極貧転生者の歌、あるいは惨めな昼食
皆さん、お疲れ様です!またお会いしましたね。第1話はいかがでしたか?極貧システムとカラのドタバタ劇に、もう少し付き合っていただけると嬉しいです。それでは、カラが恥を捨てて『トカゲの歌』を熱唱する(?)第2話、どうぞ!
【はい、彼らの両親は事故で亡くなりました。この体の持ち主の本当の両親は、酸素代と隣人への見栄の支払いに耐えられず、この世から『ログアウト』してしまいました。あなたは今、このボロ屋の家長として正式に任命されました。将来のサイコパス候補の弟と、残高ゼロの貯金通帳という重荷を抱えてね】
バスカラは納得して頷いた。弟に殺されたわけではなく、事故で両親が亡くなったのだと知って少し安堵した。やれやれ、諦める前にまずは足掻いてみるしかない。
「システム、腹減ったんだけど。弟も腹減ってるみたいだし」
カラは空っぽで平らになった腹をさすりながら言った。
「普通、小説の中のシステムってあり得ねぇようなチート報酬をくれるだろ? ブラックカードとか、豪邸とか、それに――」
【残念ですが、それは違います。ここではありきたりな報酬とアドバイスしかありません。この世界のシステムはド貧乏なので】
「はあ!? ド貧乏!? お前、金がないのかよ? そんなシステム聞いたことねーぞ!」
バスカラは、小説で読んでいたものとはあまりにかけ離れたシステムに納得がいかず、毒づいた。
【それが現実です。あなたは自分でこの新世界を生き抜かなければなりません。ゲームのようなものだと思ってください。ただ、ここでは本当に死ぬ可能性があるという点が違いますが。楽しいでしょう?】
「クソ、チクショー、バカ、マヌケッ!」
バスカラは動物園の動物を片っ端から呼び出す勢いで罵声を撒き散らした。あのふざけたシステムは今なんて言った? 自分の力で生き抜けだと? 俺は前世じゃまだ学生だったんだぞ! それなのに今度は、他人のガキを養うために働けってか!?
【警告! メインターゲットが空腹を感じています! 速やかに栄養のあるものを食べさせなければなりません】
バスカラは、すでに自分を冷ややかな目で見つめているクルーエルに視線を向けた。少年の瞳は鋭く、底知れない毒を含んでいる。
飯の時間だという無言の合図だ。カラは深い溜息をついた。
「おいシステム、飯にありつける仕事はねぇのかよ? 弟に何か食わせなきゃならねぇんだ」
【少々お待ちください……ミッション検索中……ミッション発見!! 『エステティックな慈悲乞い』で食事を調達しなければなりません】
「なんだそれ? 要するに物乞いしろってことか?」
【ただの物乞いではありません。大衆食堂『ファティマ』の前で、童謡の『どんぐりころころ』を演歌風に熱唱するのです……。ターゲット:残り物ですがまだ食べられるライス(ご飯)】
「変えろ!! ミッションを変えろ!! 俺は前の人生で生徒会長だったんだぞ。プライドってもんがあるんだよ!!」
「わかったよ、わかったよ!! 歌えばいいんだろ!! クソッ、このシステムはコメディ番組のプロデューサーかよ!」
バスカラはイライラしながら叫んだ。現在、バスカラは賑わう大衆食堂の前に立っていた。顔面蒼白のカラ。遠くからクルーエルが彼を見つめているのが見える。
弟は、もし食べ物を持って帰れなかったら投げつけるつもりで、空のソースボトルを握りしめていた。カラは諦めの溜息をついた。
(身代金を要求されてる人質の気分だわ、俺……)と心の中で思った。
覚悟を決めたカラは、恥ずかしさに震える声で歌い始めた。
「どんぐり……ころころ……どん……ぐりこ……。お池に……ハマって……さあ大変……。演歌の……こぶしを……効かせて……ううっ、もう死にたい……」
カラの顔は真っ赤だ。ああ!! 今すぐにでも泣き叫びたい。しばらくして、店から中年の女性が出てきてカラに歩み寄った。店のオーナー、ファティマさんだ。
「あらまあ、あんた。顔は男前なのに頭がイカれてんのかい? はい、これライス(ご飯)やるよ。でも、頼むからあっち行ってちょうだい。あんたの壊れたラッパみたいな声で演歌を唸られるせいで、客が食欲なくすんだよ」
ファティマさんは、パックに入った残り物のご飯を渡しながら言った。
「ありがとうございます、おばさん……俺の声は価値が高いんですよ。だからおばさんはライスで対価を払う必要があったんです……。また歌のバイトが必要になったら連絡してくださいね……」
ファティマさんは目の前の青年の狂言に、ただただ呆れて首を振るしかなかった。
【おめでとうございます! ミッション成功!!報酬:親切ポイント+2、食器洗い洗剤、パッシブスキル『鉄面皮レベルMAX』注:弟のクルーエルは、あなたの弟であることを心の底から恥ずかしいと感じています】
バスカラは小屋に戻った。クルーエルは、兄の醜態を見るのが恥ずかしすぎて、とっくに一人で小屋へ逃げ帰っていたのだ。
「エル!! 見ろよ!! 飯を持ってきたぞ!! 兄貴、すごいだろ!」
バスカラは誇らしげに物乞いの成果を弟に見せたが、話しかけられた弟は、極限まで冷え切った無表情で彼を見つめるだけだった。
「兄貴、さっき兄貴の腹からニワトリの断末魔みたいな音が聞こえたよ。それに、まるで死にかけの人間が恨み言を吐くみたいに歌ってた。次にもし餓死しそうになったら事前に教えて。兄貴が歌うより前に、俺があの店を強盗してくるから」
クルーエルは冷ややかな目でバスカラを突き刺した。
(おいシステム、本気で言ってるんだけど、このガキを母親の胎内に逆戻りさせられないか? 俺よりサバイバル能力の格が違いすぎるんだが……)
カラは心の中で血の涙を流した。
【アドバイス:諦めないでください! もし今日彼が強盗を働けば、明日は世界を焼き払うかもしれません。未来の世界の平和のために、どうか道化であり続けてください】
バスカラは鼻を鳴らした。ド貧乏システムのせいで、不条理なミッションとペナルティ、そしてお節介なアドバイスを押し付けられるだけの運命だ。
抗議したいが、返す言葉もなかった。
(俺はただの平凡な人間なのに……)
とカラは遠い目をした。バスカラとクルーエルは残り物のライスを食べ始めた。
彼は悪魔の生まれ変わり――いや、可愛い弟の口に、せっせと飯を運んであげた。
「たくさん食べて、早く大きくなれよ」
「大きくなったら、人を斬ってもいい?」「ゴホッ、ブハッッ!!」カラは反射的に口の中の飯を盛大に吹き出した。
(ヤバい、このガキの将来が恐ろしすぎる……!)
「弟よ……あのな、この世には人を殺すより面白い仕事や趣味が山ほどあるんだ。例えばこの兄貴を見てみろ。人を助けるのが好きだし、暴言も吐かない。心優しくて、ボランティアや分かち合いの精神を大切にしてるだろ?」
バスカラは誇らしげに微笑んだ。まあ、ただのイメージ戦略だけどな。弟には、自分がどれほど高潔で立派な背中をしているかを知らしめなければならない。
【悪行ポイント-5、理由:嘘をついたため】
(このシステム、小言が多すぎるんだよ)
カラはそのままライスを口に運んだ。時折、夢中で食べているクルーエルに視線をやる。弟は可愛いのに、どうして行動は悪魔なのか。しばらくして、カラは食事を終えた。
「先にライスを全部食べちゃえよ。兄貴は手を洗ってくるから」
バスカラは立ち上がり、ライスの包み紙を捨てに行った。井戸水で手を洗ってから、中に戻った。
「おいシステム、今回のミッション報酬は善行ポイントと食器洗い洗剤とパッシブスキルだけか? 他の報酬はないのか? お金とかさ、もうちょっとマシなやつをくれよ」
【はぁ、このシステムの貧乏具合はもう言いましたよね。お金なんてどこにあるんですか。私は上司の最低賃金からコツコツ貯金して作られたんですよ】
「マジかよ。おいシステム、お前のボスの給料はどこの地域の最低賃金なんだ? なんでそんなにケチなんだよ」
【申し訳ありませんが、私の上司の給料は、あなたの生存率よりも高い税金や様々な徴収金で差し引かれているのです。我々は皆、官僚主義の犠牲者なのですから、お互いに非難し合うのはやめましょう】
「クソッ、本当だな。上の連中も給料が足りないのか、結局しわ寄せが来るのは国民側じゃねぇか。何をするにも金、金だ。特に教育に関することなんて、前世でニュースを見ていて泣きたくなったよ。才能がある子供が、命より高い学費のせいで学校を辞めなければならないなんてさ。その一方で、金持ちのガキはファッションを自慢するためだけに学校に通ってやがる」
【それが構造的な不平等というものです。知識は無料ですが、建物や制服、管理費は特権階級しか買えないことが多いですからね】
「本当に、これが一番イライラするんだよ。古本を買うために必死に新聞を売る子供がいる一方で、施設が整っている環境にいる奴らはサボって喧嘩ばかり。この世の冗談は時々笑えねぇよな。やる気のある奴が邪魔されて、道が開けている奴はそれを無駄にするんだから」
【なぜこんな話をしているんですか。これは重い話題ですよ、重荷さん。変なことを言うと、上の人間に反逆罪や名誉毀損で訴えられて刑務所に送り込まれますよ】
「確かにそうだな。さっきまで最低賃金の話をしていただけなのに、どうしてこんなことに。こうやって発言してバレたら、法律を作った連中から名誉毀損で――」
【やめなさい、重荷さん。それ以上は検閲に引っかかりますよ】
バスカラはすぐに黙り込んだ。そうだ、危うく神聖な不可侵領域について口にするところだった。会話があちこちに飛び火してしまった。
さっきまではただ、他の人とは違うポンコツなシステムを与えられたことに不満を漏らしていただけなのに。どうやら、受け入れるしかなさそうだ。
「なぁシステム、頼むよ。もう少し役に立つ報酬をくれ。お前、そんなにクールな見た目のくせに、大した金額も出せないのか?」
システムはバスカラを冷ややかな目で見た。
【もし高価な報酬があったら、何が欲しいのですか?】
「そりゃ、俺を大金持ちにしてくれるもの全部だよ!!」
【それなら、先ほどの報酬を追加しましょう……チーン! おめでとうございます! 追加報酬を獲得しました。報酬:3日分のインスタントラーメン!】
「チッ、ラーメンだけかよ!?」
カラは不満げに毒づいた。勘弁してくれ、どうして他の小説の主人公のように特別な報酬をもらえないんだ? プライベートアイランドやブラックカードをもらっている他の主人公と自分を比べて、心底羨ましくなる。自分に与えられたのは、教訓と導きだけかよ。
いかがでしたか?相変わらずのシステムと、相変わらず危険な弟……。この先も、カラの受難(?)はまだまだ続きます。もし少しでも楽しんでいただけたら、ぜひブックマークと評価をお願いします!それが本当に執筆の力になります。それでは、また次の話でお会いしましょう!




