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第五章:修復不可能な亀裂
「私が、朱音の代わりに仕事に行く」
朱音を失う恐怖に駆られた雫は、自ら夜の街へ立とうとした。今度は自分が絶望を引き受け、朱音を愛玩する側に回ろうとしたのだ。しかし、モデルを断念し、プライドを折られ、朱音の「お人形」として檻の中で飼い慣らされていた雫には、夜の街の泥臭い交渉や暴力に耐えうる強さは残っていなかった。
「……雫に、そんなことできるわけないじゃん」
朱音は冷たく笑った。
「雫は私の『お人形』で、あたしの『光』だった。あたしの下で、惨めに震えているから愛せたの。……そんな綺麗な身体で外に出て、また誰かの偶像になるの? 結局、雫もあたしを置いていくんだ」
朱音の言葉は、雫の心を完璧に切り裂いた。雫は、自分が朱音の歪んだ自己満足のための道具に過ぎなかったことを突きつけられ、朱音は、雫の純粋な救済の意思すらも信じられなくなっていた。
互いを照らすはずだった光は互いを焼き尽くす業火となり、二人の共依存の関係は完全に崩壊した。




