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第六章 さくらの気持ち

夕焼けのショッピングモールの屋上。


風が少し強くなっていた。


橘さくらは腕を組んだまま悠斗を見ていた。


「ちょっと話ある」


悠斗は少し困った顔をした。


「ここで?」


さくらは首を振った。


「二人で」


その言葉に、美月は静かに言った。


「私は先に帰るね」


悠斗は少し慌てた。


「え、大丈夫?」


美月は微笑んだ。


「うん」


「また月曜日」


そう言ってエレベーターの方へ歩いていく。


悠斗はその背中を見ていた。


さくらが言った。


「……追いかけなくていいの?」


悠斗はさくらを見る。


「話って何?」


さくらは少し黙った。


夕日が彼女の髪を赤く染めていた。


そして言った。


「悠斗さ」


「白石さんのこと好きなの?」


悠斗は固まった。


「え?」


さくらはじっと見ている。


逃げられない視線。


悠斗は言葉に詰まった。


「いや……」


「まだ」


その言葉を聞いた瞬間。


さくらは少し笑った。


「まだ、ね」


そして柵にもたれた。


「私さ」


「悠斗のことずっと好きだった」


悠斗の時間が止まる。


「え……?」


さくらは遠くの空を見ていた。


「中学のときから」


「ずっと」


悠斗は言葉が出なかった。


そんなこと


全く知らなかった。


さくらは笑った。


「気づいてなかったでしょ」


悠斗は正直に言った。


「……うん」


さくらは肩をすくめた。


「だよね」


少し沈黙。


風が吹く。


夕日が沈み始める。


さくらは言った。


「でもさ」


「白石さんのこと見る悠斗」


「すぐ分かった」


悠斗は少し驚いた。


「え?」


さくらは笑った。


「顔」


「完全に恋してる顔」


悠斗の胸がドキッとする。


(恋……?)


その言葉を聞いた瞬間。


頭の中に浮かぶ。


美月の笑顔。


桜の教室。


帰り道。


今日のデート。


悠斗は初めて気づいた。


(あ……)


(俺)


(美月のこと……)


さくらは言った。


「気づいた?」


悠斗は少し顔を赤くした。


「……うん」


さくらは小さく息を吐いた。


そして言った。


「そっか」


でも。


その声は少し寂しそうだった。


悠斗は言った。


「ごめん」


さくらはすぐ首を振った。


「謝らないで」


「まだ勝負終わってないから」


悠斗は驚いた。


「え?」


さくらはニヤッと笑った。


「だって」


「白石さん転校するんでしょ?」


悠斗の胸がまた少し痛む。


さくらは言った。


「一ヶ月」


「その間に」


「悠斗がどっち好きになるか」


「勝負」


夕焼けの空。


恋の関係が


はっきり動き始める。


悠斗はまだ知らない。


この恋が


もっと大きく揺れる出来事を


迎えることを。

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