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第三章:レンズ越しの虚像と、偽りのステージ
生身を売る恐怖から逃げ出した可奈が辿り着いたのは、不特定多数の「スマホの向こう側の目」が集まる、有料配信の世界だった。顔を出さず、年齢や素性を隠し、ただ不特定多数の視線に向けて自分の幼い身体をさらしていく。
最初は、ただ明日を生きるための、そしてリリエから薬を買うための資金を得る、惨めな切り売りのつもりだった。しかし、手に入れた薬を服用しながらカメラの前に立つ時間は、次第に異様な熱を帯びていく。薬がもたらす酩酊のなか、現実の輪郭がぼやけ、感覚が研ぎ澄まされてしていく。
画面を埋め尽くす匿名の観客たちの称賛と過激な期待が、ダイレクトに脳へと突き刺さる。その瞬間、可奈の胸を狂おしいほどの高揚感が満たした。
「ああ、みんな私を見ている。私が、みんなの光なんだ」
それは、かつて客席から渇望していた、あのステージの景色そのものだった。いつしか可奈は、服用した薬による多幸感と、ネットの視線の中心にいる満足感の中で、まるで自分が本物のアイドルになったかのような錯覚に包まれていった。
歪んだシステムの中で、自分がただ消費されるだけの存在であることに気づかないまま、彼女は虚勢を張ってレンズを見つめ続ける。




