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第五章 はじめての約束

土曜日の朝。


空はよく晴れていた。


高橋悠斗は自分の部屋で鏡を見ていた。


「……これでいいか」


いつもより少しだけ髪を整えている。


理由は簡単だった。


今日は――


美月と出かける日。


スマホを見る。


待ち合わせ時間まであと十分。


場所は駅前。


悠斗は家を出た。


春の風が気持ちいい。


街の桜はまだ咲いていた。


駅前に着く。


人が多い。


買い物に行く人。


友達同士。


カップル。


悠斗は周りを見た。


(まだかな)


その時。


「悠斗くん」


後ろから声がした。


振り向く。


そこにいたのは

白石美月だった。


白いワンピース。


長い黒髪。


少し恥ずかしそうな笑顔。


学校の制服とは違う。


その姿を見た瞬間。


悠斗の心臓が少し速くなる。


「お、おはよう」


美月は笑った。


「おはよう」


少し沈黙。


二人とも少し緊張していた。


悠斗が言った。


「とりあえず」


「どこ行く?」


美月は少し考えた。


「映画とか?」


悠斗はうなずく。


「いいね」


二人は映画館に向かった。


休日のショッピングモール。


人が多い。


店の音楽。


賑やかな声。


美月は少し楽しそうだった。


「こういう場所」


「久しぶり」


悠斗は聞いた。


「来ないの?」


美月は笑った。


「引っ越し多いから」


「友達と遊ぶことあんまりなくて」


悠斗は言った。


「じゃあ今日は」


「いっぱい遊ぼう」


美月は少し嬉しそうだった。


映画を見て。


カフェに入って。


ゲームセンターに寄って。


気づけば夕方になっていた。


空がオレンジ色になる。


二人は屋上のテラスに座っていた。


少し疲れていたけど


楽しかった。


美月が言った。


「今日」


「すごく楽しかった」


悠斗は笑った。


「俺も」


少し沈黙。


そして悠斗は言った。


「転校まで」


「あと一ヶ月だよな」


美月は小さくうなずいた。


「うん」


悠斗は空を見た。


夕焼け。


春の雲。


そして。


ゆっくり言った。


「それまで」


「いっぱい思い出作ろう」


美月は少し驚いた。


「思い出?」


悠斗は笑った。


「そう」


「一ヶ月でも」


「楽しい時間にしたい」


美月は少し黙った。


そして。


目が少し潤んでいた。


「ありがとう」


その声は少し震えていた。


悠斗は少し焦った。


「え、泣いてる?」


美月は笑った。


「違うよ」


「嬉しいだけ」


その時。


遠くから声がした。


「悠斗?」


振り向く。


そこに立っていたのは――


橘さくらだった。


驚いた顔。


そして。


美月を見る。


「……デート?」


空気が少し変わる。


悠斗は言った。


「いや、その……」


さくらは腕を組んだ。


「へえ」


少し笑う。


でも。


その笑顔は


どこか悔しそうだった。


そして言った。


「悠斗」


「ちょっと話ある」


夕焼けの空の下。


恋の関係が


少しずつ


複雑になり始めていた。


そして悠斗は


まだ気づいていない。


自分が


本当に恋をしていることに。

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