高スペック・低サーバー」の若者と、悪魔の託児所!カカラの職業迷走は止まらない!?
読者の皆様、こんにちは!
偽の産婦人科医をやり遂げたバスカラ、今度はGen Zのメンタルお悩み相談から、クルエルと一緒に「悪魔の託児所」の経営へ転職!?
今回もバスカラの破天荒な迷走劇に、笑いとツッコミが止まらないこと間違いなしです!
それでは、ドタバタの最新エピソードをお楽しみください!
患者の髭おじさんを追い払った後、カラは少し休もうとしたが、その暇すらなかった。
クリニックの扉が、なぜか「それっぽく(エモく)」軽く蹴り飛ばされた。
そこに現れたのは、オーバーサイズのフーディとカーゴパンツを着た一人の若者。その顔は、まるで元カノがSNSに「プレウェディング(結婚前写真)」をアップした瞬間を見てしまったかのようにどん底だった。
「ドクター……ヘルプです。僕、完全にバーンアウト(燃え尽き症候群)なんです……」
若者は勝手に患者用の椅子に倒れ込みながら愚痴り始めた。どこからどう見ても、彼はカラと同じ「ジェネレーションZ(Gen Z)」だった。
バスカラはゆっくりとサングラスを押し上げる。
「で、お前の不調は何だ? ヒーリング不足か、それとも残高不足か?」
「聞いてくださいよドクター。僕、人間としてマジで終わってる気がするんです。まだこんな歳なのに、同級生たちはもうみんな結婚して、子供もいて、中には離婚しそうになってる奴までいるんです。なのに俺は? 結婚どころか、‘おはよう’のチャットすらSIMカードの自動送信からしか来ない! なんで俺はずっと独身なんですか、ドクター?!」
バスカラは深くうなずいた。
実はこの若者の境遇は、かつての自分の人生――「無職の肩書だけはやたら多い(無職だがイベントが多い)」状態とほぼ十一が十二、つまりそっくりだった。さらに共通しているのは、恋愛に対する価値観だ。
昔は適齢期に結婚していたのに、自分が適齢期になった途端に世間は未成年婚ばかり。これぞまさに「運命のバグ」ではないか。
カラはさっそく診察を始めた。今度は患者の手首ではなく、若者のスマホを借りてデートアプリのプロフィールを眺める。メッセージのやり取りを読み終えると、わざとらしく腕を組んで唸った。
「ふむ……。お前の診断結果はシンプルだ。お前は病気じゃない、ただの**‘高スペック・低サーバー’だな」
「は……?」
「今の若い奴らはやたらと理想が高いのに、自分自身のスペックが追いついてない。
いわゆる‘セドリ(高すぎる理想と、自分の身の程を知らない状態)’**ってやつだ。これ以上落ちぶれて傷つきたくなかったら、その高すぎる基準を少し下げろ」
[通知!大嘘が検出されました!スキャンの結果、この患者が万年独身なのは、理想が高いクセに風呂に入るのは週に一回だけだからです。もっと精神を抉るような診断をしてくださいよ、お荷物さん!]
(うるせえな、テム。ここはいっぱしの‘地獄行き名言’をくれてやるんだよ。こう見えて俺もこのボクちゃんと同じポジションだったんだからな)
[同じポジション? 今の今までずっと独身なのは変わってないじゃないですか?]
バスカラはシステムをキッと睨みつけた。突っ込むにしてももうちょっとオブラートに包め!……と、ハッと我に返って咳払いをする。
「コホン!! まあ聞けよ、ブラザー。友達が子供を連れてる? そんなの彼らが人生の‘卒業論文’を先にやってるだけだ。じゃあお前は? お前は神様に‘世界の人口爆発の負荷をこれ以上増やすな’ってセーブされてる神聖な存在なんだよ」
「でもドクター、俺だってお前、パートナーが欲しいんです……」
バスカラは最高に胡散臭い「悟りを開いた顔」を作った。
「ブラザー、俺の言葉をよく聞け。友達がオムツを替えてる姿を羨ましがるな。なぜなら、その友達が深夜2時に子供の夜泣きで絶望している頃、お前は誰にも邪魔されずに心ゆくまでネトゲのマルチプレイ(Mabar)ができるんだからな! 友達が家族の生活費に頭を悩ませている間、お前は稼いだ金を全額自分のために使える! 自由ってのはな、プライスレスなんだよ、ブラザー!」
Gen Zの若者は言葉を失い、目をうるうるとさせた。
「……なんか、めっちゃ響きました、ドクター。僕、まずは自分を愛する(Love myself)ことから始めます……」
「そう、それが正解! じゃあその‘自己愛’を加速させるために特効薬をやる。この**‘特製蚊の佃煮ペェック(揚げ物)’**だ。これを聴きながらダークな失恋ソングでも聴けば、悩みなんて消え去って、残るのは口内炎だけだ!」
若者はデジタル残高で治療費を支払い、蚊の佃煮3パックを抱えて立ち上がった。
「あの……ドクター、もう結婚されてるんですか? なんかさっきの話、ドクター自身の生きざまそのものって感じがしましたけど」
バスカラは激しく動揺した。ちょっと待て、自分はまだ18歳だ!! 結婚なんてまだ早いし、目の前にはシステムと、中身がほぼ悪魔のクルエルがいる。こんな生活じゃ早死にする――いや、前世ですでに若死にしてたわ!
「俺はジェネレーションZだぞ!! Gen Zが若者結婚なんてするかっ! まだ世界一周もしてない、CEOにもなってない、高級車も持ってない、金持ちにもなってない! 18歳で結婚だぁ? 何言ってんだ!」
「ドクター、ちょっといいですか。ドクターめっちゃ若いのに、なんで医者の学位なんて持ってるんですか? 医学部ってめちゃくちゃ長いんじゃ……それにさっき18歳って言ってましたよね? それってついこないだ高校卒業したばかりの歳じゃ……」
[ハハハハハ、ざまあみろ!! 答えてみろよ、この状況を!!]
(クソシステムめ、助けろよ! 余計に追い詰めてんじゃねえ!)
[残念ですがお助けできません、ご回答どうぞ!ハハハハ!]
「ええっと、それはだな……えーっと……」バスカラは冷や汗を流しながら頭をフル回転させた。
「お前、無職だろ? そんな暇な質問を俺にするくらいなら、さっさと家に帰れ! 医療に関係ない質問は一切受け付けません!」
「でもドクター!!」
「いいから帰れ!……あ、待てブラザー。帰る前に、精神をさらに健康にするための‘健康ななぞなぞ’を一つ出してやる。答えられたら精神的勝ち組だ。よく耳の穴かっぽじって聞けよ」
「耳の穴は普段から開いてますよ、ドクター」
「よし、いくぞ。『なぜ、独身の人間は既婚者よりも圧倒的に体が健康なのか?』」
「……え? 子供の世話でストレスが溜まらないからですか?」
「不正解! 正解は、『独身の人間は病気になっても誰も看病してくれないから、気合いで治すしかないからだ! ハハハ、冗談冗談!』」
バスカラの乾いた笑いがクリニックに響き渡る。若者は完全に精神的ダメージを食らっていた。
「……ありがたいお言葉、心にグサッと突き刺さりました……」
若者は引きつった笑顔を浮かべ、フラフラとゾンビのようにクリニックから去っていった。
[やれやれ、病気を治すどころか完全にうつ病を悪化させてますよ。あなたの罪悪ポイント:MAX値でフリーズ中です]
カラはざまあみろとばかりに不敵に笑う。
「いいんだよ、俺のペェックが売れればな! 客がメンタル病もうが知ったこっちゃねえよ!」と鼻をほじりながら椅子に座り直した。
数日が経ち、「加持祈祷クリニック」の看板はすでに下ろされ、代わりにダンボールにマジックで雑に書いた新しい看板が掲げられていた。
【霊障つきガキの託児所――安い、安全、泣き叫ぶクソガキは秒で静かになります】
カラは次々と新しい職を転々とするのが好きだった。命に関わらなければ、どんなバイトでも新鮮で楽しい。少しずつ貯金も増えていたが、不思議なことに、貯金箱の増えるスピードはカメ並みで、消えるスピードはロケットミサイル並みだった。
(……なあ、体重を落とすのと同じくらい簡単に銀行口座の残高が減っていくの、どうにかしてくんないかね?)
まあ、そんな都合のいい話があるわけがない。気を取り直して現実に戻ろう。
この日のバスカラは、まるでゾンビ映画の主人公の死体のように髪をボサボサに逆立て、ボロ雑巾のような格好で部屋の中央に座っていた。まるで精神病院から脱走してきた不審者である。
彼の目の前では、近所の悪ガキども3人が大暴れしていた。
一人は彼の偽白医者の裾を引っ張り、もう一人は床に炭で落書きをし、そして一番厄介な「ウチョク」という名前のガキが、「蚊の佃煮アイスが食べたい!! 帰る!! ママぁぁぁーーッ!!」と床を転げ回って大泣きしていた。
そんなものどこにも売っていないし、そもそもペェック味のアアイスなんて甘くて冷たくて油っこくて絶対にまずいだろう。今のAlpha世代のガキどもの生態はどうなっているんだ。そりゃ親も喜んでカラのところに押し付けるわけだ。
「ヒャァァァーー!! アイス! ママどこ! 帰るぅぅぅ!!」
ウチョクの泣き声は屋根を突き破る勢いだった。
バスカラは両手で頭を抱え、頭痛で爆発寸前だった。
「ウチョク、頼むから静かにしてくれ……! おとなしくしてたら、あとでおじさんのコレクションの‘肥満ヤモリ’を見せてやるから! 泣くな、お前の将来の顔が俺の未来みたいになっちゃうだろ!」
[通知!ホストのストレスレベルが400%に到達。今すぐ仮死状態になってガキの育児から逃げ出したいという強い逃避願望を検知。罪悪ポイント:育児は神聖な労働ですが、あなたの子供のあやし方が邪悪すぎるためプラマイゼロです]
(うるせえなテム! このガキ一人育てるほうが、昨日のジッパー幽霊より100倍ホラーだわ!)
カラはガチで絶望していた。医者ごっこよりこっちのほうがよっぽど命が削られる。
精神が限界を迎えたその時、キッチンの暗がりから冷たい足音が響いてきた。
クルエルが冷えたシロップジュースのグラスを手に持って歩いてくる。彼は、ガキどもに囲まれてゾンビ化している兄を一瞥した。
クルエルは無言でグラスをカラの目の前に差し出した。
「兄さん、これ飲んで。あのクソガキどもの相手は僕がやるから」
カラはすがりつくようにグラスを受け取り、生き返ったかのようにゴクゴクと一気に飲み干した。まるで砂漠で一週間水を探していた旅人のようだ。
「あぁ~生き返る……エル、ありがとう……兄さん、もう無理……この子供たちのバッテリー、どうなってんだよ……」
カラは壁に背中を預け、力尽きたようにぐったりとグラスを握りしめた。
一方、クルエルはゆっくりと振り返った。先ほどまで兄に向けていた優しい眼差しは、悪ガキどもを見た瞬間、一瞬で氷点下の冷酷な殺気に変わった。その周囲の空気が凍りつく。
先ほどまで大泣きしていたウチョクは、そのプレッシャーに息を呑んだ。目の前にいるのは人間ではない――まるで死神、いや、それ以上の悪魔だ。
「座れ。静かにしろ。でなければ、お前たちを生きたまま肥料にするぞ」
クルエルの低く囁くような声は、この世のどんな脅しよりも効果抜群だった。
ほんの一瞬で、3人の悪ガキどもは背筋をピッと伸ばし、まるで炊き出しの列を待つかのように綺麗に正座した。誰も息すら満足に吸えない状態だ。
その様子を、冷たいジュースを飲みながらカラはポカンと見つめていた。
「エル……お前、あいつらに何をしたんだ? なんでこんな一瞬で従順になったの?」
クルエルはカラの隣に腰を下ろすと、ふにゃっと表情を緩め、その肩に頭をこてんと預けた。
「大したことはしてないよ、兄さん。ただちょっと‘モチベーション’を上げただけ。兄さんがあんなガキどものせいで疲れてるのを見るのは許せない。兄さんが疲れていいのは、僕がそれを許した時だけだから」
カラは苦笑しながら、弟の柔らかい頭を優しく撫でた。この小さな弟は、時に過激だがやっぱり一番頼りになる可愛い弟だ(カラの目には、だが)。
「はいはい、ありがとね、エル。お前が一番頼りになるよ」
平和で温かい兄弟の時間は、しかし数秒で終わりを告げた。
ウチョクが恐怖で震えながら、おずおずと手を挙げた。
「か、…あの……質問なんですけど……」
カラは視線を向けた。「どうしたウチョク。またなぞなぞか?」
「ちがいます……あの……どうして人間は、泣くときに目を閉じるんですか?」
特に深い意味はない。ただ、この異様な沈黙の気まずさに耐えられず、クルエルの顔を見ないようにするための苦肉の質問だった。
バスカラはニヤリと、最悪の‘ジャメット(痛い若者)モード’を復活させた。
「決まってるだろ。目を開けてたら、自分の母親がキッチンの隅で隠れてこっそり肉団子スープを一人食いして、自分に分けてくれない現場を生々しく目撃しちゃうからだよ! ハハハ、冗談肉団子!」
その場の空気は氷点下から絶対零度へと突入した。ガキどもは、笑うべきか、それとも再びクルエルに怯えるべきか分からず完全にフリーズした。
[やれやれ……せっかくの素晴らしい兄弟愛のモーメントが、あなたのクソ親父ギャグで台無しですね、お荷物さん]
(ほっとけ! なんでお前がいちいちツッコミ入れてくるんだよ!)心の中でカラは悪態をついた。
クルエルは静かに目を閉じ、兄の腕にしがみつく力をさらに強めた。
(兄さんがどんなに変でもいい……。兄さんの世界には、僕がいればそれでいいんだから)
弟は独占欲に満ちた瞳で、静かにそう微笑んだのだった。
最後までお読みいただきありがとうございました!
無職の人生相談から、驚異的な心理攻撃の診断、そしてクルエル流の「ガキの躾け方(という名のホラー)」まで、カオスが渋滞していましたね(笑)。
読者の皆様のメンタルは、バスカラの説教でやられていませんか?
今回のエピソードも楽しんでいただけたら、ぜひ【ブックマーク登録】と【評価(星ぽちっと)】で応援よろしくお願いします!
これがバスカラの次のビジネス資金になります(?)!
それでは、また次回の更新でお会いしましょう!




