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第二章 放課後の帰り道

午後の授業が終わった。


チャイムが鳴る。


「よし、帰るかー!」


教室が一気に騒がしくなる。


部活に向かう生徒。

友達と遊びに行く生徒。


悠斗は鞄を持って立ち上がった。


その時。


隣を見る。


白石美月はまだ席に座っていた。


窓の外を見ている。


夕方の光が教室に差し込んでいた。


桜がオレンジ色に染まっている。


悠斗は少し緊張しながら言った。


「帰る?」


美月は振り向いた。


少し驚いた顔。


そして思い出したように言った。


「……あ」


「一緒に帰るって言ってたね」


悠斗は笑った。


「うん」


二人は教室を出た。


廊下は少し騒がしい。


部活の声が聞こえる。


校庭ではサッカー部が走っていた。


「悠斗ー!」


遠くから声。


健太だった。


「デートかー!」


悠斗は顔をしかめる。


「違うって!」


美月は少し笑っていた。


「本当に面白い人だね」


校門を出る。


夕方の街。


空は少し赤くなっていた。


二人は並んで歩く。


最初は少し沈黙だった。


でも。


それほど気まずくはなかった。


風が吹く。


桜の花びらが舞う。


美月が言った。


「ねえ」


「悠斗くん」


悠斗は少し驚いた。


「なに?」


「どうして優しいの?」


悠斗は少し困った顔をした。


「え?」


「弁当くれたり」


「ノート見せてくれたり」


美月は言った。


「私、あんまり人と話さないから」


悠斗は少し考えた。


そして言った。


「別に普通だよ」


「困ってるなら助けるだけ」


美月は少し黙った。


そして小さく笑った。


「優しいね」


その時だった。


通りの向こうから声がした。


「美月!」


二人が振り向く。


そこにいたのは。


背の高い男子。


整った顔。


同じ学校の制服。


黒川くろかわ れん


三年生。


そして。


学校で有名な人物だった。


サッカー部キャプテン。


女子人気No.1。


蓮は美月の前に立った。


「久しぶり」


美月の表情が少し変わる。


「……蓮くん」


悠斗は少し驚いた。


(知り合い?)


蓮は悠斗を見る。


「君は?」


悠斗は言った。


「高橋悠斗です」


蓮は少し笑った。


「へえ」


「美月の友達?」


美月は少し困った顔をした。


「同じクラス」


蓮は悠斗をじっと見る。


少し鋭い視線。


そして言った。


「そう」


「よろしく」


でも。


その声には少しだけ


警戒があった。


蓮は美月に言った。


「今度話したいことある」


美月は少し黙った。


「……うん」


蓮は去っていく。


夕方の道。


再び静かになる。


悠斗は聞いた。


「知り合い?」


美月は少し考えた。


そして言った。


「……昔の友達」


でも。


その声は少しだけ


寂しそうだった。


二人はまた歩き始める。


夕焼け。


桜。


静かな帰り道。


その時。


美月が言った。


「悠斗くん」


「なに?」


「今日」


「楽しかった」


悠斗は少し照れた。


「俺も」


美月は笑った。


そして。


その笑顔を見た時。


悠斗は初めて思った。


(もしかして)


(俺……)


(この子のこと好きかもしれない)


でも。


その恋には


まだ気づいていなかった。


そして。


彼も知らない。


美月には


大きな秘密


があることを。

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