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マハラリィの花6


メルトは大きなお化けカボチャのランタンを抱えて、一人外庭に向かって歩いた。

儀式で分けてもらった火を持ち帰るために、持参した特大の蝋燭に火を移した。

特大蝋燭には特大のランタンがいる。

そこで、じゃじゃーん、お化けカボチャを作りました。

一度やってみたかったんだよね。

お化けカボチャに気づいた人にたくさん呼び止められて宮殿を出るのが遅くなってしまった。

参列者はもうほとんど帰ったようで、宮殿の前庭には馬車が一台もなかった。

前庭まで馬車を乗り入れることができるのは高位貴族だけ。

メルトは下位貴族なので外庭までしかお迎えは入れない。

でも歩くのは嫌いじゃないから平気。

外灯がぽつぽつと外城門まで続いている。

息は白いけれど、ランタンのおかげでなんとなく温かい。

内城門を抜けるとお迎えの馬車を発見。

メアリがメルトのランタンに気づいて馬車の扉を開けた。

同時に、ひゅっ、と音がして、カボチャに強い衝撃を受け、見ると刺さった矢がビヨヨンと揺れている。

ひぇ!?

ポロリ。

びっくりしてカボチャを落とした。

矢がまた飛んできたので、メルトは魔法で周囲に氷板層を落とした。外庭は知り尽くしているのでなんということはない。

それよりもカボチャのコロコロを止めないと、火が消えちゃうじゃないか。

追いかけて捕まえると、消えて・・・うん、消えてない。

ささっと自分で火をつけて、何事もなかった顔でメアリにランタンを渡した。

「ただいま!」

メルトが何事もなかったように言えば、メアリも何事もなかったかのように応える。

「お帰りなさいませ。」


「待て待て待て、無視するんじゃない!」

まだ何か?

メルトは煩わし気に声のする方を見た。

誰かが圧縮された雪の層を越えて走ってきた。懐かしい顔だ。

「はわわ。グレン副連隊長!」メルトは走って行って、抱きついた。

「いつ戻って来たのですか?僕、すごく会いたかったよ!」

大きな手がメルトの頭をガシガシと撫でた。

「アストラガス総督の護衛として来ているんだ。

 悪い。グラハム少将から君が魔法を大っぴらに使うようになったと聞いて、少し試してしまった。

 すまないが、下敷きになった仲間を助けてやってくれないか。」

「いいですよ。」にこっ。

でも、懲りない人たちには、しっかり頭を冷やしてもらいます。

――― 清めの水よ、洗い流せ 氷雨。


グレンの隣に総督が来た。

「グレン。お前の言う面白い奴ってのは、ハロルドの金魚のフンじゃないか。

 だがしかし、これはお前の仕業か?名前は?」

「メルト・リリーです。」

「ふむ。陰気なハロルドの隣ではつまらないだろう?

 お前はゲームが好きか?ゲームは守りよりも攻めの方が面白い。

 私のところに来い。うんと楽しませてやる。」ニヤリと笑った。

残念ながら僕は平和を愛する草食系男子なのだ。

「僕については、全てブラックリリー公爵家を通してください。

 僕は公爵様の許可がないと何もできませんから。」

それにプラスして国王の許可もいる。

ということは、総督は守り人のことを知らない人だ。

「落ちぶれた公爵の犬か。尽々運がない奴だな。」カラカラと笑った。

「そうとも言えますね。」

なんか面白くない。折角グレン隊長に会えたのに残念だ。

「グレン連隊長、お会いできて嬉しかったです。僕、もう行きますね。」

「総督は、5日ほど近くの離宮に滞在されるご予定だから、また会おう。」

二人で別れの挨拶を交わした。

「こら、待て待て待て。まだ話は終わってない!」

メルトは胡乱げに総督を見た。

「なぁ、お前は王女とは親しいのか?」

「親しい?悪くはないですよ。僕のハープの先生だし。」

「王女は何が好きかな?」

総督は、父親である王弟がアストラガスとの国境戦で亡くなった後、しばらく王宮に住んでいた。

しかし王女がまだ小さい時に、アストラガスとの国境地帯の辺境伯になっている。

「そんなの聞いてどうするんですか?」

「贈るんだよ。ゆくゆくは私の伴侶にと思っている。」

「総督はおいくつですか?」

「24だ」

王女は13歳。

「お巡りさーん!いけない大人がいまーす!逮捕してくださーい!」

ゴッ。痛!?げんこつが降ってきた。

「お巡りさんってなんだ?誰も来ないよ。お前が自分で殺ったろうが。」

助けてやっている最中だというのに、まったく失敬な。

王女は悪役令嬢として外国に嫁に出されて、結婚相手に虐げられるらしい。

アストラガスは一応国内になるけど、併合したてで王女にとっては外国みたいなものかもしれない。

念のため。「王女殿下のことが好きなの?」

「もちろんだ。」真顔で言った。

あ、もしかして、悪役令嬢なのにロリコン総督に溺愛されて困ってます的な?

やっぱりダメ。

「お巡りさん、逮捕してくださーい!」

ゴッ。痛!?

「違う!王女と結婚すれば私の王位継承の正当性が高まる。」

「それは好きって言わないもん。」

頭を押さえながら涙目で答える。

「お前は私に好きでいてほしいの?ほしくないの?どっちだ!?」

暴力男はダメ絶対!

「王女殿下は渡さないぞ!」

「はぁ!?」

総督は一瞬きょとんとした顔をしてから、声を上げて笑い出した。

あれ?僕、なにか間違えた?

「そうかそうか、私は坊主の恋敵なわけだな。

 敵に塩を送るようなことはできないよな。ハハハ、悪い。聞く相手を間違えた。」

「うわぁ!?さっきの無し!そういう意味じゃないの!」

微笑ましいげなグレンと、メアリの無。

「誤解だよ、誤解。お願い、聞かなかったことにして。」

ねぇ、メアリ、何とか言って!

口は災いのもと。本邸に帰って、たくさんお説教を受けた。

「メルト。ちょっと、そこに座りなさい。」と、なぜか公爵まで。

しかもとっても恐い。

「うっ、へぐっ、ごめんなさい。」

短いですが、まとまってしまったので、すみません。

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