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天才ヤンデレお嬢様の好感度がなぜかカンストしてる件  作者: 夜空 叶ト


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第68話 陸斗くんは特別ですよ?

「浴衣の手配は私の方でやっておきますね。後で浴衣を着たい方は私の方に来てください。人数分レンタルするので」


「じゃあ、メニューを考えるぞ~野郎ども」


「「「おお~!!」」」


 ホームルームの時間に俺たちは気合を入れて作業に取り掛かっていた。

 浴衣の手配や接客マニュアル作成は乃々。

 カフェのメニューやその製作工程の確認。

 他にも、仕入れ先を考えたり予算の確認をしたりしている。

 中々に面倒な仕事ではあるけど、よりよい文化祭を成し遂げるためには必要な事だ。


「にしても、君がそんな風に学校行事でやる気を出してるのは珍しいね。何か心境の変化でもあったのかい?」


「あ~どうだろうな。特段何か変わったことがあるとは思わないんだがな」


 作業中に雄介が訝しむかのような視線を向けてくる。

 一体なんだというのか。

 俺にはわからなかった。


「そういう風には見えないけどな。ま、自覚がないのに外野の僕が無理に変なことを言うべきでもないか」


「ん? 何か言ったか?」


 あんまりにも声が小さかったからなんて言っていたのか聞き取ることができなかった。

 まあ、大したことでもなさそうだしいいか。


「何でもないよ。それよりもこのメニューなんだけどさ」


「ああ、これは食材の保管が難しいからやめといたほうがいいかもな。もう少し調理が簡単なものにしよう」


「わかった、調整しとくよ。で、そろそろ君は天城さんのほうに行ったほうがいいんじゃない? こっちは僕が何とかしとくからさ」


「わかった。ありがとう」


 さっきからなんだか妙な視線を感じると思ったら乃々が俺に向かって意味深な視線を飛ばしてきていた。

 一体何なのかと思い、乃々の方に駆け寄ってみる。


「何かようか? めちゃくちゃに視線を飛ばしてきてるけど」


「え!? あ、いえ。そんなつもりは無かったんですけど。そんなに視線を感じましたか?」


「まあ、かなり感じたな。ようがあるわけじゃないのか?」


「はい。真剣に作業をしている陸斗くんがカッコよくて見惚れていました。不快にさせてしまったのなら申し訳ないです」


「いや、不快ってわけじゃないんだ。少し気になっただけだから全然気にしないでくれ」


 乃々に見つめられても不快になることは無い。

 ただ、ジッと見つめられると照れくさいというだけである。


「ならいいのですが。っと、そちらのメニューの方はどうなりましたか?」


「順調だな。雄介がいい感じにまとめてくれてる。俺がやることが無くなるくらいだ」


 雄介は社交的で誰とでも仲良くなることができる。

 だからなのか、人を乗せるのが凄くうまい。

 さっきもいい感じに話を浴衣カフェの方に誘導してくれた。

 正直、ああいう立ち回りは俺にはできないので助けられている。


「なら安心ですね。では、私の方を手伝っていただいてもいいですか?」


「別に構わないけど、俺に手伝えることなんかあるのか?」


「ありますよ! 男子の方々の分の浴衣……というか、和装を準備したいので着たい人のリストとその人のサイズをこの紙に書いてもらってもいいですか?」


「わかった。それくらいならお安い御用だ」


 乃々から紙を受け取って男子たちに和装をしたい奴とそのサイズを聞きまわった。

 案外和装をしたい奴は少なくて俺を含めて数人程度だった。

 せっかくの文化祭だから和装くらいしたらいいのにと思わなくもないけど、無理強いをすることでもないので黙っておく。


「乃々一応完成したけど、こんな感じでいいのか?」


「はい。ばっちりです。ありがとうございます陸斗くん」


「いや、これくらいの仕事ならいくらでも振ってくれ」


 これくらいなら大した労力でもないし、全然平気だ。

 女子の方はかなりの人数が和装をするらしく、その情報を聞いた男子たちは浮足立っていた。


「乃々も浴衣を着るんだよな?」


「……着ませんよ? だって、私達実行委員ですから当日は見回りをしないといけないじゃないですか」


「……あ」


 そう言えば、当日は見回りをしないといけないんだった。

 そのことを完全に失念していた俺達(クラスの男子全員)は一気に肩をガックシと落としてしまう。

 それはそれでクラスの女子たちに失礼な気がするけど、それが気にならないくらいにはショックを受けていた。


「忘れていたんですか? 全くおっちょこちょいですね」


「いや、完全に忘れてた。そう言えばそうだったな」


「はい。でも、陸斗くんが望むのなら浴衣くらいいつでも見せてあげますよ?」


 耳元で乃々はそうささやく。

 そのあまりにも魅力的過ぎる提案に俺は心臓が早鐘を打つのを感じる。


「なんなら、今日の家庭教師の時間にでも見せてあげます!」


 追い打ちでささやかれて、俺は顔が熱くなるのを感じる。

 咄嗟に顔を背けて口元を手で隠す。

 だが、その程度で逃がしてくれるほど乃々は優しくなかった。


「あれ、照れてますよね? 絶対に照れてますよね!?」


「照れてない。それよりも、そろそろホームルームの時間が終わるから片付けて帰る準備するぞ」


「ですね。家に帰ったらしっかり追及するので覚悟しておいてくださいね?」


「……勘弁してくれよ」


 ウインクをしながら乃々は何やら不穏なことを言ったけど、今はとりあえず撤収することに集中しよう。

 ちなみに、乃々が浴衣を着ないと知った男子たちは一瞬は意気消沈したがそのすぐ後に他の女子たちの浴衣姿が見れると気が付き元気を取り戻していた。

 全く、男子と言うのは単純なものだ。




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