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天才ヤンデレお嬢様の好感度がなぜかカンストしてる件  作者: 夜空 叶ト


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第65話 高飛車お嬢様の末路1

「君は女難の相でも出ているのか?」


「知るかよ。でもまあ、そう思われても仕方ないわな」


 何とか屋上から逃げ出した俺は教室に戻ってくることができた。

 中々にしつこい彼女を引きはがすのにはそれなりの労力を要したけど、まあいいだろう。


「にしても、天城の次は古御門ね。お前はこの学園の有名人にとことん好かれてるんだな」


「ん? 古御門って有名人なのか?」


「知らないのかよ。天城に続いて学年二位を常にキープしている生徒で成績は言わずもがな優秀で運動に関しても難なくこなす。家柄も天城家に続いて伝統のある家系だよ」


「マジもんのお嬢様ってわけね」


 どうやらかなり厄介な相手に目をつけられてしまったらしい。

 今は文化祭の事に集中したいんだけど。


「だな。変な事はされないと思うけど、一応注意しとけよな」


「心配ありがとな。まあ、そうそう変な事には巻き込まれないだろうから心配すんなって」


「お前……それをフラグって世間的には言うんだぜ?」


 呆れた素振りを見せて雄介は自分の席に戻っていった。

 窓から吹き込んでくる秋の風が俺のことをあざ笑っているように感じてしまうのは俺の考え過ぎだろうか。


 ◇


「俺たちは断固として水着カフェを推すぞ!」


「そうだそうだ! このクラスは水着カフェをする運命なんだ!」


「……お前らいい加減にしろよ」


 帰りのホームルームの時間。

 昨日出た案の中から投票で我がクラスの出し物を決めようとしていると、男たちがそんなことを言いながら喚きだした。

 俺と乃々が水着カフェを除外していたことが許せないのか声を大にして抗議までしてきた。

 どんだけ水着が見たいんだよ。


「ここまでくると呆れてしまいますね。そうは思いませんか? 陸斗くん」


「だな。だが、こういう類のバカが一番厄介なんだよ。本当にどうしたもんかな」


 こういう輩を正攻法で納得させるのは難易度が非常に高い。

 だからと言って、こいつらを無視して文化祭の出し物を決めて非協力的になられても困る。

 つまり、俺が考えないといけないのは乃々が着る衣装を露出を押さえつつ男子が納得するような可愛い姿を見れるような出し物を考えないといけないわけだ。


「なあ、陸斗ちょっといいか?」


「どうした雄介」


 俺が頭を悩ませていると、雄介が手を上げていた。

 こいつがクラスで何かの発言をするのは珍しい。

 もしかしたら助け船を出してくれるかもしれない。


「浴衣カフェってのはどうだ?」


「浴衣カフェ?」


「ああ。浴衣ならこの時期でも寒くないだろうし露出も少なくない。だから、生徒会からの承認もおりると思うんだがどうだ?」


「それはそうかもしれないが……みんなはどうだろうか?」


 とりあえず、水着よりかはマシだと思った俺はクラスのみんなに聞いてみることにした。

 すると、どうやらまんざらでもないらしくさっきまで騒いでいた男子たちはうんうんと頷きながら満足そうにしていた。


「確かに、天城さんの浴衣姿凄く見たい」


「絶対似合うだろ!」


「むしろ水着よりも見てみたいぞ!」


 などと言う声が聞こえてくる。

 こいつら、どんだけ乃々の浴衣が見たいんだよ。

 少し呆れるけど、これで意見はまとまりそうだった。


「じゃあ、出し物は浴衣カフェって事でいいか?」


「「「「異議なし!!!」」」」


 こうして、俺達のクラスの出し物は浴衣カフェに満場一致で決定した。


 ◇


「……どういうことなの。この私が声をかけてあげたって言うのに断るなんて!」


 生れて初めてあそこまで邪険に扱われた。

 屈辱で仕方がない。

 あの、天城乃々の想い人を横からかっさらって優越感に浸ろうと考えていたのに。

 その計画が台無し。


「なんで私に靡かないのよ! この世界は私中心に回っているんじゃないの?」


 生まれたころから、私は優秀で常に人の上に立つ存在だった。

 テストを受ければ常に学年一位で、体力テストを受ければA判定。

 あらゆる面において優れていて一番を取り続けてきた天才がこの私だった。

 だけど、その栄光は高校生になってからは変わってしまったのだ。


「天城乃々、いつのせいで私は誰からも注目されなくなった」


 周囲の人間が覚えているのは一位のみ。

 例えば、日本で一番高い山は富士山だけど二番目に高い山は?

 こう聞かれてすぐに答えられる人は少ないと思う。

 二番目じゃダメなんだ。

 一番にならないと。


「だから、あいつが想いを寄せている宮野陸斗を私の恋人にして心を揺さぶろうとしたのに……」


 結果は惨敗。

 見向きもされなかった。

 あそこまでの屈辱を味わったのは本当に生まれて初めてだった。


「なるほど、そういうわけでしたか」


 その時、私が一番聞きたくない声が耳朶を打った。

 凛としていて透き通った声。

 でも、私にはその声が無性に腹立たしく聞こえた。


「天城乃々!」


「ごきげんよう。古御門さん。そして……さようなら」


 とんでもなく低い声が聞こえたかと思うと後ろから何者かに頭を殴られた。

 あまりの衝撃に私は立っていることが出来ずにその場に倒れこむ。

 まともに受け身を取れなかったから激しく地面に体を打ってしまう。


「いたっ」


「おやすみなさいませ」


 背後から聞こえたもう一人の声はとても冷たくて何一つ感情が乗っていなかった。

 そうして、もう一度殴られた私の意識は闇の中に消えていくのだった。


 ◇


「お疲れ様でした、菫」


「いえ、この程度なんという事はありません」


「じゃあ、古御門さんを《《地下室》》に連れて行っておいて頂戴。私は陸斗くんを待たせているから行くわ。陸斗くんの家に寄ってから帰るから少し遅くなるわ」


「かしこまりました。お嬢様」


 私は菫にそれだけ言ってその場を後にする。

 今から私は陸斗くんの家に遊びに行く。

 いつも通り、彼の家で勉強を教えて少しイチャついて。

 そんな些細な幸せを私は謳歌しに行く。


「誰にも彼を奪わせはしない。だって、あの人は私の命の恩人で一番大切な人なんだから」


 今回みたいにちょっかいを出してくる相手は秘密裏に《《お仕置き》》して陸斗くんに手を出させないようにする。

 私以外の女が彼に近づくなんて許せない。

 例外は菫くらいの物だ。


「ふふっ、今日はどんな風に陸斗くんに甘えようかな~」


 さっき起こったことなんてもう忘れてしまった。

 だって、こんなことを考えていると表情に出てしまいそうだから。

 せっかくこれから陸斗くんと会うんだからとびっきり可愛い私でいないとね。


「うふふふ。あはははは」

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