時の花嫁と滅びの竜6
王宮の小謁見室にて
四人は横一列に立たされ、王は窓辺で背を向けたまま、長い沈黙を続けている。
「……私は言ったはずだ。」
王はゆっくりと振り返った。
「この戦いの意味はわかっているな、と。」
「「「「申し訳ありません。」」」」
王は王子に向かって言った。
「不適任者を使者にし、奴を自害に追い込み、討つことも、け、刑に処すこともできん。
私の命令に従い、街を焼き払っておけばよかったのだ。」
「申し訳ありません……」王子は項垂れた。
王の視線がメルトへ移る。
「は、派手に魔法を使いよって。あ、あれでは騙し討ちではないか。」
「申し訳ありません。でもあれは仕方がなかったといいますか」
メルトは上目遣いで訴えた。
「でもでも煩い。」王は即座に切り捨てた。
メルトは慌てて口を閉じる。
王の視線がワイアットへ。
「無能な書記の一人や二人、国家の前では、ち、塵に等しい。」
「塵……」 愕然とするワイアット。
「お、お前は私の書いた筋書きを、だ、台無しにした。ち、ち、塵以下だ。」
ワイアットは固まったまま動けない。
ジョンは次は自分だと思い背筋を伸ばして身構えたが、王の視線は一度ジョンに止まり、そのまま通り過ぎた。
王は怒り冷めやらぬ様子で四人を見れば、皆しゅんと肩を落としている。
「……追って沙汰する。」
そう言い残し、王は部屋を出ていった。
扉が閉まると同時に、 四人は一斉に息を吐いた。
「もう、終わりだ……」とワイアット。
「俺、怒られなかった。」
ジョンは小さくガッツポーズ。
「陛下があんなに話すなんて珍しいね。」
沙汰といっても死ぬわけじゃなし、とどこか楽観的なメルト。
「……それだけお怒りなのだろう。」と王子。
四人は肩を落としながら廊下へ出た。
廊下には温かい春の陽が差していて、さっきまでの緊張が解けていった。
後に、今日のお説教からは、思いもよらない沙汰がくだることになる。
夏休みなので。もう6話め。話数ばかり食っている。




