓練の方に戻ってくれな」

「はぁい」

「つかぬことを聞きますが、強くなろうとするならラグナさんに教われることもあるんじゃないですか?」

「あーしは格闘術と火炎魔法くらいしか教えられないよぉ」

「これに関してはどうしても向き不向きだからな。もし奏波が火炎魔法に適性があるならラグナに師範をしてもらうほうがいいけどな」


逆にいえばラグナは火炎魔法以外がからっきしなので、その他の魔法適性に奏波が該当するなら普通に俺が教える。俺も火炎魔法を使えないわけではないが、これに関しては年季の入り方が違う。

火炎魔法一筋で闘ってきた猛者には敵わない。


「その場合、私早速弟子卒業することになりません?」

「奏波は細剣(レイピア)が主軸だからその辺の駆け引きは俺が叩き込む。それに、他にも教えないといけない基本技ってのがいくつもあるんだよ」

「やっぱり私もそれを出来るようにならないといけない?」

「可能なら、な。これに関してはやってみないとまだ分からない」


本当に乃亜がそこまで身につけてくれるなら、他の世界に行った時も奏波とセットでくっつけておくだけで俺が単独行動を取りやすくなる。

だが正直なところ乃亜には出来ない気がする。

魔力を大量に所持していながら身体能力の変化が一切見られていない時点でかなり怪しいところだ。

ラグナが立ち上がって、窓から外の風を取り入れようと窓を開けた。かに見えた。

頭を出して窓枠に足を掛けた。


「じゃああーしはもう行くねぇ。皆んなを待たせてるからぁ。ばいばーい」


窓から勢いよく飛び降りた。


「ぅえ!?ちょ、ラグナちゃん!ここどれだけ高いと───」

「忘れてないか?翼人種(ハーピィ)だぞ。心配すんな」


俺の言う通り、ラグナは風の靡く空を颯爽と飛んで行った。


「翼がある種族は、大抵に生来から翼そのものに風の術式が刻まれているからな。魔力を消費して飛行するだけだから炎一辺倒のラグナも普通に飛べる」

「魔法は駄目でもあぁいう特性は良いということですか」

「いや普通に駄目。俺に使っていいという特例措置が出されない限りは捕まる」

「つまりラグナちゃんはその特例だと」

封天核(シフラス)の守備も任せてるからな。それに実力的にも飛ばせておいたほうが犯罪の抑止力になる。たまたま現場にラグナが通りかかったら黒焦げになる」

「なんか自由な戦闘機みたいですね」


奏波の例えが的を突いている。

高速移動しつつ空から爆撃をかましてくる奴が常に国を巡回していて、それがいつ何処に現れるか分からないのに愚かなことをする奴はそういない。


「さてと、全員食べ終わったことだしそろそろ俺らも移動しようか」

「そういえば修行と言っても何処でするんです?宮殿にそんな施設ないでしょうし」

「昨日俺たちが出て来たポツンと一軒家がある丘の頂上に木がはけていて良いスペースがあるから、最初の方はそこを使う。奏波の魔法の規模とか出力が度を越してきたら他の場所を使うつもりだ」


そう話しながら俺たちは宮殿をあとにする。

俺も最初はこの辺でアルにボコされていたが、最終的には被害を考えて門のある湖の下の空間を使って闘って──あれ?俺そんな規模の魔法あったっけ?


「ジェス?」

「あー悪い。ちょっと考え事をしてた」


まぁ今の自分に出来ることを確実にこなすことが出来れば充分だろう。

俺の空間魔法の強みは弱点属性のようなものが無いことが強みだ。炎だろうが氷だろうが特には関係無い。逆に弱みは得意属性のようなものも無い。

最も嫌なのは魔力量で負けている時のゴリ押しだ。単純に削り切れない。


「その前にちょっと寄りたい所があるから着いてきてくれ。丁度途中にあるから遠回りにはしない」


俺がそう言うと二人も承諾してついて来てくれた。実際に丘の方向に行く道の途中にそれはある。

その建物は最近出来たにも関わらず少し汚れているように見える。しかも中に入るともっとボロボロになっているときた。

化学物質を色々と掻き混ぜたような鼻につく悪臭が漂っている。

そして一番手前の部屋にお目当ての人物がいた。


「デルード。悪いけど壊れて捨てる予定の備品を貰ってもいいか?」

「良いけど、鼻をつまみながら話しかけるほど臭いかここ」

「魔道具の研究を頑張ってるのは有り難いが衛生管理はしといてくれよ。臭すぎて敵わん」


ここは生活品に活用できるものから戦争に扱うような物まであらゆる魔道具を作っている場所だ。

人類圏で魔人に壊滅させられた直後に付近で出会った奴で、デルードが物を弄るのが得意だと言うので試しに一つ作らせてみたら中々火力の高い魔道具をアッサリと作っていたので引き入れた人材だ。

聞くところによると当時その小国は魔道具の生産が盛んになってきて途上に乗りつつあったそうだが、それに目をつけた魔人が奪い取ろうとしていたらしい。そこで最も大きい研究室を持っていたのがデルードらしい。

その時よりも費用をかけられていると嬉々としてこの『ノスタジル』に残ってくれている。

そして乃亜がふと思い出したようだった。


「あ、昨日丘で会った人だ」

「む。後ろの二人は昨日も見たな。服もこの辺の一帯の者には見えないが」

「この前説明した異世界から誰かしら連れてくるかもって言う話をしたろ。それがこの二人なわけ」

「ほう。異世界からの住人というのは興味深いな。名前は何という?覚えておきたい」

「私、乃亜っていいます」

「奏波です」

「成程。背が小さい方が乃亜で、胸が無い方が奏波だな」


乃亜は小柄な方なのを自認しているのでノーダメだったが、奏波の方はピクリと反応した。

纏う雰囲気がちょっとどころでは無いくらい怖い。弟子ながら恐ろしい。

その奏波が真顔で俺に聞いてきた。


「コイツ殴っていいですかね?」

「やめなさい」

「女としての尊厳を傷つけられたんですよ?"小さい"と言われたことはあれど"無い"と言われたのは初めてです。弟子のメンタルケアも師匠の務めでは?」

「んなもんねぇよ」


性的なデリケート面でのメンタルケアは何を言われようとどうすることもできない。

何か口走った瞬間「はいセクハラ」なんて言われたくない男社員の気持ちだ。

そこをデルードが待ったほうが良いと言った、


「一応我は非戦闘員ではあるが魔法くらいは使えるぞ。役職上間接的に殺しをしているようなものだからな。怨みを持たれることも珍しくないんだ」


その言葉通り、デルードの創り出す魔道具は一級品であるため使われることも多い。

間接的な人数も含めれば、この国で最も多くの人を殺していると言っても過言では無い。

だからこそ研究室にいる者達には、自衛程度の魔法が扱えることを必須条件というのをクリアした者達だ。


「とにかく、今は作業中で時間が惜しいんだ。頼むから早いとこお帰りになってくれ」


しっしっ、と追い出すような態度だった。

言われるままに俺たちは研究棟を後にして、建物の裏手にあるゴミ捨て場に来た。


「これって魔道具とかの実験の失敗作とかだよね。触っても大丈夫なのかな?」

「未だ効力を持つものは必ず壊して効力を失わせないと捨てられない法律があるんだ。失敗作だろうとその辺の奴が拾って使い出したら大騒ぎしてだしな」


そう言って硬めの素材が捨てられている場所から風魔法で大量に持って行く。


「何に使うんですそれ?」

「乃亜の権能(フォルトゥーナ)を実演してもらいたい。他にも色々と検証してみたいことがある」

「••••••」


見ると乃亜は権能(フォルトゥーナ)を使うのに躊躇いが残るようだった。話で聞いただけであり、乃亜が見た光景は俺の想像でしか理解できないし、感情なんてもっての他だ。

何か自信を付けられそうなことはないだろうか。と考えて一つやって見た。

乃亜の手をちょっと拝借させてもらって手を繋いだ。


「ふぇ?」

「滅多なことないと壊れたりしないって。ラグナにしてるのと同じようにベタベタ触ってればいいんだよ」

「••••••いや、ラグナちゃんとは絶対意味が変わってくるよね」

「同じボディタッチだろ」

「違う。なんか違う」

「何が?」

「なんでも」


だんだんと声が小さくなっていったせいで、そこから何を言っても応えが分からなかった。


一方この光景を見ていた奏波は


(ここで私も乃亜を弄るのは、流石に可哀想ですね)


静かに見守ることにした。

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学校が始まるため間違いなく投稿頻度がガタ落ちします。正直なところ趣味の範疇で書いてますので飽きたら辞めます。学校ダルいし。

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