表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
21/46

バルザックのファッショニスタ!?幽霊たちのためのオートクチュール地獄洋裁店!

現在、バスカラことカラは、先日の「肥満ヤモリ」3匹との物物交換で手に入れた古いミシンに向かって座っていた。その目の前には、新しい看板が掲げられている。


『霊障ファッション縫製店 – 経帷子(死に装束)のリフォーム&口裂け女のコートのモディファイ専門店。死んでもSlayイケてるを忘れずに!』


この主人公の性格には、毎度のことながら頭を抱えたくなる。


「テム、聞いてくれよ。俺が観察するに、日本の幽霊ってやつはファッションアイデンティティが危機に瀕してるんだよ。昔の時代からAIの現代まで、衣装といえば白装束か古臭いコートばっかり! 全然エモくないだろ!」カラは針に糸を通しながら文句を言う。


もしなぜカラが裁縫などできるのかと問うなら、それは前世の高校時代に手芸部のようなものに所属していたからだ。それに今の時代、システムを通じてチュートリアル動画だって見られる。ネット社会万歳、というやつだ。


[通知!非常に不届きな起業家精神を検知しました。罪悪ポイント:天使の管理部門が「これを幽霊の尊厳への救済と見なすべきか、それとも侮辱と見なすべきか」で大混乱しています。しかし「バルザックのファッショニスタ」の称号ポイントが+700加算されました]


(うるせえなテム! 俺を炎上でもさせたいのか? 今どき炎上しなきゃ面白くないだろ、やりたきゃ墓場でインフルエンサー活動でもしてやるよ!)


[呆れ果てましたね。仕事と言えば脅しばかり、カッコよくもないし、ただの迷惑系チューバーですか]


しばらくして、第一号の客がやってきた。霊安林の木陰に棲む口裂け女のレイコさんだ。トレードマークの白いコートはボロボロで、黄ばみ、以前人間の村の宴会の横を通りかかったときに村人が投げつけた梅酒のシミだらけになっていた。


その時はただ通りかかって、どんなご馳走があるか覗いただけなのに、村人たちがパニックになって「自称・最強の霊媒師」が塩やエナジードリンクを投げつけてきたのだ。聖水と勘違いしたらしい。


「マス・カラ……レイコを助けて。マス・ガンダルヴァ(男の妖怪)に会うとき、このコートじゃ全然イケてないの。死んでからずっと同じ服なんて、ファッショナブルじゃないわ。韓国のアイドルみたいな『K-POPスタイル』にしてほしいの、お洒落に着こなしたいのよ……」レイコさんはマスクを直しながら訴えた。


「そうですよね先輩、幽霊の服って昔からアップデートがなさすぎるんですよ。いつも白か黒かグレーばかり、たまには黄色や青にしたら映えるのに」


カラはメジャーを取り出し、レイコさんの体を採寸し始めた。


「レイコさん、安心しなさい。オフショルダーのトレンドデザインにして、君の青白いオーラをさらに引き立ててやるよ。裾にはフリルをつけて、君が空中を飛ぶときに優雅にヒラヒラ揺れるようにしてやる」


[おい負け組、その口裂け女を人を驚かす気か、それともアジアズ・ネクスト・トップモデルのオーディションにでも参加させる気か? なんだそのモデル気取りの提案は]


(両方だよテム! 人を怖がらせる時だってファッショナブルでなきゃダメだろ! だいたい、いつまでもボロい服着てたら他の幽霊たちに笑われるぞ! 可哀そうじゃないか、お前も一度死んでみて、服が変わらない幽霊の気持ちをレビューしてみろよ)


カラがまさに布をハサミで切ろうとしたその時、ガタゴトと音を立てながら「キョンシー(跳ねる妖怪)」のベガが跳んできた。彼は一ヶ月前、巨大な肉団子を喉に詰まらせて窒息死した男だった。


「マス・カラ! 俺もリフォームしてくれ! もう『動く布団巻き』みたいな格好はウンザリなんだ。このお札付きのキョンシー服を、ジャンプスーツに改造できないか? 村人から逃げるときにピョンピョン跳ねるの疲れたんだよ! もしできるなら、色は白じゃなくてネオンイエローか、昔の彼女が好きだったピンクがいい!」


カラは顎に手を当て、世界的なファッションデザイナー気取りのポーズをとった。脳内では、蛍光ピンクやイエローを着た妖怪たちが集会を開いているシュールな光景を想像している。


「ブラボー! それで行こう! 夜道で光る『グロー・イン・ザ・ダーク・キョンシー・スーツ』だ! これならベガ君が通りかかったとき、村人たちはビビるどころか、その輝きに魅了されること間違いなしだ!」


ベガは深くうなずき、近くの椅子に腰掛けた。


カラがレイコさんのコートを「クロップトップ」に改造している最中、クルエルが小屋に入ってきた。弟は、ベガのキョンシー服にスパンコールを縫い付けながら、あの世の切なさを歌う演歌を鼻歌で歌っている兄の姿を冷ややかに見つめた。


クルエルは戸口でピタリと足を止めた。冷たい視線がカラから離れない。


「兄さん……その死に装束に、なんでピンクのフリルなんてつけてるの?」


カラは弟の方を振り返り、ナルシストな笑みを浮かべた。


「これぞイノベーションさ、エル! うちの村の幽霊たちに自己肯定感を持ってもらうんだ。あいつらがハッピーなら、俺たちを襲うこともなくなる! ファッションを通じた異次元平和戦略ってやつさ!」


クルエルはゆっくりと近づき、カラの手から裁縫バサミをそっと奪い取った。その冷徹な目がキョンシーのベガを射抜く。


「兄さん……もしこのキョンシーが変なデザインばかり要求して兄さんを徹夜させたら……僕、このナイロン糸でこいつの口を縫い合わせようか?」


キョンシーのベガはガタガタと震え出した。これじゃあ二度死ぬどころか魂が消滅しかねない。妖怪としてのプライドより命が大事だ。


「い、いやマス・クルエル! 僕はシンプルなやつで……布の面積が多ければ何でも……」


カラは笑いながら、クルエルの頭を優しくなでた。


「いいからエル、そんなに殺気立つな。ほら、兄さんのスパンコール付けを手伝えよ。リフォーム一着につき、小屋のインテリア用の新鮮なジャスミン茶の束が一盛り手に入るんだからな!」


[せめて、この村の幽霊たちのほうが、頭が鳥の巣みたいになってるホスト本人よりよっぽど身だしなみが整ってますけどね、クタス!]


(うるせえなテム! 俺の魅力は生まれつきのナチュラルイケメンだ、リメイクなんて必要ないわ! クタス!)


カラは作業を再開した。その日の夜、スカマジュ村は大騒ぎになった。K-POPスタイルのホワイトカラーのオフショルダーコートをまとい、腰にリボンをつけたレイコさんが空中を優雅に飛んでいたからだ。多くの主婦や若い女性たちが、彼女を追いかけるどころか、「ねえ、その服どこで直したの? めっちゃ可愛いんだけど、オーダーメイド?」と声をかけ始めた。


「あら奥様、腕利きの霊界デザイナーの作品よ、最高でしょ? ひひひ……そうだ奥様、よかったら木の上に来ない? 人生の悩みを語り合いましょうよ」


「え? 人生? あなたもう死んでるでしょ」


「でも私、昔は生きてましたから。何か問題でも?」


主婦たちは顔を見合わせたが、なぜか妙に納得してしまい、気がつけばみんなで木の上に登ってレイコさんと人生相談を始めていた。


数日後、レイコさんは再びカラの小屋にやってきた。今やカラの小屋は緊急ファッションブティックと化していた。隅っこにはボロボロの鏡が置かれ、レイコさんがK-POP風コートのフィッティングをしている。


カラは部屋の中央に立ち、ハサミを片手に国際的ファッション審査員のような顔をしている。


「レイコ、見てみろよ。これぞアップデートだ! 最近の5歳児からスマホをいじってレチノール美容液でスキンケアしてるクソガキどもに負けるなよ」とカラは糸を切りながら言った。


「本当よねぇ、最近の子供なんて私が生きてた頃より美容に詳しいんだから。昔なんて外を走り回ってただのベビーパウダーだけだったのに」


カラはふっと笑った。確かに、時代は変わったものだ。


[通知!神レベルの辛口批判を検知。罪悪ポイント:若い世代を盛大にディスるホストを見て、管理システムがお祭り騒ぎを起こしています。「容赦ない毒舌」ポイント+1000]


システムはカラを冷ややかに見つめる。このお荷物人間がまともな悟りを開く日は来るのだろうか?


(うるせえなテム! 俺はただ残酷な現実を教えてるだけだ! 現実は期待通りになんていかない、だから高望みして振られて傷つくだけ損なんだよ)


システムは面倒くさそうに目を丸くした。若者をディスる時だけやけにイキイキしている。


カラは時折、キョンシーのスーツを試着しているベガに目をやった。


「ベガ、お前もだぞ。妖怪に生まれたことを感謝しろよ。今のGen Zみたいに、ちょっと何かあるたびに『バーンアウトだ、ヒーリングだ』って騒ぐ必要がないんだからな。俺を見ろよ! 物干し竿が頭に直撃して死んだときだって、一言も『癒やし』なんて求めず、すぐ異次元で肉体労働を始めたぞ!」


カラは深呼吸をし、説教モード全開になった。


「まったく最近の若者には呆れるぜ。Gen Zの連中は、課題が少し出ただけで『人生疲れた』ってSNSにステータスを上げる。実際やってることといえば、親指の皮がむけるまでTikTokをスクロールしてるだけだろ。メンタルがティッシュペーパーを半分に裂いたより薄くて、ちょっと風が吹いただけで不安障害アンザイエティだもんな」


なんだか最近の若者に対する愚痴が止まらないカラだった。


[おいお荷物、せめてあいつらはあなたと違ってシステムから借金して買った綺麗なスマホを持ってるんですよ、クタス!]


「へへっ、俺は自給自足の独立独歩だ! 今時のGen Alphaなんて、鼻水たらしながらすでに『お友達アイアン』とか呼んでやがる。俺がその年齢の頃は、ドブ川で泥団子を食べて宝探しをしてたもんだ! 今じゃどうだ? 5歳のガキが『今日のコーデ(OOTD)』を語る時代だぞ。俺たちの子供時代なんて、兄貴のお下がりのツギハギ服を着るだけでパリコレモデル気取りだったっての!」


カラは頭を抱えながら、レイコさんのコートの肩にボタンを縫い付ける。


「世界は狂っちまったよ、レイコ。Gen Zは高級カフェで一杯数千円のコーヒーを飲みながら自分のアイデンティティを探し、Gen Alphaはガジェットに夢中で道端の草とも会話する忘れちまった。……どうせ狂うなら俺たちみたいに、インチキだけどリアルに生きろ! エモいけどガチで霊界!」


キッチンのドアの陰からずっとカラの説教を聞いていたクルエルは、ため息をつきながら、昨日の残りのペェック(揚げ物)の皿を持って歩いてきた。


「兄さん……説教はもうそのへんにして。そのキョンシーが、兄さんの将来の説教長すぎて消滅しかけてるから」とクルエルは冷たい声で注意した。


カラはナルシストにニヤリと笑う。


「いいじゃないかエル! これぞ世代間教育だ。この妖怪たちに、現代人のような『ネットの炎上』や『ゴースト(音信不通)』のドラマに悩まされないだけマシだと感謝させてるのさ」


クルエルは冷たい視線をキョンシーのベガに向けた。


「お前……自分のキョンシー服ができたら、文句言わずにポイントか花の蜜で払いなさいよ。高級品を後払い(Paylater)にして踏み倒そうとする現代の人間みたいな真似したら、お前の首をねじ切るから」


ベガは新しいジャンプスーツのなかでガタガタと震え上がり、小さくうなずいた。


「は、はいマス……現金一括、ピュアな霊気でお支払いします……」


[お見事です、お荷物さん。あなたの終わらない説教のおかげで、この村の幽霊たちは「人間として生まれなくて本当に良かった」と心の底から安堵しています。あなたのブティックの評価:星5つ(ただし、あなたの弟が怖すぎるという理由によるものです)]

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ